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お兄様とのお別れ

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「あぁ…可愛いティーナ、寂しくなるよ」
「ユリウス兄様…わたくしも寂しいです」

「ティーナ…またすぐ会いにくる」
「イザーク兄様…約束ですよ」

 お別れが寂しくて二人に抱きつきました



「はい!気をつけて」
バリっと伯父様に引き離されてしまいました

「伯父様ヒドイ…」

「もう行かなきゃ宿に着く時間が遅くなってしまう。強行スケジュールで帰るんだから」

「ユリウス様・イザーク様、お気をつけて」

「ヘルミーナ嬢、ティーナを頼むよ」
ミーナも見送りへと来てくれました

「ユリウスにイザーク、またな」

「あぁ、メイナードはそろそろ引っ越せよ」
イザーク兄様が面倒くさそうな顔をしていました

「気が向いたらな」

「「ちっ」」

「伯父上、ニコラウス、ティーナを引き続きよろしくお願いします」

ユリウス兄様が頭を下げ
「そろそろいくよ」
と頬にキスをしてくれました

「はい、気をつけて、お父様とお母様によろしくお伝えください」

「分かったよ、また手紙を書く」
イザーク兄様も、キスをしてくれました

「変な男に引っかからないように。いつでも戻ってきて良いから」

お兄様達はメイナード様と、マティアス様に視線を向けました


「変な男だって!嫌だなぁ、マティアス殿、ユリウスは面白い男だろ?笑っておこう」
 はっはっは…とメイナード様は笑い出しました

「……お気をつけて」

「「」」
マティアス様もミーナと見送りにきてくださいました。


ミーナはなぜか終始笑っていて
お兄様達が出発していきました



「ティーナ、寂しくなるわね」
「はい、とても」
「でも楽しくなってきたわね」
「?」
楽しい?ミーナがそう言うのなら良しとしました


******



「こんなところでなんだしお茶でもしたら?」
公爵閣下が仰った

「俺は仕事に行ってくる…マティアス殿は、今日は休みか?」

「えぇ、休みです。ヘルミーナを待ちますよ」

「マティアス殿も一緒に茶を飲もう、貴殿の妹君が私を見る目が怖くて…」

 メイナード殿下に誘われたが、いつまで侯爵邸にいるつもりだ?
初めて会った、アルベルティーナ嬢の
 会話は楽しく、そして明るく美丈夫

アルベルティーナ嬢をアルベルと愛称で呼び、仲がよさそうに話をしている


 この芽生えたことのない感情は……嫉妬と言うのだろうか…イライラしてしまう


「マティアス様、本日は兄の為に見送りに来ていただいてありがとうございました。お気に入りの場所があるんです。そこでお茶をするので、ご一緒にいかがですか?」


 お気に入りの場所?それは行きたいが…
ヘルミーナにアルベルティーナ嬢に、メイナード殿下と私…心臓に悪いのではないだろうか

「あっ…もしご用事があるようなら、」
「いいえ、お誘いいただきありがとうございます。貴女のお気に入りの場所ですか?是非行ってみたいです」

 そう答えると、まるで大輪の薔薇が開花するような笑みを浮かべたアルベルティーナ嬢

「はい、ご案内しますね」


******

「へぇ~素敵ね。ガラス張りになっているのね」

 ミーナはガラス張りのサロンに入るなり感嘆の声を上げました

「夏は暑いけれど、今の時期で天気がいい時はとても心地が良いのよ。最近はずっとここにいる事が多いの。お庭も良く見えるでしょう?」

「日差しが心地よいとうとうとして来そうね」

「そうなの。刺繍をしていて、心地が良くて刺繍針で指を刺してしまったの」

 苦笑いをするしかなかった…

「何を縫っていたの?」

「お父様とお母様にお渡しするハンカチに刺繍をしていたの」

「ティーナは刺繍が上手ですものね。わたくしは諦めてしまって…お兄様にティーナからプレゼントしてもらったペンケースを、見せたらとても褒めていたわ、ね!お兄様」

「とても素晴らしい出来でしたね。アルベルティーナ嬢の人柄が出ている、丁寧な仕上がりでした」

 にこりと笑い褒めてくださるマティアス様の顔を何故か直視する事が出来ませんでした

「昔からアルベルは刺繍が上手いよな。夫人譲りの腕前だよな」

 メイナード様が言うとミーナの鋭い目線で大人しくなりました

「なんだよ…怖いんだけど」



「メイナード元殿下はティーナとより戻そうなんて考えてないですよね?!」

「そんなことしたら四六時中命が狙われるよ…私はアルベルの事は好きだし、幸せになってもらいたいと思っているんだよっ」

「へー」

「マティアス殿助けてください、妹君が怖くて…」

「まぁ、ヘルミーナの言わんとする事はわからなくもないが…メイナード殿下は悪い方ではないという事も分かりました、いや寧ろ…」
「お兄様、弱気になってない?」









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