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第二章

週明けの学園

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外出禁止が解除された週明け、学園へ行く事にした
「姉様準備できた?そろそろ行くよ」
とフランが声をかけてきた。
「ちょっと待って。髪型変じゃない?」
「変ではない。」
「そう?」

……長い髪はに丁寧に櫛をいれておろしている。目立たないように……と。
しかしマリーは気づかない。
マリーの髪の色は銀色でキラキラと輝いて、美しさを際立たせるのだ。

何日か振りの学園。緊張する……。
馬車寄せから降りると
「「おはよう」」
とアラン王子とソフィアが待っていた
「おはようございます」と笑顔で答える
フランが小声で
「人前で笑顔はやめて」
と言ってくる
「なぜなの?」首を傾げる
「姉様の笑顔の流れ弾に当たった子息たちが勘違いしちゃうんだよ。調子に乗って襲われたりしたらどうするの?姉様が気づいてないだけだから……」
フランが周りに聞こえるように言う
周りの子息たちは、ハッとした顔になりそそくさと立ち去る
「フランの言う通りだ。マリーの笑顔に見惚れてしまうんだよ。俺は心配でしょうがない」とアランが腰を抱いてきた。
顔がカッと赤くなり
「その、公衆の面前で近すぎませんか?」
マリーは下を向く
「またイチャイチャしてるの?懲りないわね!」ソフィアが呆れるように言う
「今日のマリーは雰囲気が違うな。銀の髪の毛がキラキラとしていて眩しいくらいだ」と髪の束を取りキスするアラン
「姉様、そろそろ教室へ行くよ?久々の登校だから準備しなきゃ」とフラン
「あっ!さんせー。ストーカーは置いといて教室へ行こ」
とソフィアに手を取られて三人で教室へ向かう

残されたアラン
「ユーリー俺はストーカー呼ばわりされるくらい付き纏っているか?」
「はぁ。ストーカーと言うのは違うような気がしますが、似たようなものでは?」
「……俺らも教室へ行くか」

マリー達が教室に着くと、視線を感じる。

「アルベルト殿下を振ったらしいぞ」
「一人の令嬢のせいで戦争になるところだったらしい」
「アラン殿下の婚約者だからって好き放題だな」
「噂では、惚れ薬を使ってアラン殿下を手玉に取ったらしい」
「いや?色仕掛けだろ?」
「休んでいた理由も男に汚されたって話しだぞ」
ヒソヒソと話しているが全て聞こえてくる
怖くて肩が震える…
フランが肩を抱いて落ち着かせてくれる

「ほら見てみろ!弟ですらローズマリア嬢にあの態度だ!」

フランがムッとした顔をする。
「あなた達?お名前とお顔はしっかり覚えたわよ?然るべき対応をとらせていただきますわね。私のお兄様であるアラン・ド・フローレスの婚約者よ?分かってて?」
「だからなんだ?まだ王族ではないでしょう。たかが貴族の令嬢だ!」
と一人の子息が言う

きみの家はの子爵家だよね?そこの君はの伯爵家、君の家もの伯爵家だよね?どれだけ偉いんだろうか?たかが侯爵家に喧嘩を売っていると言う事でいいよね?君たちの家にとして抗議をさせてもらう。噂話を本気して、姉を傷つけた。君たちは馬鹿なんだな?せっかくSクラスに入ったのに、成績は良くても王宮では働けなくなったね?将来の王妃を乏しめるなんて」
フランが笑顔で言うと

子息達の顔がサッと青くなる。
「そ、そんなつもりはなかったんだ。噂話を真に受けて申し訳なかった」
「家には言わないでください。侯爵家を馬鹿にしたつもりはない」

「フラン!馬鹿だからしょうがないのよ?将来の事なんて考えれるわけないでしょ?バカだもの。この事は学園長からも警告を受けていますので、然るべき対応を取らせて貰います。反論は許しません」

