上 下
21 / 106

その21(使えるものは使っとけ)

しおりを挟む
「アランー、リオネルの所行ってきたんでしょ?ローズマリアちゃんとお話出来た?」

「ええ。招待状も渡しましたし、母上が会うのを楽しみにしているという事も伝えてあります」
母上主催のお茶会の話だ。

「あー。楽しみねぇ、何年ぶりかしら?きっとセシリアに似て可愛いんでしょうねぇ。さてはアランは狙っちゃってるの?」

「……………………。」

「あら。まぁ。」
ニヤリとなんとも言えない顔をしている

「セシリアの子が私の息子のお嫁さんに来てくれるならこんなに嬉しい事はないわ。
アランがその気なら応援しちゃう」

「……母上は何もしないで下さい」

「なんでよ?!あの家の連中はそんなに簡単に娘を渡してくれないわよ」

「だからですよ!」

「なんだ。好きなんじゃない」

「……………………。」

バレた。

「婚約者候補を探すという旨は伝えていません。まずはソフィアの友達になって貰います。」

「使えるものは使っとけ作戦ね!」

………なんだよその作戦名は!

「敵は手強いわよ!セシリアを手に入れるのにわざと男を近寄らせる様な男なの!
ちょっとーー!ソフィアを呼んできて」
側仕えのメイドに伝える

「早めに仕留めないと、取られちゃうわよ!最初が肝心なのに、あんた一回失敗してるんだからね!」

「ワカッテイマス」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お母様?お呼びでしょうか?」

ソフィア・ド・フローレス
ジェルジオ王国第一王女
現在七歳で俺からみると二つ下の妹だ

「呼んだわよー。今度のお茶会の話よ。アラン好きな子がいるんだって!でも相手の家が手強くってね、まずソフィアの友達になってもらって、アランと近付けちゃおう!!題して、使えるものは使っとけ!作戦よ」

「…………アランお兄様は最低ですね」
キッと睨んでくる

「ソフィー。あなたも友達だけじゃなくて、婚約者探しても良いのよー?」

「まだ早くないですか?お兄様の婚約者が決まってからで良いですわ」

「じゃぁ尚更、この作戦は決行とします。異論はありますか?ないですね?ハイ決定」
パンと手を叩く母上

「と、いう事でソフィアにかかってるんだよ」

……もう開き直ることにしよう。

「ブロッサム侯爵のユーリアス様の妹よね?」

「あぁ。」

「お兄様は仲良いんじゃないの?」

「あの家はな、シスコンが過ぎるんだよ。警戒されて会えないの!お前、俺に抱きつかれたらどうする?」

「悲鳴あげちゃうかも……」

それはそれで傷つくな……
「あの家はな、普通なんだよ。兄にも抱きつくし、弟にも抱きつくんだよ!それをあいつらは喜んで受け止めるんだぞ!」

「………仲がよろしいことで」

「だろ?」

「あなた達もハグしなさいよ。ハイ練習!」
…なんという事を言うんだよ。

「遠慮しとくよ」
「遠慮いたします」

ふたり同時に返事をする。

「なーんだ。気が合うのね。仲良しじゃない!安心したわ!」

「これが普通の兄妹だよな?」

「多分そうだと思います」


妹が可愛くないわけではない。
ソフィアはウェーブがかった金髪、少しだけつり目の大きな青い瞳は芯が強そうだが、白い肌にスッと通った小さい鼻それに合わせた様なピンクの唇は将来美人になるだろう。

幸せになって欲しいと願うが相手が出来ても邪魔するつもりなど毛頭ない!
これが普通だろ?

「ソフィアに聞くけど、父上に抱っこされて嬉しいか?」

「お父様に?嬉しくないこともないですけど、出来れば遠慮致します」

「俺がソフィアの頭にキスを落としたらどうする?」

「悲鳴あげちゃうかも」
ゾッとした顔をする

だから傷付くって……
「あの家はなそれが普通なんだよ」

「そうですか、お兄様に勝ち目はないと言うことね。仕方ありません。貸しにしますよ」

「………長期戦になりそうね……」
母上がため息を吐く


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

【完結】夜会で借り物競争をしたら、イケメン王子に借りられました。

櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のセラフィーナには生まれつき前世の記憶があったが、覚えているのはくだらないことばかり。 そのどうでもいい知識が一番重宝されるのが、余興好きの国王が主催する夜会だった。 毎年余興の企画を頼まれるセラフィーナが今回提案したのは、なんと「借り物競争」。 もちろん生まれて初めての借り物競争に参加をする貴族たちだったが、夜会は大いに盛り上がり……。 気付けばセラフィーナはイケメン王太子、アレクシスに借りられて、共にゴールにたどり着いていた。 果たしてアレクシスの引いたカードに書かれていた内容とは? 意味もなく異世界転生したセラフィーナが、特に使命や運命に翻弄されることもなく、王太子と結ばれるお話。 とにかくツッコミどころ満載のゆるい、ハッピーエンドの短編なので、気軽に読んでいただければ嬉しいです。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。 小説家になろう様への投稿時から、タイトルを『借り物(人)競争』からただの『借り物競争』へ変更いたしました。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

転生先は推しの婚約者のご令嬢でした

真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。 ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。 ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。 推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。 ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。 けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。 ※「小説家になろう」にも掲載中です

モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~

咲桜りおな
恋愛
 前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。 ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。 いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!  そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。 結構、ところどころでイチャラブしております。 ◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆  前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。 この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。  番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。 「小説家になろう」でも公開しています。

処理中です...