真実の愛のお相手に婚約者を譲ろうと頑張った結果、毎回のように戻ってくる件

さこの

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ご一緒しませんか?

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「えー。お兄様どうしてもダメなの?」
がくりと肩を落とすリージア

「その日はリカルド王太子の視察がある、護衛に選ばれたから無理だな…」

「そうですか…それは残念です」



「ルイスさん、こんにちは」
翌日ルイスの店にチケットを取りに来た

「こんにちは、チケットを預かっているよ」
封筒をはいと渡され、座席の番号を見たら席が離れていた。気を遣ってくれたのかな?
「ありがとうございます、助かりました」
にこっと笑うリージア

「いや、俺は何もしていないよ」
すっと目を逸らされたので、目線を追うと、張り紙がしてある、お店の休みの日が書いてあるようだ
「へー、定休日があるんですね、気をつけないと…」
「一人でやっているから、限界があってさ。この辺は結構そう言う店が多いんだ」
ポリポリと少し赤い頬をかくルイス

「ねぇ、ルイスさんはこの日空いてます?」
チケットを見せて日付の確認をするように、ずいっとルイスに詰め寄る
「…定休日だけど」

「お願いします、一緒に演劇を見に行きましょう!お兄様がこの日はどうしてもダメで誘える人がいないんです」
必死な形相でお願いする

「えぇ…それは、どうかと、貴族のお嬢さんと演劇ですか…?」
躊躇い後ずさるルイス
「お願いします、ちゃんと町娘に紛れますから!」
パンッと手を合わるリージア

「…わかりましたよ、地味で無個性な服装でお願いします」
「はいっ!」
リージアの紫の瞳がキラキラと輝く


チケットを受け取り、いつも通り王宮に足を向ける。行きたくないのだが、解消まではもう少し!王妃様を騙しているような気もするがもう限界だ!兄がうまく話をしてくれるだろう。
そうこう考えているうちに、フェリクスの執務室に着いた、執務をしているのかと思いきや、本を読みながらお茶を飲んでいたので、無言でチケットをフェリクスに渡す

「本当に取れたんだ!やるなリージア、褒めて遣わす」
と言われて喜ぶほどバカではない…本当にこいつフェリクスが嫌いだ
片目がピクピクと動きながらも

「楽しんできてくださいね、あくまでもで!あの子ルシアは外出禁止の身ですから!」

「分かったよ、じゃあな」
笑顔で手をひらひらと振るフェリクス
チケットを届けにきたに対する態度ではないのじゃないか!本当に嫌いだ!
だがもう少しの辛抱だ、堪えるのよ、リージア!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「リージア嬢か…変わってるよね」
アベルが笑う

「ん、そうだな」
ルイスが答える

「おまえの正体バレてないの?」
「多分…な」
「まぁバレても問題ないだろう」
「多分…な」

「リージア嬢には婚約者いたよな?」
「それなんだけどさ、第二王子と婚約しているはずだが、第二王子が令嬢を招いての茶会のプロデュースをしたり演劇のチケットを取ったりしてるんだよ、意味が分からない」
考えるような仕草をするルイス

「自分の婚約者だろう?」
「そうなんだけど、わざわざ平民だと思っている俺に頭を下げて作り方を教えてくれっていうんだぜ?」
思い出してくすくすを笑うルイス

「変わってるよね…の俺に頭を下げて名前を名乗るんだもんな」
面白そうに笑い肩を震わす
「うん、変わっている。綺麗な顔してコロコロと表情を変えて…わざわざお礼だけ言いにきたりさ、面白い」
「だからデートするのか」
「…そんなわけでは、ない」




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