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ソフィア

エヴァンとソフィア

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「ソフィア王女と話していたら楽しいよ、まだ十五歳だっけ?大人びてるよね」
お茶を啜りながら気楽に話すエヴァン
「前世では三十二歳でしたからねぇ…」
懐かしそうにお茶を飲むソフィア

「えっ?そうなんだ!お姉さんじゃないか」
「エヴァン様はおいくつで、亡くなられたの?」
「二十九歳だよ、今より少し上?かな」
はははっと笑うエヴァンはイケメンだ
「でも今は十五歳ですからね、エヴァン様の方がお兄さんですわね」
微笑むソフィア
「そう見えないところが怖いよ…包容力があるよねソフィア王女は…」
「王女はやめてください、言われなれないので照れますから!」
「そう?じゃぁ私に話す時も敬語やめてくれる?」
「えっ?それは、難しいですわね…王弟殿下ですもの」
「んー、二人で話すときはやめてくれる?」
「ハイ、それなら」
「決まりだね!」
「はい」

「あっ!お茶菓子がある、新しいお茶も淹れるから待ってて」
「手伝うよ?」
「いや、今日はお客さまだから!」
「ではお言葉に甘えます」

出されたらお茶菓子はお煎餅だった…
「凄い…お煎餅なんて…」
ポロリと涙が溢れるソフィア
「えっ!どうしたの?泣かせちゃった?ヤバいよ!十五歳の子を泣かすなんて…」
ふるふると頭を振るソフィア
「ふふふ、懐かしい」
パリッと音を立ててお煎餅を食べる
「美味しいっ!」
「でしょ?醤油をさ、この前商人が持っていてびっくりしたよ!この世界の醤油は前世とは少し違うけど、焦がせば分かんないよ、いやぁーなんとかなるもんだねぇ…」
「凄いわね…」
「何年か前にさ、なめらかプディングって流行ったでしょ?度肝を抜いたよ、この世界にもあるんだ!って、どこの国から流れてきたんだろうか…」
「ふふふっ、あれはマリーよ!あの子天然なのに、お菓子作りと刺繍が得意で本も出してるのよ?」
「えっ!あのお菓子の本はローズマリアちゃんだったの?」
驚くエヴァン
「へー、ビックリだね!それを聞いて同じ転生者として話をしたいと思ったけど、命が惜しいし、拉致監禁なんてしたくないからやめておく!」
くすくすと笑うソフィア
「私は原作ではアランの事が好きでマリーをバッドエンドに導く嫌な女なの」
「ははっ、そうなんだ、俺と一緒じゃん」
「そうね、可哀想なマリー」
「ローズマリアちゃんは今、アラン殿下と結婚したんだろ?ソフィアちゃんはアラン殿下の事良いの?超イケメンじゃん」

「やめてよ!あのストーカー男…凄いのよマリー捕まったからにはもう手遅れよ…」
「そんなに凄いんだ!ハッピーエンドもバッドエンドも確かアラン殿下にあったよね?」

「そうなの!マリーが少しでも浮気したら相手は確実に殺されるわね、あの子は浮気なんて出来るタイプじゃないからそこは大丈夫だけど、自分のものにならない場合は、マリーを処刑して自分のものにしちゃうのよ、恐ろしい…」
ブルっと震えるソフィア

「お兄さんなのに、そんな言い方良いの?」
「えぇ、意外と仲良はいいんですよ、マリーとくっついてくれてれば、普通に好きな兄って感じだけど」 
「アラン殿下ってそんなにヤバいんだ…そんな風には見えなかったけどねぇ…人は見かけによらないもんだね」
「そうね、アランは外見と外面は良いですから!ヒーローですものね」
くすくす笑うソフィア


「お似合いだよ!俺は絶対に関わらないよ!拉致も監禁しません、ソフィアちゃんに誓うよ」
「ハイ、しっかりと聞きました!はぁっ、私の役目終わっちゃった…せっかく留学に来たのに僅か三日目にして任務完了とは…」
「ごめん、ごめん、せっかく仲良くなれたんだし、またお茶しにこない?」
「良いの?」
「もちろん、おいでよソフィアちゃん」 



…エヴァンは転生者だった
話もわかってくれたようで、マリーに近づく事がもしあっても、ストーリー通りにはならないだろう…
ホッとするソフィア

週が開け学園へと通うことになる
ジェオルジでは一級跳びで入学したが、アスター王国では年齢に合わせた学年になる
ネヴィルに案内をしてもらい、教室に入る
歓迎パーティーで話をした子達も何人もいたので、初日の割には皆と仲良く過ごせた。
平日は学園生活を満喫する。 

ジェオルジでは体験できないような体験学習などもあり、充実した日々を送る。
週末はエヴァンとお茶会をするというのが、行事になりつつある。
変わり者の王弟が隣国の王女と仲良くしているというのは王宮中に広まった。



「ソフィアちゃん…ここにはもう来ない方が良いかも」
エヴァンがばつの悪そうな顔をしている
「なんで?なんか気に触ることでもあった?」
ソフィアが不思議そうな顔をする

「ソフィアちゃんは隣国の王女様だから、俺と変な噂になる前にここには来ない方が良い」
「別に気にしないから良いのに…」
「ソフィアちゃんはまだ十五歳だから、歳相当の友達と交流をしたほうが良さそうだ」
「…気にしないって言ってるのに!」

「気にしてくれ!俺は変わり者の王弟なんだよ、一緒にいたらソフィアちゃんも変わり者扱いだ!」
「一緒にいたら楽しいもの、嫌よ!私が邪魔なの?」
「そういうことではない、世間体だよ」
「変わり者なのに世間体を気にするんだ…」
「…ソフィアちゃんはあと数ヶ月で、国に帰るだろ?せっかく仲良くなったのに寂しくなるよ、だから今日でお別れだ」

「勝手にお別れにしないでくれる?嫌だって言ってるでしょ!」
「せっかく転生者にあえて仲良くなって、またお別れするのが、辛い…これ以上俺の中に踏み込まれたくない、苦労して今の生活なんだ…慣れるまで大変だった、」
「そんなの、私だってそうよ!マリーに会えてどれだけ嬉しかったか…エヴァン様、私は国に帰りません!」

「へっ?」
「一緒にいてあげる、どうせ変わり者なんだから婚約者もいないんでしょ?マリーを拉致監禁するくらいだもの!」
「…まだしてないけど……?」
?するつもりなの?」
エヴァンを睨みつける

「いや、言葉のあやだ!しない!絶対に!ソフィアちゃんに誓ったから」
「一生分誓わせてあげるから、一緒にいましょう」
「へっ?」
「結婚しましょう?」

「へっ?」
「良いじゃない!ジェオルジとアスターの掛橋にもなるし、転生者同士だし、きっと楽しいわよ?」
「いや、ソフィアちゃんまだ十五歳だし…」
「マリーは十六歳で結婚しました、兄は十七歳よ?貴方は二十三歳なんだから結婚しても問題ないでしょ?」

「そうだけど……」
「するの?しないの?どっちか決めさせてあげる」
「えっ?」
「私が国に帰ると寂しくなるんでしょ?」
「はい」
「一緒にいたいって事でしょう?」
「…はい」
「どうするの?」
「…結婚してください」
「ふふ、はい」
「…まじか…まさか結婚するとはな…」
「良いじゃない!アスター王国にお嫁に来てあげるわ」
「…はい、お願いします」


ソフィアの婚約者がエヴァンとなった


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