上 下
86 / 106
トラブルメーカー健在

頭を悩ます父リオネル

しおりを挟む

「今日は王宮に泊まりだから晩餐は一緒にとろう」
「うん」
近すぎる距離
「アラン様ドレスありがとう、ゴメンね、また手直しに時間が掛かっちゃった」

視線を下に胸元に目をやるアラン
「様はいらない、いい加減慣れてくれ…あと、なんだ?そんなに苦しかったか?」

「デザイン的に胸元が開いていたから…夜会だから仕方ないんだけど、えっとね…着れるんだけどね、あのまま着たら、胸の谷間が溢れちゃって…デザイナーさんに少しだけレースを足してもらったの…お父様に見てもらったら、目の毒だって言われて…世の中の令嬢は胸元を出して恥ずかしくないのかしら」


思い出して恥ずかしくなり、アランの胸元に顔を埋めるマリー
…いい香りがするスーハーと香りを堪能する
アランの香りが大好物なマリー
胸元の筋肉も発達をしてシャツの上からでも分かるほどの男らしさだ心臓の音も心地よい
はぁ…幸せだ
幸せを噛み締めるマリー

「そうだなぁ…俺はマリー以外に興味がないから世の中の令嬢は目に入らないけど、彼女達も自分を魅力的に見せようと頑張ってるんだろうな…マリーは今でも十分魅力的なのにドレスを着ると、俺でさえ目を奪われるからなぁ…」
マリーの肩をギュッと抱きしめるアラン
「王宮のメイドとアンの腕が凄いんだよ」

アランが王太子になったあの日のパーティーで付いてくれていたメイドはマリーが王宮に泊まる日はそのままマリーに付いてくれる。
歳も近いので仲良くしてくれ、流行に敏感なメイド達とアン(父親)の監視の元、王太子の婚約者として、ドレスアップされる


「…マリー明日さ、帝国の若き皇帝が来られるんだけど…花嫁探しも兼ねているらしいんだよ…」
「へぇーそうなんだ、レオ様のお手紙にそんなこと書いてなかったのに…あっ!」

…やばい口が滑ってしまった
レオ様の手紙は直接マリーには届かない。
王宮経由でマリーに渡されるのだが、たまに父であるリオネルとやり取りをしている手紙に同包される事もある。
父は別に良いよ、私に渡す手紙の中に入っているくらいだ、見られても困らない内容でしょ?っと軽く言われたので内緒にしていた

じろっと上から睨まれ体を離されるマリー
アランがマリーの両肩に手をやり
「良いか?お前は俺の婚約者だ!責任とって結婚するって言ったよな?覚えているよな」
「はいっ!覚えいます」
目が真剣でアランの顔が恐ろしい…
「次、何か異性でのトラブルを起こしたら、俺の部屋に閉じ込めるからな!分かったな?」
「アラン様、こわいよぉ…」
うるうると涙の膜がマリーの瞳を覆う

「真剣に言っている、浮気をしたらその場で相手を殺す!俺にはそれくらいの権力はある、分かったな?!」
「しないもん…こわいよぉ…」
「肝に銘じておけ」
ぐすっ「…はい」
声が小さくなるマリー

…アランの本気が怖い
そうだった…
ヤンデレ体質を持っているんだった
マリーはまだアランと結婚していない、
死亡フラグは立ったままなのだ
幸せすぎて忘れていた…

アランは長い足を組み直しマリーを抱き寄せる
震えるマリーはまるで小動物のようだ
「悪い、怖がらせたか…」
ぐすっと鼻を啜るマリー
「俺の側から離れるなよ」
こくんと頭を下げるマリー
「もうアラン様と結婚したい…」
ぽそっと呟くマリー
「アラン様と一緒にいたい」
「あと二年なんだ…長い、我慢してるんだよ…その間に誰かに取られるんじゃないかと不安で堪らない」
「アラン様が好きだもん」
「知ってる、でもな拐われたらどうする?俺がいない間に襲われたらどうする?マリーの力じゃ無理なんだ」

ぞっとするマリー…
「…アランじゃないとヤダ」
マリーの顎に手をやり顔を上に向かせ
「愛してるマリー誰よりも…」
口付けをされる、深くなる口付けにマリーは
「んっ…ん」と高い声が出る

こほん…
執事の咳払い、ストップ!の合図だ

口付けをしたままチラリと執事をみるアラン
睨みつける執事
攻防戦だ…

アンは明日の準備にマリーの与えられた王宮の部屋に詰めているので今は居ないのだ

「んっ」
と声を上げるマリーに気をよくするアラン
マリーの胸に手を置くと
「はぁ、柔らかい」
「もぅ、やだぁ、アランっ」
涙で訴えてくるマリー
ハッとするアラン
「悪い…止めてくれて、ありがとう」
チュッと目元にキスをする

