上 下
77 / 106
第二章

衣装合わせ

しおりを挟む
今日は王妃教育のある日だ。
学園が終わり、アランと一緒に王宮まで来た。
いつものように、王妃様に会いに行こうとした所、
「マリー!ドレスの試着が先よ。お母様がお待ちよ」
とソフィアに呼び止められた
「俺も行こうかな」
「来なくて良いわよ。お兄様は来週に向けて忙しいじゃない。週明けから学園も休むんでしょ?」
「マリーも休ませる事になったよ」
「え?じゃ私も休むわ」
「マリー試着だろ?行くぞ」
「私一言も会話に入れなかった。やはり仲が良いですね」
と笑う。
「マリーのドレス姿が楽しみだ」
「ちょっと無視しないでよ?」

三人で王妃様が待つ部屋へ向かう
「あら?アランも来たの?」
「マリーのドレス姿が見たいですからね。見たら戻りますよ」
「愛されちゃってるわねマリーちゃん。さぁ試着して!アクセサリーも合わせるわよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
……良かった!サイズが合ってる。ギリギリまで直してくれていたのね。申し訳ない気分になるが、このドレス胸元が開きすぎではないだろうか?王妃様とデザイナーの協力の元作られたドレスに文句は言えないわ…

おずおずと出てくるマリー
「あの?どうでしょうか?」
「「素敵!!」」
エルザとソフィアは声を合わせる
「どう?アラン様?」
「凄く似合っている、まるで美の女神のようだ」
と近くに寄ってきた
「しかし、胸元が開きすぎじゃないのか?この姿を他の男に見られるとなると、嫉妬の渦に巻き込まれそうになる……」
「お兄様ったら、妹の私が聞いても恥ずかしい事をよくもまぁ言えたものよ」

「だからアランは見なくて良かったのよ!」

今回のドレスは王宮御用達の職人によって作られた。王都でも人気の高いロベルタと言う新進気鋭のデザイナーが、デザインをした。
アランの瞳の色であるきれいなブルーを主にしていて白を合わせ清楚ながらも若い時でないと着れないような可愛さもある……のだがどうも胸の膨らみが可愛さをかき消すのだ

「なんかマリー、その、素敵なんだけど色っぽいわね」
「ソフィア!女の子の成長期なんだからね。うらやましいわよ!あなたは背ばっかり伸びて他は成長しないじゃない」
「まだ成長期よ?でもお母様に似たのかしら……」

「あの、少し露出が……」とマリー
「夜会なんだから仕方ないのよ?アランも鼻の下伸ばしてないで早く戻りなさい。マリーちゃんから離れる!シワになるでしょ!」
「……戻ります。名残惜しいけど行くよ」
と頬にキスをして戻っていった
「お母様、お兄様ったらいつもあんな調子なのよ。イチャイチャベタベタとマリーに付き纏って」
「マリーちゃん嫌なら嫌といっても良いからね。さぁ次はアクセサリーを選びましょう」
髪型はアップにしてティアラを付けるそうだ。首元は普段なら付けられない飾りが大きくティアラとお揃いのダイヤモンドでできていると言う……
一体おいくら万円かしら?怖くて聞けない。
「イヤリングは重くない方が良いわよねぇ」とエルザ
イヤリングが並べてある机の上へ行く
「あっ。可愛い!」とつい口に出してしまった。
ハートにカットされているドロップ型のイヤリングだ。
「本当!可愛いわね。これ合わせてみましょう?付けてみて」とエルザに勧められる

「あら?良いわね。これを付けると清楚感が増すわ。色気も心なしか減った感じがするわね」
……前世では色気なんて皆無だった私が、現世でしかも十三歳にして色気があるとは……出世したわね。

「この姿でお兄様と並んだら、目が眩むわ。お兄様はストーカーだけどお顔は良いもの」
「バカなこと言ってないであなたも試着してきなさいな!マリーちゃんも着替えてらっしゃい」
「「はーい」」

「わぁー!ソフィア様お綺麗です!!」
身長の高いソフィアはマーメイドラインよドレスのようだ。腰のリボンがソフィアの腰の細さを際立たせる!
「あら?良いわねぇ似合っているわ。アクセサリーのイヤリング、お揃いにしたら?色違いあるじゃないの。ソフィアは目の色に合わせてアクアブルーね。マリーちゃんはダイヤモンドで合わせましょう」

「二人とも可愛いわ!夜会が楽しみね!マリーちゃんは私の娘も同然!ついでにウェディングドレスも作っちゃいたい」
「ダメよ!お母様。そんなに早々と作ったらまたどこが成長するかわからないもの」
「それもそうね。それよりあなたの婚約者もいい加減にーー」
「その話はまた今度ね!」
「ソフィア様、縁談のお話が沢山よせられているのでしょ?」
「まぁね。気が乗らないだけよ。あんた達見てたら好きな人と婚約したくなるけど、こればっかりは義務だから、せめて好みのタイプと婚約したいわね……」
「そんなことばかり言ってると婚期を逃すわよ?」とエルザ
「さてそろそろ私も着替えるわね。今から王妃教育でしょ?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今日は王妃教育でのテストだ!
テストと言っても勉強ではなく……

