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その30(親心2)
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「王妃様、ブロッサム侯爵がおいでました」
側仕えのメイドが言うので
「あらー?早かったのね!入れて頂戴」
「失礼しますよ。」
「いらっしゃい。さぁどうぞかけて頂戴」
王妃の向かいのソファーに腰掛ける。
「先日は息子たちを、お招きいただきありがとうございました。」
「何よ!畏って。」
「挨拶くらいはちゃんとしないとな?」
「ふふふ。それで?」
「アラン王子に、うちの娘を助けて貰ったからな、お礼も兼ねて挨拶に来た」
「ローズマリアちゃん、大丈夫だった?怖がってたじゃないの。」
「かの子息たちの家には抗議の手紙を送っておいたよ。謝罪したいと言う返答も貰ったが、娘は会いたがらないんだよ」
クスクス笑いながら
「あら?可哀想に。ローズマリアちゃん、オトコ嫌いになったんじゃ無いの?」
「……何だよ!」
「別にぃー。」
「王妃側の作戦勝ちだな」
「何のことぉー?」
呆れたように笑ってしまう…
「王子に何か入れ知恵しただろ?」
「言い方が悪いわね!嗾けただけよ!でも大事にならなくて良かったわ。」
「王子の婚約者筆頭って言う噂は誰が流したんだ?」
「あの会場にいた令嬢たちよ。」
「我が息子ながら、ちょっとカッコ良かったわよね……ローズマリアちゃんを抱きしめてたところとか?ハンカチを使ったところなんていい仕事したわね」
「親としては、複雑な心境だよ」
「何よー?昔を思い出したの?」
「…………………」
「セシリアもあなたの事王子様みたいって言っていたものね。でもうちの子、リアル王子よ?どう?悪く無いんじゃ無い?」
「考えてるんだよ!」
「えっ?ローズマリアちゃんくれるの?」
「なんでそうなるんだ?」
「えぇー。頂戴よ。皆んなの為よー?
うちの子の婚約が決まらないと、年頃の女の子達は溢れる子出てくるでしょ?
お茶会でローズマリアちゃんに一目惚れしちゃた男の子達も多いんでしょ?決めないと溢れるじゃない?婚約申し込みとか、じゃんじゃん届くんじゃない?」
「あぁ。もう既に沢山届いてるんだよ…。」
「あら?早くしないと取られちゃうじゃないの!うちの子も婚期逃しちゃうわよ。」
「娘には、好きになった相手と結婚してほしいと思ってる」
「リオネル……
ビックリしちゃった。娘はやらん!って言うのかと思っていたわよ…」
「やりたくはないけど、ずっと俺が守ってやれる訳じゃないからな」
「ふーん。分かった。」
「そう言う訳だ、王子と話がしたい。」
「アランを呼んでくれる?」
メイドに伝える
「かしこまりました」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
コンコンコン
「母上、アランです。失礼します」
扉が開かれる。リオネルは立ち上がり
「アラン王子先日はうちの娘を助けていただきありがとうございました。」
恭しく頭を下げる
「や、やめてください。ブロッサム侯爵」
慌てて止めると、
「いえ。娘も王子には感謝をしておりました。まずはお礼を言わせていただきたく、参上致しました。」
「リオネルったらどうしたのよ!!」
ギョッとした顔をしてしまう。
「その、ローズマリア嬢は元気にしているか?」
「えぇ。お茶会で失敗したと落ち込んではいますが、元気でやっております」
「そうか。例の子息の家には王家から注意をしてある。反省させているとの返答を貰ったよ」
「そうですか。気にかけていただきありがとうございます。私からも抗議の手紙を出しまして、謝罪したいと言う旨の返答も貰いましたが、娘が会いたがらないのですよ」
「あんな事をされたのだ。怖かったのだろう。自分よりも大きな男に囲まれて周囲から遮断されたのだからな…」
「しばらくは大人しくさせたいところなのですが、お茶会だの婚約申し込みなどが山程届いておりまして、困ったものですよ」
「婚約申し込み?が、山程………?だと」
「えぇ。我が家でもどうしたもんかと頭を悩ませている所でして。」
