38 / 48
大舞踏会の終わり
しおりを挟むお兄様方にベルナルド様との事をお話ししました。
求婚されちゃんとお断りした事を、ユリウス兄様とイザーク兄様は驚きの表情を隠しきれませんでしたが、説明をしたところ納得したようで、一週間ほど滞在してシーバ国へ帰るとのことです。
「あのベルナルドが、大人しく引いたとは…」
「信じられない…」
「ベルナルド様と仲直りして下さいね」
お兄様方に言うと
「うーん。あっちの出方次第…かな」
「一度話はしてこよう」
と言いました。
ちょうどミーナとフランク殿下が、言い争いをしながらこちらへ来ました。
幼馴染だからか、そんな姿も仲が良さそうに見えました。
「ティーナ、ごめんね、何かあった?」
言えることだけをミーナにも伝えました
「そんなことがあったのね…ごめんね。知らなくて、こいつが令嬢に囲まれていて、助けを求めてきたから仕方がなく…助けてあげたら、以外と時間が経っていて」
こいつとフランク殿下を指をさしていました。これには笑ってしまいました
完全に仲直りの様子です
「シーバ国の令嬢に囲まれて…ダンスの誘いが次々と…押しが強くてホスト国の王子として断れなくて、たまたまヘルミーナが近くに来たから、つい」
「殿下…うちの妹をいいように使うのはやめて下さいね…」
マティアス様がお顔に青筋を立てて怒っていらっしゃいました
「はい、すみません。ヘルミーナ助かったよ」
げっそりした様子でした
「ティーナ帰ろうか。私は疲れたよ」
ニコラウスお兄様の提案で解散となりましたが…
「マティアス様…」
気がつくとマティアス様の上着を引っ張り、引き止めてしまいました。
「はい、どうされましたか?」
にこりと笑顔を見せて下さいました。落ち着くその笑顔を見てホッとしました
「お話があります、先ほどの続きを、」
「わかりました。少しお待ちください」
そう言ってマティアス様は、お兄様方達の元へ行き話をして戻って来られました。
「お許しが出ました。ここではなんですので場所を変えましょうか」
******
「わぁっ…素敵な場所ですね」
つるバラでアーチが作ってある。
いま立っているところはピンクのバラのアーチなのに、奥に行くたびに色の違うバラが楽しめるようになっていて、ランプの光と相まってとっても幻想的な雰囲気に飲み込まれそうになった。
「気に入って貰えましたか?」
「はい、とても美しいです」
近くには小さな噴水まで…外は空気が澄んでいて、星も美しく水面に映る
「こちらに座りましょうか?」
バラ園が鑑賞出来る様にベンチが備え付けてありました
マティアス様はわたくしが座れるようにとハンカチを敷いてくださいました。
手を取られたので、大人しくベンチに座る事にしました。
「少し肌寒いですね、私の物で失礼ですが…」
そう言って上着を肩に掛けてくださいました。
「それではマティアス様が、」
慌てて上着を取ろうとしました
「いいから掛けていてください。私はこう見えても鍛えていますし、あなたのドレスは寒そうです」
肩が出ているデザインのドレスでは確かに肌寒く感じるので、ありがたく上着を借りることにしました。
「ありがとうございます。お借りします」
シーンと静まり返ってしまいました
「「あの」」
同時に声を発した事で少し緊張が解け、お互い目があい笑いました
「あっ、マティアス様からどうぞ」
「はい、それではお先に失礼します」
コホンと咳払いをされて
「先程は、失礼いたしました。口が過ぎました。そして偉そうに口を挟んでしまいました」
頭を下げられました。謝られることなどないのに
「いいえ。悪いのはわたくしです。ちょっとした八つ当たりというか。本当にごめんなさい」
頭を下げました。そおっっとこちらを伺うマティアス様
「頭を上げてください、貴女に謝られる事などありません」
「ありがとうございました。気持ちは決まっていたのですが、ちゃんと返事をしないから、昨日は王太子殿下にされるがままでした。逃げることばかりで、わたくしは卑怯な人間なのです」
「いいえ、そうではありません。私が貴女の事情も知らずに偉そうな事を言ってしまいました」
「マティアス様に言われて、ちゃんと自分の気持ちを伝えなくてはと思いました。分かっていたのに怖くて言えなっかことを、マティアス様は背中を押してくださいました」
首を振るマティアス様
「偉そうなことを貴女に言っておきながら自分は何も言えないんですよ。だから貴女を通じてヘルミーナを見ているだなんて思わせてしまったんです。卑怯なのは私の方です」
22
お気に入りに追加
2,487
あなたにおすすめの小説
【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!
しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。
たった一度の浮気ぐらいでガタガタ騒ぐな、と婚約破棄されそうな私は、馬オタクな隣国第二王子の溺愛対象らしいです。
弓はあと
恋愛
「たった一度の浮気ぐらいでガタガタ騒ぐな」婚約者から投げられた言葉。
浮気を許す事ができない心の狭い私とは婚約破棄だという。
婚約破棄を受け入れたいけれど、それを親に伝えたらきっと「この役立たず」と罵られ家を追い出されてしまう。
そんな私に手を差し伸べてくれたのは、皆から馬オタクで残念な美丈夫と噂されている隣国の第二王子だった――
※物語の後半は視点変更が多いです。
※浮気の表現があるので、念のためR15にしています。詳細な描写はありません。
※短めのお話です。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません、ご注意ください。
※設定ゆるめ、ご都合主義です。鉄道やオタクの歴史等は現実と異なっています。
運命の相手が変態すぎてどうすればいいですか?
日之影ソラ
恋愛
この国で生まれた貴族の娘は、十八歳になると運命の相手を見つける儀式を受ける。大聖堂に集まり、透明な水晶に映し出される人物こそ、その人が生涯を共にする相手。
一度見てしまえば運命には抗えない。強制的に一緒にいることを義務付けられる。
「せめて普通の人でありますように……」
レイネシアも十八歳になり儀式を受けることになった。そして浮かび上がった人物を見て、周囲の人々はクスクスと笑う。
「あなたの相手は、アレクト殿下です」
「え……」
なんと運命の相手に選ばれたのは王子様だった。
でも、ただの王子様じゃない。
人間に一切興味がなく、動物しか愛せない変わり者――世間を騒がす『変態王子』。
【本編完結】婚約者を守ろうとしたら寧ろ盾にされました。腹が立ったので記憶を失ったふりをして婚約解消を目指します。
しろねこ。
恋愛
「君との婚約を解消したい」
その言葉を聞いてエカテリーナはニコリと微笑む。
「了承しました」
ようやくこの日が来たと内心で神に感謝をする。
(わたくしを盾にし、更に記憶喪失となったのに手助けもせず、他の女性に擦り寄った婚約者なんていらないもの)
そんな者との婚約が破談となって本当に良かった。
(それに欲しいものは手に入れたわ)
壁際で沈痛な面持ちでこちらを見る人物を見て、頬が赤くなる。
(愛してくれない者よりも、自分を愛してくれる人の方がいいじゃない?)
エカテリーナはあっさりと自分を捨てた男に向けて頭を下げる。
「今までありがとうございました。殿下もお幸せに」
類まれなる美貌と十分な地位、そして魔法の珍しいこの世界で魔法を使えるエカテリーナ。
だからこそ、ここバークレイ国で第二王子の婚約者に選ばれたのだが……それも今日で終わりだ。
今後は自分の力で頑張ってもらおう。
ハピエン、自己満足、ご都合主義なお話です。
ちゃっかりとシリーズ化というか、他作品と繋がっています。
カクヨムさん、小説家になろうさん、ノベルアッププラスさんでも連載中(*´ω`*)
気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました
結城芙由奈
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした
ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる