3 / 22
真実の愛を見つけたとの事です
しおりを挟む
「真実の愛を見つけた」
元婚約者様であるサロモン・ド・アルベーヌ殿下がそう仰った。
大変喜ばしい事で心から応援したいと思った。婚約破棄をしたいと仰るので、勿論応じた。
私の両親も、両陛下も真実の愛で結ばれたと聞く。真実の愛を見つけられた殿下の前から退場するのは当然の事……
「十年も共に過ごしてきた……」
そう仰るが、殿下が真実の愛を見つけた以上わたくしは邪魔者以外ではない。
その言葉を貰っただけで十分だ。
「相手が、誰か知ってるのか…」
……学園で知らないものはいないと思う
「子爵令嬢でございましょう?」
……下町で出会ったことも噂で聞いていた。
人目を忍んで逢瀬を楽しんでいるのも知っていた。真実の愛、故の行動なのだろう
「私から先にサインをします」
早くこの場から去りたい気持ちでサラサラと婚約を破棄する旨の書類にサインを書く
「殿下どうぞ」と言うと
「考えてみる……」
馬鹿げた返事が返ってきて、イラっとしてしまう。レディとしては失格であろう。
その後サインを書かれた殿下から書類を受け取り、王妃様に挨拶をさせてもらう事にした。
「王妃様突然ではありますが、今までお世話になり、ありがとうございました」
淑女の礼をする
「なぁに?セレスティーヌ改って…」
不思議そうな顔をする王妃
「殿下がこの度、真実の愛を見つけられたようで、わたくし達の婚約は白紙となりましたので最後にご挨拶に伺いました」
ピキッと何かヒビが入るような音が聞こえたが気にしないでおこう。
立つ鳥跡を濁さずと言いますもの。
「なにか言いました……? 最近耳が遠いのかしら」
「殿下が真実の、」
「っ聞こえませんっ!」
「ですから、」
「セレスティーヌ! なぜなの?! わたくしは貴方のことを、娘だと思っているのです……真実の愛だなんて、そんなものサロモンの気の迷いです!」
「いえ!真実の愛ですのよ?真実の愛を得るなんて素晴らしい事です。わたくしはそんな殿下を尊敬致します」
「セレスティーヌ……」
言葉を失う王妃
「十年間お世話になり感謝しております。このようなわたくしをお叱り導いてくださりました事、心からお礼申し上げます」
深々と礼をし
「それでは失礼致しま」
「お待ちなさいっ! なんでよぉ……嫌よぉ……セレスティーヌが、サロモンのお嫁さんに来てくれないなんて」
「ご安心下さいませ。殿下の愛する方がわたくしの代わりに王妃様をお慰め下さいます、とても可愛らしい方ですのよ?」
「会いたくないわ……」
「こんなわたくしをお許しくださいとは申し上げません、王妃様のお顔を見るのがとても心苦しいので退出させていただきます……」
「……セレスティーヌ」
深々と礼をしてこの場を去る
元婚約者様であるサロモン・ド・アルベーヌ殿下がそう仰った。
大変喜ばしい事で心から応援したいと思った。婚約破棄をしたいと仰るので、勿論応じた。
私の両親も、両陛下も真実の愛で結ばれたと聞く。真実の愛を見つけられた殿下の前から退場するのは当然の事……
「十年も共に過ごしてきた……」
そう仰るが、殿下が真実の愛を見つけた以上わたくしは邪魔者以外ではない。
その言葉を貰っただけで十分だ。
「相手が、誰か知ってるのか…」
……学園で知らないものはいないと思う
「子爵令嬢でございましょう?」
……下町で出会ったことも噂で聞いていた。
人目を忍んで逢瀬を楽しんでいるのも知っていた。真実の愛、故の行動なのだろう
「私から先にサインをします」
早くこの場から去りたい気持ちでサラサラと婚約を破棄する旨の書類にサインを書く
「殿下どうぞ」と言うと
「考えてみる……」
馬鹿げた返事が返ってきて、イラっとしてしまう。レディとしては失格であろう。
その後サインを書かれた殿下から書類を受け取り、王妃様に挨拶をさせてもらう事にした。
「王妃様突然ではありますが、今までお世話になり、ありがとうございました」
淑女の礼をする
「なぁに?セレスティーヌ改って…」
不思議そうな顔をする王妃
「殿下がこの度、真実の愛を見つけられたようで、わたくし達の婚約は白紙となりましたので最後にご挨拶に伺いました」
ピキッと何かヒビが入るような音が聞こえたが気にしないでおこう。
立つ鳥跡を濁さずと言いますもの。
「なにか言いました……? 最近耳が遠いのかしら」
「殿下が真実の、」
「っ聞こえませんっ!」
「ですから、」
「セレスティーヌ! なぜなの?! わたくしは貴方のことを、娘だと思っているのです……真実の愛だなんて、そんなものサロモンの気の迷いです!」
「いえ!真実の愛ですのよ?真実の愛を得るなんて素晴らしい事です。わたくしはそんな殿下を尊敬致します」
「セレスティーヌ……」
言葉を失う王妃
「十年間お世話になり感謝しております。このようなわたくしをお叱り導いてくださりました事、心からお礼申し上げます」
深々と礼をし
「それでは失礼致しま」
「お待ちなさいっ! なんでよぉ……嫌よぉ……セレスティーヌが、サロモンのお嫁さんに来てくれないなんて」
「ご安心下さいませ。殿下の愛する方がわたくしの代わりに王妃様をお慰め下さいます、とても可愛らしい方ですのよ?」
「会いたくないわ……」
「こんなわたくしをお許しくださいとは申し上げません、王妃様のお顔を見るのがとても心苦しいので退出させていただきます……」
「……セレスティーヌ」
深々と礼をしてこの場を去る
144
お気に入りに追加
4,909
あなたにおすすめの小説

