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第二章

バカップル作戦は成功した

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あっという間に二週間が経過した。
マリーは学園に通っている。それは堂々としたものだった。
……私は悪くないもの。怯えていたらそれこそあっちの思うツボよ!
決して一人にはならない。一人になってロクな事はないと流石に学んだ。
中身はアラサーだが、前世とは文化が違うのだ!しかし使えるものは使う。勉強はしなくても授業を聞くだけでトップになれるのだ、首位争いのライバルはソフィアのみ。
マリーは前世の【郷に入っては郷に従え】と言う諺をスローガンに生きる事にした。
もう迷わないのだ!
相変わらず羨望の眼差しや嫉妬を向けられる事は多々ある。
侯爵家令嬢で、アラン王子の婚約者なのだ!
マリーに手を出せばその家が罰せられる事もある。前回、嘘の噂を広めた子息たちは未だ学園には来ていない。
そう言う事なのだ。
マリーの一存で穏便には済ませられない、ならばと堂々とする事に決めた。
その方が迷惑が掛からないと言う事を学んだ。
何かトラブルを起こせば守ってくれる家があるからと、トラブルを起こして良いものではない。そんなことを続けると家を追放される事もある。
前世でもそうだったじゃないか!どれだけの芸能人が問題を起こし記者に囲まれ事務所を辞める事になったか!
私はブロッサム侯爵家が大好きなのだ!ルールは守り堂々と生き抜く!


「マリー?どうしたの?」
今は授業の中休みで、ソフィアが話しかけてきた。
「すこし考え事をしていただけです」
「そう?何かあったら相談にのるからね」
「ありがとうございます」
「マリー最近変わったわね。もちろんいい方によ?」
「郷に入っては郷に従えですよ」
「大事よね。私も慣れるまで大変だったもの」
「ソフィア様は凄いですね。私なんて最近ようやくですよ?」
「中身が幼いものね…」
「えぇ。甘やかされて育っていますから」
「自慢なの?」
「愛情たっぷり甘やかされている自信はあります」
「それは知ってる、わよ」
と笑い出すソフィア
「なんですか?」
「ごめんごめん。これから大変な事があるんでしょう?なのにマリーったら緊張感ないんだもの」
「そこまでは変われませんよ……」
「そうね!マリーらしくて良いわ」
小声で
「原作のマリーはか弱い天然美少女だったけど、今のマリーはバカだけど大好きよ」
「ふふふ、嬉しい」
「笑顔はやっぱり鼻血ものだけど……」
「言い過ぎですよ」

ーーーーーーーーーーーーー

朝の授業が終わり昼休憩の時間になったのでアランが迎えにくる
「マリー昼はテラスへ行こう」
「えっ?珍しいですね」
「今日は王宮の調理人に昼を用意させた、ピクニック気分でたまには良いだろ?」
「はい!」
相変わらずイチャイチャ作戦は続行中で周りは迷惑しているが本人たちは、どこ吹く風で手を繋ぎテラスへ向かう

「わぁー。風が心地良いですね」
「そうだな」
と隣合うように座る。机にはひと口サイズのサンドイッチや色とりどりのフルーツが並べられる。
「私の好きなものばっかりだ。アラン様お腹いっぱいにならないよ?」
「ボリュームのあるサンドイッチを作ってもらった」
「そう?気を遣わせちゃった?でも美味しそう!遠慮なくいただきます」
サンドイッチをパクッと口に入れる。
「美味しい!」
と顔が綻ぶ
「うん、美味いな。外で昼をとるのも良いものだな」
風が一瞬強く吹くと奥に植えられているバラの花弁が散った。
「ねぇ、昔アラン様が邸に来た時に風が吹いて薔薇が散ってね、その時散った薔薇をバックにしたアラン様が綺麗だったなって思い出しちゃった!」
「その時おまえは俺のこと嫌いだったろ?」
「あれ?そんな時あった?思い出せない」
と二人で笑い合う

「食欲がないのか?あまり食べてないじゃないか?」
「少しダイエットをしなきゃと思って」
「しなくて良い。する必要ないだろう?」
「今度着るドレスがね、この前出来上がってきたでしょ?試着したらキツくて…」
「へ?」
「直してもらってるの」
「その、太ったようには思えんのだが?」
「また、胸の所が……その……」
「それは、仕方ないな、ダイエットはやめろ。背が伸びなくなる」
「アンに成長するところは人それぞれだって言われたんだけど、お兄様もフランも伸びているのに……私だけ伸びないの」
「ほら、食え」
とぶどうを差し出してきた。
「この葡萄は種もないし、皮ごと食べられる新種だぞ?」
パクッと口に入れる
「甘ーい。美味しい!」
……シャインマスカットのような品種なのかな?現世でもあったなんて!感動!
「まだ食べたい」
「ほら?口を開けて」
「自分で食べる……」
「ほら!」
うぅぅ。恥ずかしいがここは諦めよう、郷に入っては郷に従えだ!
パクッとまた口に入れられる
「んーー美味しい」
「ダイエットは止めるんだな」
「身長伸びるかなぁ。違うところに栄養が行くのはもうやだよ」
「成長するのは悪い事じゃないよ。良いじゃないか?大きくなるのは」
「……アラン様のエッチ」
「は?」
「大きい方が好きなの?」
「どっちでも良いよ。おまえが嫌がるのが嫌なだけだよ。昼からする話題じゃないな」
と二人で顔を赤くする
「そうですね、やめましょう。つぎアラン様ね、はいどうぞアーン」
とぶどうを差し出す
「うん、美味い」
この後フルーツの食べさせ合いっこは続く…



……学園でこのバカップル加減を見て、マリーを、アランを自分のものにしようと思うものは居なくなった。故にこの作戦?は成功だった

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