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初めてのデート

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「あのね……。ごめんなさい」

 今日はマティアス様と初デートで街を散策することになっています
 気さくに話をして欲しいと言われたのでミーナと話す時のように話をすることにしました。

「なにかありましたか?心臓に悪いのでそう言う事は早めに言って欲しいです」


 マティアス様が動揺しています


「付き合えないとか…付き合いを反対されているとか……どっちですかっ!?」


 敬語を使わないでほしいと言いながら、マティアス様は敬語を使います


「そのどっちでもないのですけど…実はマティアス様とのお付き合いを報告したら、両親がこちらに来るって言い出して

「お会いしてくださるのでしょうか?」

「会ってくださるのですか?」

「勿論です、是非!」


******

(マティアス視点)


 その後は、手を繋ぎフラワーショップや雑貨店へ行く。何かプレゼントをしたいのだが受け取ってくれるだろうか…
 高価なものは受け取って貰えないだろうが、安物と言うわけにはいかない!せめて普段使い出来るものを…

 ショーウィンドウを見つめるアルベルティーナ嬢
 キラキラとしたスワロフスキーが付いた、髪飾りを見ていた。いろんな色や形があるものだ…

「何か気に入ったものがありますか?」

 目線の先には流れるような花の形の髪飾り

「いろんな色があるんですね。貴女にはシルバーに紫のスワロフスキーが付いているものが似合いそうですね」

 私の瞳に近い色とアルベルティーナ嬢の瞳の色なんだけど、つけているところを想像すると、笑みが漏れた

「プレゼントをしたいのだけど、受け取ってくれますか?」

「え…でも、悪いです」

「ヘルミーナにも何かプレゼントをしなくてはならなくて…何を渡せば喜ぶのか分からないけれど、貴女と同じものを渡したら喜んでくれるだろうか…?」


「ふふっ。お揃いだと、わたくしがいただかなくてはミーナも受け取りませんね」

「そういう事です」

「それでは、遠慮しませんよ?」


 ヘルミーナよ、悪いがお前の名前を使った


******

 
 カフェに入り注文を済ませた後

「アルベルティーナ嬢、受け取ってください」

 箱にリボンをつけて貰ったので俄然プレゼントっぽくなった。

「嬉しいです、ありがとうございます」

 大切そうに箱を受け取ってくれた。はにかむ笑顔の可愛い事よ


「初デートの記念に何かプレゼントをしたかったのです。スマートに渡せれば良いのですが、貴女が気に入ったものを渡したくて…恥ずかしいです。しかもヘルミーナの名前も使って…手際の悪い男だと笑ってください」

 苦笑いするしかなかったが、仕方がない。

「貴女の事をもっと知りたいです、スマートにプレゼントを渡せるように」


「そのお気持ちが嬉しいです。マティアス様は何か欲しいものとかありませんか?学生だから高価なものは無理ですけど」 

 欲しいもの…は、ある。目の前にいる貴女の気持ち…だけど言えない。

「…そうですね、物よりも…アルベルティーナとお呼びしても良いですか?」

「それは構いませんけど、そんな事で良いんですか?もっとないんですか?」

 口を尖らせるアルベルティーナ…納得がいかないようだ

 席を立って力説する

「そんな事ではないですよ。とっても意義があります、貴女の名前を呼び捨てにするなんて、宝物に触れるような気持ち……で、す」

 周りの目が……何もなかったかのように腰を掛けた

「コホン、失礼しました」


 アルベルティーナは顔を赤くして、両手で顔を覆った

「すみません、つい興奮してしまったようで」

くすくすと笑う声が聞こえる


「マティアス様はいつも冷静で落ち着いていらっしゃるから、ふふっ。そう言う姿はとても可愛らしいです。でもわたくしの前だけにしてくださいね」

「……貴女に恥をかかせるつもりはなかったのですが」


 汗が流れてきた、手でその汗を確かめると
アルベルティーナがハンカチを出してそっと汗を拭ってくれた


「そんなマティアス様の姿を他の方に見せたくないんです。わたくしの我儘です」


 汗を拭ってくれたアルベルティーナの手を取った

「アルベルティーナ、私のお嫁さんになってくれませんか」


 言った瞬間に、しまったと思った…



 もっとあるだろう…言葉が…お嫁さんって子供か! プロポーズの時は、シュチュエーションに拘りたかった。
 こんな真っ昼間の王都の街のカフェで…何と言う事だ…やってしまった


「はい」
 笑顔で答えてくれた。女神がここにいる

「え…本当に?」

「はい、よろしくお願いします。両親にもそのように伝えておきますね」

「…はい、是非!」


******

 次回、最終話です
 よろしくお願いします








 

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