「ローズマリア嬢は知っているのか?」
「いえ。あの子には伝えていませんよ」
「まだ、幼い所がありまして、恥ずかしながら婚約するには早いかと思っております」
「でもいずれは嫁に出さなきゃならんのではないか?」
「その時は、娘が好きになった相手と結ばれてほしいと思っております。親心ですよ」
「……そうか!」
「先ずはうちの嫡男から婚約者をと考えております」
「ユーリウスか。」
「えぇ。ユーリウスの誕生日を祝う会で、知り合いの家の令嬢達をお呼びしていますので、その時にユーリウスの意見を聞きながら、会わせてみようかと思っています」
「ユーリウスの同伴はローズマリア嬢か?」
「そうなりますね。困った事に娘は先日の件で、男ギライというか、苦手だと申しておりまして……うちの息子が、甘やかしたのが原因かもしれませんが…」
王妃がギョッとして
「一番甘やかしているのはアンタでしょ!」
「そうでしょうか?娘を甘やかすのも親の仕事なので、それは仕方ありませんね」
「アンタ親バカって言う自覚ある?」
「子供を愛せない親こそが、バカ親であり、親バカというのは愛があってこそのものなんですよ?」
「そんなんじゃ、ローズマリアちゃんも婚期遅れるわよ?」
「うちには私だけではなく二人いる息子も厄介なんで、それを分かった上で婚約の申し込みをしてもらわないと、困りますね」
「アラン?どうする?面倒な家よ?」
「は、母上。なんて事をいうんです!侯爵その、私は……」
フフフ……ハハハ…と笑うリオネルが
「少し虐めちゃったかな?」
「何よー。ビックリしたわよ!!牽制かけてきてたのは分かったけれど、何?」
「あぁ。先日はしてやられたからな。次はどんな作戦で来る?紳士対応とソフィア王女の友達作戦の他はあるのか?」
「あら?気づいてたのね……」
「お互い様だろ?」
ニヤリと二人で楽しそうに笑う……
「母上も侯爵も、揶揄うのはよしてくださいよ……」
ガックリと肩を落とした
「それが貴族ってものなのよ!アランもまだまだね!」
「王子。ユーリウスの誕生日にお越しいだだけますか?」
「あぁ。喜んで行こう」
「王子も婚約者、見つかると良いですね」
ハッハッハーと笑うリオネル
「もう!アランをいじめるのやめてよね」
「感謝の気持ちだよ」
「「嘘つけ!!」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
側仕えのメイドが言うので
「あらー?早かったのね!入れて頂戴」
「失礼しますよ。」
「いらっしゃい。さぁどうぞかけて頂戴」
王妃の向かいのソファーに腰掛ける。
「先日は息子たちを、お招きいただきありがとうございました。」
「何よ!畏って。」
「挨拶くらいはちゃんとしないとな?」
「ふふふ。それで?」
「アラン王子に、うちの娘を助けて貰ったからな、お礼も兼ねて挨拶に来た」
「ローズマリアちゃん、大丈夫だった?怖がってたじゃないの。」
「かの子息たちの家には抗議の手紙を送っておいたよ。謝罪したいと言う返答も貰ったが、娘は会いたがらないんだよ」
クスクス笑いながら
「あら?可哀想に。ローズマリアちゃん、オトコ嫌いになったんじゃ無いの?」
「……何だよ!」
「別にぃー。」
「王妃側の作戦勝ちだな」
「何のことぉー?」
呆れたように笑ってしまう…
「王子に何か入れ知恵しただろ?」
「言い方が悪いわね!嗾けただけよ!でも大事にならなくて良かったわ。」
「王子の婚約者筆頭って言う噂は誰が流したんだ?」
「あの会場にいた令嬢たちよ。」
「我が息子ながら、ちょっとカッコ良かったわよね……ローズマリアちゃんを抱きしめてたところとか?ハンカチを使ったところなんていい仕事したわね」
「親としては、複雑な心境だよ」
「何よー?昔を思い出したの?」
「…………………」
「セシリアもあなたの事王子様みたいって言っていたものね。でもうちの子、リアル王子よ?どう?悪く無いんじゃ無い?」
「考えてるんだよ!」
「えっ?ローズマリアちゃんくれるの?」
「なんでそうなるんだ?」
「えぇー。頂戴よ。皆んなの為よー?
うちの子の婚約が決まらないと、年頃の女の子達は溢れる子出てくるでしょ?
お茶会でローズマリアちゃんに一目惚れしちゃた男の子達も多いんでしょ?決めないと溢れるじゃない?婚約申し込みとか、じゃんじゃん届くんじゃない?」
「あぁ。もう既に沢山届いてるんだよ…。」
「あら?早くしないと取られちゃうじゃないの!うちの子も婚期逃しちゃうわよ。」
「娘には、好きになった相手と結婚してほしいと思ってる」
「リオネル……
ビックリしちゃった。娘はやらん!って言うのかと思っていたわよ…」
「やりたくはないけど、ずっと俺が守ってやれる訳じゃないからな」
「ふーん。分かった。」
「そう言う訳だ、王子と話がしたい。」
「アランを呼んでくれる?」
メイドに伝える
「かしこまりました」
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コンコンコン
「母上、アランです。失礼します」
扉が開かれる。リオネルは立ち上がり
「アラン王子先日はうちの娘を助けていただきありがとうございました。」
恭しく頭を下げる
「や、やめてください。ブロッサム侯爵」
慌てて止めると、
「いえ。娘も王子には感謝をしておりました。まずはお礼を言わせていただきたく、参上致しました。」
「リオネルったらどうしたのよ!!」
ギョッとした顔をしてしまう。
「その、ローズマリア嬢は元気にしているか?」
「えぇ。お茶会で失敗したと落ち込んではいますが、元気でやっております」
「そうか。例の子息の家には王家から注意をしてある。反省させているとの返答を貰ったよ」
「そうですか。気にかけていただきありがとうございます。私からも抗議の手紙を出しまして、謝罪したいと言う旨の返答も貰いましたが、娘が会いたがらないのですよ」
「あんな事をされたのだ。怖かったのだろう。自分よりも大きな男に囲まれて周囲から遮断されたのだからな…」
「しばらくは大人しくさせたいところなのですが、お茶会だの婚約申し込みなどが山程届いておりまして、困ったものですよ」
「婚約申し込み?が、山程………?だと」
「えぇ。我が家でもどうしたもんかと頭を悩ませている所でして。」
「ローズマリア嬢は知っているのか?」
「いえ。あの子には伝えていませんよ」
「まだ、幼い所がありまして、恥ずかしながら婚約するには早いかと思っております」
「でもいずれは嫁に出さなきゃならんのではないか?」
「その時は、娘が好きになった相手と結ばれてほしいと思っております。親心ですよ」
「……そうか!」
「先ずはうちの嫡男から婚約者をと考えております」
「ユーリウスか。」
「えぇ。ユーリウスの誕生日を祝う会で、知り合いの家の令嬢達をお呼びしていますので、その時にユーリウスの意見を聞きながら、会わせてみようかと思っています」
「ユーリウスの同伴はローズマリア嬢か?」
「そうなりますね。困った事に娘は先日の件で、男ギライというか、苦手だと申しておりまして……うちの息子が、甘やかしたのが原因かもしれませんが…」
王妃がギョッとして
「一番甘やかしているのはアンタでしょ!」
「そうでしょうか?娘を甘やかすのも親の仕事なので、それは仕方ありませんね」
「アンタ親バカって言う自覚ある?」
「子供を愛せない親こそが、バカ親であり、親バカというのは愛があってこそのものなんですよ?」
「そんなんじゃ、ローズマリアちゃんも婚期遅れるわよ?」
「うちには私だけではなく二人いる息子も厄介なんで、それを分かった上で婚約の申し込みをしてもらわないと、困りますね」
「アラン?どうする?面倒な家よ?」
「は、母上。なんて事をいうんです!侯爵その、私は……」
フフフ……ハハハ…と笑うリオネルが
「少し虐めちゃったかな?」
「何よー。ビックリしたわよ!!牽制かけてきてたのは分かったけれど、何?」
「あぁ。先日はしてやられたからな。次はどんな作戦で来る?紳士対応とソフィア王女の友達作戦の他はあるのか?」
「あら?気づいてたのね……」
「お互い様だろ?」
ニヤリと二人で楽しそうに笑う……
「母上も侯爵も、揶揄うのはよしてくださいよ……」
ガックリと肩を落とした
「それが貴族ってものなのよ!アランもまだまだね!」
「王子。ユーリウスの誕生日にお越しいだだけますか?」
「あぁ。喜んで行こう」
「王子も婚約者、見つかると良いですね」
ハッハッハーと笑うリオネル
「もう!アランをいじめるのやめてよね」
「感謝の気持ちだよ」
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