子息たちが
「そこはなんとか!」
とソフィアに言い寄るが、
「反論は許しませんと言いましたね?」
護衛の一人に声を掛ける
「学園長に話があるとお伝えしてちょうだい」
「はっ!」


「マリー大丈夫?」
「はい。あの、なぜこの方達はこのような噂話を信じているのでしょうか?」
「それもそうね。全くのガセなのにね。後で詳しく聞いてみましょう」
とソフィアが怪しく笑う

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~昼休憩~
アランとユーリウスが揃って教室に来た
「マリー・フランソワ・ソフィア学園長室へ行くぞ」
「「「…はい」」」

アランはマリーとピタリと寄り添いながら歩く
「例の子息たちは、学園のルールに則り学園長が罰を言いつける事になる。しかし噂を真に受け、俺の婚約者であるマリーを乏しめる発言をした。ブロッサム侯爵からの抗議と王家からの抗議は間違いなく行くだろう」

……わぁ。大事になっている。


【学園長室】

「みんな揃ったね?例の子息たちに話は聞いたよ。彼等は噂話を広めるようにとある人物から言われたらしいんだ」
学園長が言う
「ある人物とは?」とアラン
「誰かは分からないらしい。たまたま街に出て、アラン殿下とローズマリア嬢の話をしていたところ、声をかけられたと言っていた」
「……そうか」
「声を掛けて来た男の特徴を聞いたところ、ジェオルジ王国のものではなさそうなんだよ。何が心当たりはありますかな?」
「……いや。それだけではなんとも言えません」とアラン
「何かあるようですね?先日のヘルマン・オルフィーノの件と関係がありますか?」
「学園長その件は内密にー」
「勿論口外は致しません!学園に不審者が入っていた時点で警備を強化させました。ローズマリア嬢、先日は申し訳なかった」
と学園長が頭を下げる
「学園長!おやめ下さい、頭をあげて下さいませ」
「君は優しく美しくセシリア様にそっくりだ」
「えっ?お母様をご存知ですか?」
「私のクラスの生徒でした」
「君たちの母上は優しく美しく気高い女性だった。故に争いも多かった。皆が見惚れ求婚するものが後をたたなかった。それに終止符を打ったのがリオネル・ブロッサムだった。君たちの父上だね。彼は彼女を心から愛していて家からも全ての男に達からも彼女のことを守った。懐かしいな」と笑う学園長
「ローズマリア嬢も母上譲りの美貌だ。皆が欲しがる。この王国の王子と婚約していても君を欲しがるものがあとをたたない。アラン殿下?その覚悟はある?」
「言われなくても分かっている」
マリーの腰をギュッと抱く
「犯人の目星は付いてるね?」
「おそらく」
「私は過去にセシリア様が辛い思いをしている時に役に立たなかった。娘の君も同じ思いをして欲しくない。私も力になりたい」
「ありがとうございます」
ローズマリアがアランの胸をギュッと掴む
「ユーリウス君、リオネル殿に ブロッサム侯爵家から例の子息たちに正式な抗議をするように伝えてくれ」

「ソフィア王女もよく知らせてくれました。フランソワ君も落ち着いて対応できたね。素晴らしいよ。また同じ事が起きないように、しっかりと反省させ、周りにわからせる必要がある。学園としては彼らにはしばらく休んでもらう事にしよう」
「学園長様、あの、なるべく穏便にお願いします。反省していただければそれで良いんです」とマリー
「マリー!そこは温情を与えてはダメよ。二度と同じ過ちをおかさないように反省させる必要があるわ」
「私もその意見に賛成です」とユーリウス
「マリーが優しいのは分かるが、アラン殿下の婚約者を乏しめることは王家に対する裏切りでもある。それにたかが貴族の令嬢と言ったらしいがうちは侯爵家だ。家の話でもある」
ユーリウスからは怒りの炎がメラメラと出ている。

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