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最終話
しおりを挟む「はじめまして。私はオーバリ侯爵が嫡男マティアスと申します。シーバ国では妹が大変お世話になったと聞いております。その節はありがとうございました」
マティアス様を紹介しようと思ったのですが、わたくしの出る幕はどうやらありません
「娘と交際をしていると聞いたのだが、本当か?」
「はい。交際をさせていただいております。ご挨拶が遅れまして申し訳ございません」
お父様と対面するマティアス様は堂々としていてカッコいい
「娘は婚約を破棄していて、傷物と言われてもおかしくない娘だ。そして元婚約者は王族で娘は想いを寄せていた、それでも君は構わないと言うのか? ご両親はなんて?」
「彼に想いを寄せていたのは存じております。私は彼に想いを寄せていたアルベルティーナ嬢に惹かれました。彼は男の私から見ても魅力的な男性ですし、幼い頃からともに過ごしてきたという事も理解をしています。
両親も妹もアルベルティーナ嬢の人柄をよく知っており、傷物だと言う気持ちは一切ありません。家族に交際のことを話しましたら、とても喜んでくれました」
「そうか。しかし交際というのはどういう事だろうか、婚約をするでもなくいつ別れても良いということか?」
「まさか! そう言った気持ちは一切ございません。アルベルティーナ嬢の気持ちを思っての提案だったのですが、先日彼女には想いを伝えさせていただきました。
そして良いお返事もいただきました。
公爵、そして夫人、アルベルティーナ嬢との婚約を認めて下さい」
マティアス様は立ち上がり頭を深々と下げました
「そこまでいうのならば認めるしかないね」
「そうね、わたくしも賛成します」
「マティアス殿頭を上げてくれ」
「……はい」
「娘の事を頼んだよ」
「面倒な子ですけどよろしくお願いします」
「こちらこそ。よろしくお願いします」
「マティアス様!」
「良かった。認めて貰えたようだ」
マティアス様のお隣に腰掛けました。はしたない行動かもしれませんが、どうしても近くに居たくて
お父様は面白くない顔をしていましたが、嬉しさが勝ってしまいました。
わたくしはマティアス様に惹かれているようで、メイナード様に想いを寄せていた感情とは違いました。
メイナード様に想いを寄せていた時は、浮気疑惑の際も確かめるわけではなく、気持ちを抑えていましたが、マティアス様を思う気持ちは抑えられなくなりました
「お父様、お母様ありがとうございます」
ヘヘッと笑顔を見せました
「……なんで…隣国に嫁がせなくてはならないのだ…あの三馬鹿王子のせいで…」
「あなた…ティーナの好きなようにさせるのでしょう? マティアス様は真っ直ぐなお方できっと幸せにしてくださいますわよ。あなたに似ていると思いませんか?」
くすくすとお母様は笑い出しました
「この部屋でしたわねぇ……この部屋であなたもわたくしの両親とお兄様の前で婚約の申し出をしてくださいました。お兄様は隣国に嫁に出したくないと最後まで反対されていましたね、懐かしいわ」
懐かしそうに思い出を語るお母様
「わたくしは、あなたと結婚して幸せですよ。三人も子供を授かりました。困ったこともありましたけど、こうやって子供たちが成長する姿が見られて寂しさよりも嬉しさが勝ります」
お母様はお父様の手をギュッと握りました
「分かっているけど男親というものは、娘が可愛くて仕方がないんだ。フェデリカに似た娘が他の男に取られるなんて……ずっと家に居ても良かったんだ」
はぁっとお父様がため息を吐きました
「婚約は認めるが、結婚するまでは清く正しい交際をしてくれ。それ以外は認めん」
お父様はマティアス様を真剣な目つきで見ていました
「ティーナが言うには、マティアス様は紳士ですもの、もちろん大丈夫ですわよね?」
お母様は美しい笑顔を見せました
「……はい、努力します」
「努力することなの?」
よく分からないので、マティアス様に聞くと肩を落とされ
「私の気力と精神の問題なんだ」
と仰いました
******
「「「おめでとう」」」
ルアン王国で婚約式が行われました
たくさんの方からお祝いの言葉が飛び交った
「マティアス殿は仕事が早いな。もう婚約式をするなんて……」
フランクが言う
「早く婚約をしたことを公表しないと、心配なんだろう」
メイナードが言う
「流石お兄様! 尊敬するわ! ところでメイナード様って結局ティーナの事好きだったんですよね?」
ヘルミーナが言う
「あぁ、もちろん。だから幸せになってほしいと思う。マティアスなら安心して任せられる」
「変なの! 自分で幸せにしたくなかったの?」
「私ができる事は、国から出してやる事だけだったんだ。アルベルの顔を見てみろ、幸せそうに笑っている。あの顔が曇るような真似をしたら、マティアスを許さない」
「それは大丈夫そうね」
「そうだな」
「昔ティーナのお母様がすっごくモテて求婚の話が途絶えなかったんですって。陛下まで求婚したみたい。
ティーナのご両親が相手を決めかねていた時に、カルム公爵と出会って隣国に嫁いだのは国に嫌気がさしたから。
ティーナがシーバ国で起きた事に似てますね?」
「はははっ。バレたか? だからティーナにはこの国へ来て欲しかった。マティアスが言うにはベルナルド兄との話し合いの時、ティーナは凛としていた。と聞いた。
そんな姿長い間過ごしてきた中で見たことがない。アルベルは女神から祝福されているのだろ? この国にいる方がアルベルはアルベルティーナらしくいられるのさ」
「分かっててあんな行動をしたの?」
「さぁね、二人に祝いの言葉を言いに行こう」
アルベル、大好きな君の幸せを祈る
******
これにて【完】となります。
コメントをいただきありがとうございます😊更新の度に、励みになっておりました。
最後までお読みいただき感謝、感謝です。
アルベルティーナは、違う人と結ばれる予定で書いていたのですが、最終的にマティアスエンドとなりました。
変更するにあたり、何話か削って書き直しました💦
また近いうちに新しい作品を載せていきますので、そちらの方もどうぞよろしくお願いします⭐︎⭐︎⭐︎
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