【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?
ねーさん
恋愛
公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。
なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。
王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!

妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした
水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」
子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。
彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。
彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。
こんなこと、許されることではない。
そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。
完全に、シルビアの味方なのだ。
しかも……。
「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」
私はお父様から追放を宣言された。
必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。
「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」
お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。
その目は、娘を見る目ではなかった。
「惨めね、お姉さま……」
シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。
そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。
途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。
一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

もう、あなたを愛することはないでしょう
春野オカリナ
恋愛
第一章 完結番外編更新中
異母妹に嫉妬して修道院で孤独な死を迎えたベアトリーチェは、目覚めたら10才に戻っていた。過去の婚約者だったレイノルドに別れを告げ、新しい人生を歩もうとした矢先、レイノルドとフェリシア王女の身代わりに呪いを受けてしまう。呪い封じの魔術の所為で、ベアトリーチェは銀色翠眼の容姿が黒髪灰眼に変化した。しかも、回帰前の記憶も全て失くしてしまい。記憶に残っているのは数日間の出来事だけだった。
実の両親に愛されている記憶しか持たないベアトリーチェは、これから新しい思い出を作ればいいと両親に言われ、生まれ育ったアルカイドを後にする。
第二章
ベアトリーチェは15才になった。本来なら13才から通える魔法魔術学園の入学を数年遅らせる事になったのは、フロンティアの事を学ぶ必要があるからだった。
フロンティアはアルカイドとは比べ物にならないぐらい、高度な技術が発達していた。街には路面電車が走り、空にはエイが飛んでいる。そして、自動階段やエレベーター、冷蔵庫にエアコンというものまであるのだ。全て魔道具で魔石によって動いている先進技術帝国フロンティア。
護衛騎士デミオン・クレージュと共に新しい学園生活を始めるベアトリーチェ。学園で出会った新しい学友、変わった教授の授業。様々な出来事がベアトリーチェを大きく変えていく。
一方、国王の命でフロンティアの技術を学ぶためにレイノルドやジュリア、ルシーラ達も留学してきて楽しい学園生活は不穏な空気を孕みつつ進んでいく。
第二章は青春恋愛モード全開のシリアス&ラブコメディ風になる予定です。
ベアトリーチェを巡る新しい恋の予感もお楽しみに!
※印は回帰前の物語です。

【完結】欲をかいて婚約破棄した結果、自滅した愚かな婚約者様の話、聞きます?
水月 潮
恋愛
ルシア・ローレル伯爵令嬢はある日、婚約者であるイアン・バルデ伯爵令息から婚約破棄を突きつけられる。
正直に言うとローレル伯爵家にとっては特に旨みのない婚約で、ルシアは父親からも嫌になったら婚約は解消しても良いと言われていた為、それをあっさり承諾する。
その1ヶ月後。
ルシアの母の実家のシャンタル公爵家にて次期公爵家当主就任のお披露目パーティーが主催される。
ルシアは家族と共に出席したが、ルシアが夢にも思わなかったとんでもない出来事が起きる。
※設定は緩いので、物語としてお楽しみ頂けたらと思います
*HOTランキング10位(2021.5.29)
読んで下さった読者の皆様に感謝*.*
HOTランキング1位(2021.5.31)
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

結婚を先延ばしにされたのは婚約者が妹のことを好きだったからでした。妹は既婚者なので波乱の予感しかしません。
田太 優
恋愛
結婚を先延ばしにされ続け、私は我慢の限界だった。
曖昧な態度を取り続ける婚約者に婚約破棄する覚悟で結婚する気があるのか訊いたところ、妹のことが好きだったと言われ、婚約を解消したいと言われた。
妹は既婚者で夫婦関係も良好。
もし妹の幸せを壊そうとするなら私は容赦しない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる