真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう

さこの

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バカな男、愛を探す

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「今度こそ本当の愛だと思ったんだけどなぁ」

邸のサロンでお茶を飲んでいるとサロモンが現れた

「ねぇ、人の邸に勝手に入り込むのはやめてくださらない?世間体というものがございますでしょう?」
セレスティーヌがまるで虫ケラを見るような顔をする

「茶を飲んで話するくらい良いだろうが!」

サロモンが正面に座りお茶を飲む
口調は悪いが、優雅な仕草だ
エドワールに言われた通りマナーの授業をやり直すことになり、教師にこてんぱんに扱かれている様だ。
口が悪いのはセレスティーヌの前のみ

「何回言わせるおつもり?本当の愛だなんて軽々しく言わないでくださいな。また殿下の真実の愛の犠牲者を増やすおつもり?」
「おまえが愛・愛うるさいからだろ!おまえが俺のところに戻ってこないから、こんな羽目になってるんだよ!今なら戻ってきても許してやる」

「はぁっ、もう何なのよ!帰ってよ!もうすぐラルフ様が来るのっ!」

「おまえ服装の趣味変わったな」
チラッとセレスティーヌを見る

「だって…ラルフ様が褒めてくれるんだもの」
頬をピンクに染めるセレスティーヌ

「…おまえ、俺といる時はそんな顔してなかったよな」
「褒められた記憶がございません!」
「ドレスを着た時は褒めていた!」
「いつも同じ言葉だったじゃないの!興味がなさそうに…以上!」

「美しいものに美しいと言って何が悪い!」
「だ・か・ら、お相手の方に呆れられるのよ!もっとあるでしょう!言葉が!何のために人に産まれて来たの?」
「……その時に言ってくれ、」
「注意なんてしても聞かなかったでしょ!」
「はぁ、俺の好きだったセレスティーヌはもういない…」
「そうですね、死んだと思ってくださって結構ですのよ」
「おまえ……」



「……何でサロモンがいる?」
「げっ、叔父上」

「ラルフ様、お待ちしておりました」
ラルフの元へ駆け寄るセレスティーヌ

「なぜサロモンがいるんだ?」
「わかりません、勝手に入ってくるみたいです、侵入者です、迷惑しています」

「浮気は許さないと言った」
耳元で囁かれ、顔が赤くなる
「私が好きなのはラルフ様だけです」
イチャイチャする二人を見て

「……帰るよ。セレス、またな!」


婚約が白紙になり、今では友人?のようになった…婚約者として過ごした十年よりも本音で話し合える様になった二人


「セレスはサロモンと仲が良いな」
ラルフがセレスティーヌを見る目が怖い

「良くないです!すごく迷惑しています」
必死に答える
「また、とか言っていたな」
「…来てほしくないです」 

「ねぇセレスうち公爵家で花嫁修業しないか?」
「…はい、がんばりますっ」
嬉しそうにラルフを見つめるセレスティーヌの頬にそっとキスをする

「可愛いセレスティーヌ」
きゅんッと胸が高鳴る……
「ラルフ様…」

そっと目を瞑るセレスティーヌ


「へぇ…結婚前のレディがねぇ…」

振り向くとそこには

「サロモン!」

「忘れ物だよ!結婚するまで手を出すなって言われて、おまえ俺とはキスもしなかったくせにな!」
「あっ!そこは感謝しますねっ!」
にこりと笑うセレスティーヌ
「おまえなぁ!」
怒りでプルプルと震えるサロモン

「ラルフ様、今日はどこに連れて行ってくださるの?」
「街に行こうか?新しいカフェが出来たんだけど、セレスが好きそうなスイーツがあるんだ、ご馳走するよ」
「わぁっ、嬉しい」
ラルフの手を取り手を繋ぐ
「ふふっ」
幸せそうな顔をするセレスティーヌ


「…おまえから手を繋いで来た事なんて一度も無かったよなっ!」

「…まだいらしたの?わたくしたちは出かけますので、忘れ物をお持ちになってお引取りください」
ふんっと顔を背ける

「行くか、セレス」
「うんっ!」


「良かった…サロモンとは本当に何もなかったんだな」
機嫌が良さそうなラルフ

「はい!ただ婚約者としてパーティーに出席したくらいです、今まで婚約者として貰ったプレゼントも、全てお返ししたの。
巻き込んでしまった子爵令嬢への慰謝料に使って貰えたら…値の張るものも中にはあったし…」
にこりと笑うセレスティーヌ

「さっぱりしているんだな…」
「……だってラルフ様からのプレゼントの前では全て霞んでしまうんですもの…」
恥じらうようにラルフを見る

「これは……参ったな…」
軽くセレスティーヌに口付けをするラルフ


「どうした?」
「ラルフ様、わたくしを迎えに来てくれて…約束を覚えていてくれて…ありがとうございます」

「どうした?セレスティーヌ」

全身に嬉しさを纏うように笑うセレスティーヌ。
「大好きです、ラルフ様!」






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