「はい次はこの方よ!」

今度の(初)夜会では今まで参加したことのある昼間のお茶会とは違い国中の貴族が招待されている。アランと共に挨拶まわりもあるので、顔と名前を覚えなくては、失礼にあたりそれこそバカにされる!
マリーが[バカにされる=家の恥〕なのである。
新貴族名鑑で名前と顔をひたすら覚え、領地の特産なども紐付けて覚えていくのだった。

…このちょび髭の領地は○○地方だった!特産は……ぶどう!あの新種!あれは美味しかった。あのぶどうを使ってパフェを作りたい!
マリーは一度食べたものは忘れない。なので食べ物と紐付作戦は間違いなく記憶される。

「中々やるわねぇマリーちゃん!さすが学年一位よ」とエルザが驚く
「まだまだです」
「これだけ覚えていれば上出来よ!感心するわ。分からない人はアランに任せとけば良いのよ?疲れたわねー。頭使うと甘いもの欲しくなっちゃうわね。お茶にしましょ」
「はい!」
「あと二週間ね。マリーちゃん忙しくなると思うけど、頑張りましょうね」
「はい。ご指導お願い致します」
「マリーちゃんみたいな可愛い子がアランのお嫁さんになるなんて本当に嬉しいわ。あの子の事頼むわね?ソフィアがよくストーカーだなんて言ってるけど、嫌だったら殴って良いのよ?」
「殴るだなんて!」
「冗談よ!でもなんかあったら殴りなさい!グーで!鳩尾よ」
「……はぁ、その、わかりました」
「この次は外国からの来客テストをするわよ!」
「わぁ……自信ないです」
「ひたすら覚えましょうね」
「……ハイ」


本日のお勉強は終了した。
その後護衛と共にお父様の執務室へ行った。
リオネルも疲れた様子で、親子でぐったりと馬車へ乗り込み邸へと帰るのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は森で静かに暮らします。

あみにあ
恋愛
辺り一面が真っ赤な炎に染まってき、熱風が渦巻き、黒煙が舞い上がる中、息苦しさに私はその場で蹲った。 動く事も出来ず、皮膚が炎に触れると、痛みと熱さに意識が次第に遠のいていく。 このまま死んでしまう……嫌だ!!! そう思った刹那、女性の声が頭に響いた。 「私の変わりになってくれないかしら?」 そうして今までとは全く違う正解で、私は新しい命を手に入れた。 だけど転生したのは、悪役の令嬢のような女性。 しかも18歳に愛する人に殺される悲惨な最後らしい。 これは何とか回避しないと……ッッ。 そんな運命から逃れる為悪戦苦闘するお話です。

女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」  行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。  相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。  でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!  それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。  え、「何もしなくていい」?!  じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!    こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?  どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。  二人が歩み寄る日は、来るのか。  得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?  意外とお似合いなのかもしれません。笑

【完結】強制力なんて怖くない!

櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のエラリアは、十歳の時に唐突に前世の記憶を取り戻した。 どうやら自分は以前読んだ小説の、第三王子と結婚するも浮気され、妻の座を奪われた挙句、幽閉される「エラリア」に転生してしまったらしい。 そんな人生は真っ平だと、なんとか未来を変えようとするエラリアだが、物語の強制力が邪魔をして思うように行かず……? 強制力がエグい……と思っていたら、実は強制力では無かったお話。 短編です。 完結しました。 なんだか最後が長くなりましたが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

婚約者の怖い話

お好み焼き
恋愛
わたしは3歳の時から、毎日お城に通っています。お城につくと、まずは挨拶の言葉や正しい姿勢で正しい頭の下げ方を教えられます。凄く疲れます。そのあとはお菓子とジュースがもらえますが、その時も正しい姿勢で座って少しずつ食べないとすぐお菓子を取り上げられてしまいます。ジュースを一気に飲んだ日は「はしたない」と叱られました。イスに座って足を揺らしただけでも怒られるのです。家では大丈夫なのに。でも最近怒られる回数が減りました。そして褒められる回数の方が多くなった頃、絶対にわたしを怒らない人がわたしに会いにきてくれるようになったのです。

家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。 その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。 そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。 なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。 私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。 しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。 それなのに、私の扱いだけはまったく違う。 どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。 当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。

「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】

清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。 そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。 「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」 こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。 けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。 「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」 夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。 「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」 彼女には、まったく通用しなかった。 「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」 「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」 「い、いや。そうではなく……」 呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。 ──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ! と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。 ※他サイトにも掲載中。

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

処理中です...