拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。

さこの

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王妃様のティーパーティ3

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「娘の婚約破棄をされた相手は殿下の友人でした。殿下はその際立会いをされていました」

「……なんですって?」

「ご存知ありませんでしたか? この王宮内で行われていましたのに」

「……続けてちょうだい」

 王妃様はご存じありませんでしたの! 言ってもよろしい内容ですのよね?! 王妃様の口元が少しピクリと動いたような……

「事実確認もしないまま、娘を悪く言い婚約破棄をした子息の肩を持ち殿下は立会いをしたのです。結局子息の家からは謝罪を受けましたし慰謝料も頂戴して家同士の問題は解決しております。殿下からもその後謝罪を受けましたので、それで終わりでいいではありませんか! なぜ婚約破棄の立会いをした責任として娘と婚約をなさろうとするのです? あの時娘が王宮に呼ばれどれだけ不安だったかと考えると、胸が押しつぶされそうです。ですので殿下を信用できないのは仕方がない事だと……申し訳ございません。わたくし大変失礼をっ……」


 言ってしまいましたわ! 王妃様の前で殿下を信頼できないどころか、己の感情までぶつけてしまうなんて、臣下としてあり得ない言動ですわ!


「……息子の話とずいぶん違うので驚きを隠せませんが、夫人の言う通りなら息子をこのまま放っておけませんわね。か弱い令嬢を呼び出し立会いをしただなんて、王子としての立場がありませんし許される事ではありません。この件についてこちら側でもきちんと調べることにします。夫人と話がしたいから同窓会なんてまどろっこしい会を開催したけれど、これで口実ができましたからまた報告がてらお茶をしましょう」

「はい。どうか……よろしくお願い致します」

 報告がてらお茶……その時に罰されてしまうのかしら……


「ごめんなさいね。急ぎ調べさせるからまた連絡をするわ。主催者がここで長居をしていると不審に思われる方もおられるかもしれないから、失礼するわね」

 王妃様が席を立たれました。私も立たなくては。そう思うのに腰が……

「あ、そうそう。ここでの話は不敬に捉えることは致しませんから、気になさらずに。子供を思う親の気持ちは一緒ですから」


 王妃様は笑顔のまま席を外しました。夫に相談しなくてはいけません。不敬に捉えられることはない。と言っても殿下を信用出来ないだなんて……家の為に離縁を考えてもらうのが一番かしら。その後は実家の領地にある孤児院が併設されている修道院で反省しながら残りの人生を歩みましょう。子供達のことをお願い。と頭を下げなくては……


 ******

「同窓会はどうだった?」

 帰ってきてから気分が優れないのか顔色が悪い妻に声を掛ける。何かあったのだろう。

「あなた……どうか何も言わずに私と離縁してくださいませ」


 ……りえん?

「な、何故だ? 私が何かしたと言うのかい? それなら謝るよ。君を傷つけることはしていないと思うのだが、私が気が付かないところで君をそこまで追い詰めてしまった理由はなんだ!」

 浮気は絶対にない。神に誓って! 変な噂でも耳にしたのか?

「伯爵家を守る為ですわ……」

 涙を流し離縁してください。という妻の姿に耐えられなくなる。なんでも王妃様のティーパーティーで殿下を信用できない。と言ったらしいのだ。自分の意見を言うように言われ、婚約の辞退を願ったとか?




「……なんだ。そんな事か……」

「そんな事ではありませんわ! わたくしは、」
「似た者夫婦という言葉があるじゃないか。私なんて殿下に同じ事を直接言ったよ? 不敬だと思い、爵位を返上して他国にある別荘に移り住もうとも考えた。でもその時には君が付いてきてくれる。と思っていた、違う?」

「もしそうなら、喜んで貴方に付いて行きますわ。当然でしょう? 夫婦ですもの」

 当然だという妻に安堵した。爵位がなくなっても付いてきてくれるという。そんな妻を愛しているのだから、離縁なんて絶対にしない。

「爵位がなくなっても?」

「関係ありませんわ。貴方は家族を守ってくれると信じていますもの」

「私もそうだよ。君は家族を守る為に離縁だなんて不吉な事を言ったのだろう? 私は絶対に離縁などしないよ。だから一緒に考えてこの件についても乗り切ろうじゃないか。私たちの大事な娘を守ろう」

「……あなた」

 妻を抱きしめると妻は震えていた。それだけ本気で離縁を考えていたのだろう。私は妻も娘も家族も守ってみせる。


 

「離縁は絶対にしないから、それだけは覚えておいて」


 二度と言わせないからな!
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