「嫌じゃないの、恥ずかしいの…」
「うん知ってる」
かぁっと顔が赤くなるマリー
「可愛い、早く俺のものにしたい」
「…もうなってるみたいなものでしょ?」
「マリーの身も心も全部欲しい」
耳まで赤くなるマリー
「あと二年…待って…」
「うん、待つよ、楽しみだ」
チュッチュッとキスを落とされ、ぐったりするマリー
…愛情が深すぎて辛い
早く二年が過ぎて欲しいと心から思うマリー

コンコンコンと扉がノックされ執事が対応する
「ブロッサム侯爵がおいでです」
「入ってもらえ」
「かしこまりました」

アランの唇に紅が付いている…焦るマリー
ハンカチを出して、アランの唇を急いで拭いていると
「やぁ相変わらず仲がよろしいようで何よりです」
「お…お父様…」
にこりと笑うリオネル
「殿下の口周りを心配するよりも自分の乱れた顔をなんとかしてこい!」

ゾッとするマリー立ち上がり、隣の扉にある洗面ルームへと急ぐ

涙を流した目元は赤く、口紅は取れまだらになっている…
「これは…怒られる」
ぞくっとするマリー
メイドの一人がサッと化粧を直してくれる。
「いつもありがとう」
礼をするマリーに、みなれた光景であるメイドは
「いつものことです!お気になさらずにいちゃついてくださいね!」
と言われた…

そぉっーとアランとリオネルがいるテーブルに戻り一人掛けのソファに腰掛けようとする
「マリーは俺の隣に座れ」
アランに止められる
リオネルを見ると頭で座れと指示される
少し離れてアランの隣に座るマリー
気に入らないのかチラリと目線を寄越すアラン

「みっともない顔がまともになったみたいだな…」
リオネルにチクリと嫌味を言われる
いつもの事だ…気にしないようにしようと、ふぅーと息を吐く

「侯爵、急にどうかしましたか?」
アランが本題に入る
「えぇ、明日帝国の若き皇帝が、王宮に到着します。若くして皇帝になった挨拶がてらに三カ国を周遊していますが、マルベリー王国からの報告によるとやはり、花嫁候補を探しているようです」
「マルベリーには居なかったのか?皇帝の目に止まる美姫は…」
「そのようですね…」

「…なんかヤダ」
ポツリと呟くマリー
「なにが?嫌なんだ?」
リオネルに言われ
「目に止まる美姫ってなに?性格とかじゃなくて見た目なの?そんなんで結婚って決まるの?」
「あんまり言いたくないけどね、帝国の若き皇帝が見染めたってだけで、もうほぼ決まりみたいなもんだよ」
リオネルが、マリーに説明をする
「それって一人じゃないんでしょ?」
「…正妃か側室かは分からないね…分かっているのは、花嫁という事だ」
「…ふーん」
と言うマリー
「そこで…ですね、やはりうちの娘は問題児なもので、結婚まで二年あるんですが、式までは白い結婚という事で、籍だけ入れてしまおうかと言う話もあるんですよ」
「えっ!それは、良いのか?」
ソファから立つアラン
「はぁっーうちの娘は十六にもなってが過ぎまして、私も頭を悩ましていまして…」
「え?なんでよ?お父様にまで…ひどい」
驚くマリー

「顔は妻に似て綺麗で性格も素直で、勉強も出来ますし、自慢の娘ではあるんですが、どうも…自分をわかっていないと言うか、不安しかなくて、どうせ二年後に手放すので、ちゃんと責任を持って王家で引き取って下さい。式まで今まで通り邸に住ませますし、今まで通りなにも変わりません。公にしなければ良いんですよ」
リオネルが諦めたかの口調で説明する

「なんか…ひどい」



















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

新婚なのに旦那様と会えません〜公爵夫人は宮廷魔術師〜

秋月乃衣
恋愛
ルクセイア公爵家の美形当主アレクセルの元に、嫁ぐこととなった宮廷魔術師シルヴィア。 宮廷魔術師を辞めたくないシルヴィアにとって、仕事は続けたままで良いとの好条件。 だけど新婚なのに旦那様に中々会えず、すれ違い結婚生活。旦那様には愛人がいるという噂も!? ※魔法のある特殊な世界なので公爵夫人がお仕事しています。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

処理中です...