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アルベルティーナの愛した人
しおりを挟む「わたくしは公爵家の娘で、それ以上を求められるのが辛くて…わたくしをアルベルティーナとして見てくれる人がいなかったのです。メイナード様は関係ないとおっしゃって、くださいました。
ベルナルド様やビクトル様とは違って一緒にいたら気が休まるんです。太陽のような明るくて優しい方でした」
アルベルティーナ嬢がメイナード殿下の事を話す顔はとても穏やかで美しく悔しかった
「そうですか」
「いつも気を遣ってくれて…自身の命を狙われていたのにあんなに優しくしてくれていたのかと思うと、辛いです。わたくしは何も見えていなかったんですね…」
「それは気付かせないように振る舞っていたからでしょう。優しくて強い方ですね」
自分を犠牲にしてでも彼女を自由にしたかったメイナード殿下
幼い頃から王妃にする為に己にも厳しく彼女にも厳しく自覚を持たせようとしていたベルナルド王太子殿下……か。
「…はい。シーバ国での身分もなくなり今国内はバタバタとしていると聞きました」
「お気持ちお察しいたします。メイナード殿下は今頃どちらにいるのでしょうかね、心配でしょう」
どんな男なんだろうか…一度会ってみたいものだ
しかし美談にしてはいけない…もっとやり方があったんじゃないかと?と、思ってしまう
「伯父様がこちらに連れてきてくださって、」
「えっ!待ってください。連れてきた…?誰をですか…?」
「?メイナード様のお話ですよね」
こてんと不思議そうに首を傾げるが…
え…っ。ちょ、まて…どう言う事が整理がつかない
ベルナルド王太子殿下がルアン王国に来たが、アルベルティーナ嬢が断った事により玉砕した。ここまでは理解が出来た
メイナード殿下もルアン王国にいる…?何のために…まさか…
「貴女と一緒になる為とか……言わないですよね?」
「えっ?それは無いですよ。メイナード様は国を出て自由が欲しかったそうです」
「なぜ、この国に?今はどちらに?」
「マティアス様には隠し事が出来なさそうなので…」
そう言って経緯を説明してくれた
メイナード殿下がファルク公爵に世話になっている?アルベルティーナ嬢と一つ屋根の下で!
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なんだか色々と話を聞いて疲れがどっと押し寄せて来た…
「…メイナード殿下はルアン王国で過ごすと…国王陛下の許可も得ている…そ、そうですか……それは、良かった、です、ね?」
変な言い回しになってしまった…どうしよう冷静に物事が考えられなくなってきた…
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肯定されてしまったら、どうしよう…
告白して玉砕…言わない方がよかったのではないか…困らせる要因になってしまった
両肩が重い…。自然に肩が落ちてきたのが分かった
頭を左右に振るアルベルティーナ嬢
「メイナード様の自由を奪うことは出来ません。わたくしはメイナード様に、心を寄せていましたが、妹のようだとか家族愛と言われてしまいました。失恋…ですね」
「失恋ですか…」
「はい。話を聞いてくださってありがとうございました。マティアス様と話をしていたら、ぐちゃぐちゃになっていた頭の中も少し落ち着いて来ました。
わたくしに足りないものは自分の意見を伝えると言う事ですね。一度両親に気持ちを伝えなくてはならないと思いました」
「逃げることが悪いとは言っていません。
逃げた先で幸せになれるのならばそれで良いと思います。だから貴女にはここで、この国で…シーバ国では体験できなかったことを楽しんでもらいたいと思っています。
私が貴女への気持ちを、告白したのはその為でもあります。
貴女のこれからを見ていきたい、貴女自身が変わっていく姿を…」
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