真実の愛のお相手に婚約者を譲ろうと頑張った結果、毎回のように戻ってくる件

さこの

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円満解決?

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「くっつける必要なく無いか?」  
カインが言う
「えぇそうですとも、両思いですからねぇ」
リージアが返す

「お茶会でくっつけさせて、終了で良いんじゃ無いか?」
ぐったりとした様子のカイン
体は鍛えているだけあり肉体ではなく心労だろう

「疲れたので部屋に戻りますね、明日はパティシエの所へ行かなきゃいけないし」
ふらふらと歩き出すリージア

「バカな義妹を持つと大変だ…」
ため息を吐くカインだった


数刻後の晩餐は家族全員で取ることとなる
「リージア、来週の王妃様のお茶会の準備は進んでいるの?」
母に聞かれて
「はい、殆どは終わっています、あとはテーブルフラワーなどの細かいものだけです」
その時に美しい花を飾りたいと王妃様の要望だ
「ルシア、失礼のないようにね」
父と母が心配そうな顔をする

「大丈夫です!お姉様がいらっしゃいますし、何かあったらお姉様お願いしますね」

何かあっては困るのだ…王妃様のお茶会で失敗など許されない
「お願いだから大人しくしていて頂戴ね、姉様はお手伝いで忙しくてルシアの面倒が見られませんからね」
頼むから大人しくしてくれと祈る
今回のお茶会は若い令嬢が招待されている。王妃様が、流行りなどを聞きたいとおっしゃったからだ

「そんな言い方しないのよ、お姉様でしょう?」
いけませんよと母にやんわりと注意される
「お前は王家に嫁ぐんだから、そんな様子では殿下に嫌われてしまうぞ」
はっはっはと豪快に笑う父
…いや嫌われてはいないが、好かれてもない、言いたくてうずうずするが兄の顔を見たら頭を左右に振られた、まだ時期ではない

「もう嫌われてたりして」
ににやりと笑うルシア

「こら、お姉様にそんなことを言うものではありません」
カインとリージアと同じ顔をして母が言う

「ふふっ、はーい」



次の日侍女と護衛を連れてパティシエの店に行った
「お願いします」
エプロンを付け髪をまとめるリージア
「本気だったんだ…」
苦笑いするパティシエ

「はい、勿論です、昨日の書類に不備でもありましたか?」
首を傾げるリージア
「いや、ないよ、むしろこちらは助かる」
「はい、それでは宜しくお願いします、ところで店主様のお名前はなんて仰るのですか?」
「ルイスですよ、お嬢様」
「ルイスさん、私はリージアです」
「よろしくリージアお嬢様、それではお教えしますよ」

ルイスの教え方はとても上手く、お菓子を作るのがとても楽しかった、色をつけるところでは、まるで実験のようで勉強にもなった

「お嬢様は手先が器用なんですね、驚きましたよ」
ルイスに褒められる
「ありがとうございます!教え方がお上手ですね」
三時間きっちりと作り方をレクチャーしてくれた。あと二回でなんとか形にしなくてはいけない!
「とりあえず、自分の作ったものを食べてみる?味が気になるでしょう?」
「はいっ!」
見た目に驚き味の予想が付かないのが難点だ

フォークで一口サイズに切り恐る恐る口に入れてみる
「美味しい…しかも味が繊細で一つ一つ味が違うのにマッチしてます」
驚いた、初めて食べるどぎつい色のミルクレープがこんなにも美味しいとは
生地もしっとりしていて、それなのに切り分けやすい、これは…
「ルイスさんは魔法使いですか?こんなにカラフルで美味しいものを作れるなんて…斬新で驚きです」

くすくすと笑い出すルイス
「魔法使いか…悪くないね、それならリージアお嬢様は魔法使いの弟子だね」

ルイスの笑顔はケーキに負けないほど甘かった…
どこかで会った事あったっけ?






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