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第二章

王様と王子と侯爵

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マルベリー国王との謁見(非公開)の次の日
リオネルはモルガンに呼び出された。

ーーーーーーーーーーーーー
「掛けてくれ」
と言われソファに腰掛ける
モルガンとアランはすでに着席していた

「今日は昼から登城予定だったのに朝から呼び出すとは……」
とリオネル
「昨日マルベリーの国王と話したのだろう?アランからは聞いたがお前の口から聞きたくてな」
「私も暇じゃないんですよ?これからマルベリーとの話は続くんですからね」
「アランの立太子のパーティーまでに終わらせると言っていたではないか?」
「アルベルト王子は歪んだ思想を持っている。学園は休学中だが戻ってくる事はない。これは国王が進言して来たからには決定だよ。来年落ち着いた頃にレオナルド王子が立太子となる」
「アルベルト王子の件は片付いたんだな?」
「そこは国王とレオナルド王子に任せとけば問題ないよ。他国の政治に首を突っ込んではいかんからな」
「お前が言うなよ……」
「ヘルマンを殺したのが運の尽きだったかもな。そこから急に動き出した。王宮内でも問題があったアルベルト派を、一掃したとのことだ。この短期間でよくやれたよ。これくらいかな?話して良いのは?」
「まだあるのかよ…まぁそこは聞かんよ」
「マルベリーの国王はアラン王子と娘の婚約も祝ってくれたぞ。何かせしめとくか?」
「お前が言うと山でもなんでも貰って来そうで後が怖いよ」
「出来る限りはくれるだろうな」
ハハハと笑うリオネル
「あの首飾りはマリーのものになったぞ!お古ではなく新品を寄越せと言ってやろうかな…」
「やめとけ。値段を聞いたらローズマリアが委縮するだろう」
「そういうわけでアラン殿下、マリーの事よろしくお願いしますよ?もし裏切ったりでもしたら、私はどうなるか…いっその事こと家族総出でマルベリーに引っ越す事に……」
「「やめてくれ!」」
「マリーの事は一生かけて幸せにします。私が一緒にいたいと願ったんです。侯爵に誓いましょう!」
とアランが必死に答える
「冗談ですよ。でも王子の答えを聞いて安心しましたよ」
クククと笑うリオネル
「悪い冗談はやめてくれよ、アランを虐めるなよ」
「虐めてなどいません。娘の幸せを親が願ってなにが悪いんですか?私はマリーが幸せになってくれればそれで良いんですよ。妻もそれを願っている事でしょう」
「まぁ良い。お前も準備があるのだろう?忙しいところ悪かった。マルベリー国王とは私も晩餐を取る予定だ。その前に話を聞けて良かったよ。お前を唯の侯爵家にしておくのは勿体無いよ……」
「またその話か?私は今のままで良いから気にするな。あっ!そうだ王子、マリーをマルベリー国王とダンスさせてくれる?」
「決定事項なんでしょう?」
と呆れるアラン
「娘から聞いていますか?まぁしょうがないですよね?私も娘とダンスをしたいのでお願いしますね」
「ハイ、ワカリマシタ」

ーーーーーーーーーーーーー

マリーは王妃といる

各国のゲストの確認のためだ。
○○国の使者の名前だの階級だの、特産だの覚える事が目白押しで、その他マナーを含め本当に十三歳の身でこれをこなせと言うのか……と頭が痛くなる
覚える事はそこそこ出来る。ここは褒められる所で長所である。しかしマリーは男性が苦手なのだ。
……人見知りのアラサーである中身での限界がそろそろやってきた

「マリーちゃん始めが肝心なの。大変だろうけど頑張りどころよ!あなたは女優よ?王太子の婚約者と言う女優になりましょう。出来るわよ!私もそうだったの!演じましょうね。私も普段はこんな感じだけど王妃と言う仮面を被っているのよ?」
フフフと笑う王妃

……王妃様って普段は気さくなお人柄でみんなに慕われているけど、王妃様なりに色々とあるのね…私だけじゃなかった!
「ハイ!アドバイスありがとうございます。気持ちが楽になりました!演じてみます」

「マリーちゃんは本当に素直天然で助かるわ…」
「えっ?何か仰いましたか?」
「いいえ。何も!」
「もうすぐね、パーティー。アランとマリーちゃんが並んでいる姿を想像しただけで、泣けちゃうわ」
「えっ!やめて下さいよ。私も泣きそうなんですから」

と本当に涙目になるマリー
マリーは軽くお化粧をしている。
マルベリー国王と会った後に化粧を施された美しすぎるマリーへの耐性がなかったアランの為、この顔に慣れさせるためにパーティーまでの日はお化粧をするようにとリオネルから言われている。
普段は化粧をしたくないマリーは素顔でも可愛らしすぎるのだが、化粧をするととても美しい少女になるのだ。
アランはさらにマリーの虜になりもはや信者レベルになりつつある

「これは、アランが可哀想ね…どれだけ我慢できるのかしら…心配だわ」
「へ?」

「そろそろダンスの授業ね?アランが迎えに来るわよ?最終チェックだからね」
と王妃から言われ、緊張するマリー
時間通りに迎えに来るアラン

「母上、マリーを迎えに来ました」
「お入りなさい」
「失礼します」
と部屋に入ってくるアラン
「マリー今日もなんて美しいんだ!」
とマリーの近くに寄りくっついて離れない
「もう!暑いですって。王妃様の前ですよ?離れて下さい」
とグイグイ身体を押すがマリーの力では動かない。イケメンで身体まで鍛えた細マッチョだなんて、なんともけしからん!

「あらあら。この先が思いやられるわね…」
と呆れた王妃

「仲がいい所をアピールしておかないとまた変な男が寄ってくるかもしれない」
と離れない
「寄ってるのは貴方でしょ?マリーちゃんが困ってるわよ!早くダンスの授業に向かいなさい!」
「行きましょう?アラン様、ちょっと離れて?手を繋ぎましょう?ね?」
渋々離れて手を繋ぎ、歩き出すアラン


「ちょっと心配になってきたわ、あの子の将来が……」
はぁーっとため息を吐く王妃

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