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マティアス
しおりを挟む「マティアス様、何度もご面倒をおかけしまして申し訳ございませんでした」
アルベルティーナ嬢に謝られたが、私が勝手にやっている事。ヘルミーナにも助けてあげて。と言われたがそこは喜んでアルベルティーナ嬢の助けになりたい。
「とんでもありません、私でよければいつでもお呼びください」
「心強いお言葉ありがとうございます。
お兄様達に助けを求めようにも、令嬢達に囲まれて…ふふ。お兄様達にも出会いがあると良いのですけど。問題児のわたくしに構ってばかりいると出会いをみすみす逃してしまいますもの」
「問題児だなんて…高貴な出にも関わらず優しくて、思いやりもあり、可愛らしくて可憐、…って私は何を…」
自分で言っていて恥ずかしくなった。恐らく顔は赤く染まっている事だろう。こんな告白じみた事を聞かせてしまうなんて…アルベルティーナ嬢を困らせるつもりなどない
「あ、ありがとうございます…わたくしが今こうして生活できるのは、ミーナやマティアス様が良くしてくださっているからですもの、とても感謝しています」
「すみません…困らせるつもりは無かったのですが…。あなたはシーバ国で辛い思いをしてこちらへ来たのですから、良かったら私も頼ってくださると嬉しいです。
たった一人の妹を守ってやれなかった自分が不甲斐なくて…。あなたにも同じ思いをさせたくはないのです」
ヘルミーナが国を出て行ってからでは遅かった…もっと早く気づいてやればこんな事にはならなかった
後悔しかないのにヘルミーナはありがとうと言ってくれた…
「マティアス様は、その後調査をしてミーナの冤罪を晴らしたではないですか。素晴らしいと思いました」
「いえ…もっと早く気が付いていればと…後悔しかありません」
「ミーナはとても頼れるお兄様だとお話をしてくださいました。わたくしにも兄がおりますし気持ちはよく分かります。だからご自分を責めないで下さい」
微笑んでこちらを見てくるアルベルティーナ嬢を見て胸が熱くなった。私がしてきたことは間違いではなかったのかも知れない
「ヘルミーナと殿下が話すきっかけを作ってくれたのも貴女です。ヘルミーナは、スッキリした面持ちで私に話をしてくれた」
「それは、たまたま殿下と同じクラスだったからです。わたくしも殿下とお話をする事が無かったら、ミーナを傷つけた殿下を許せませんし、色眼鏡で見ていたかもしれません。
ミーナはすごいです。わたくしもミーナのおかげで、今までの考え方が変わりましたもの」
ふふっと笑みを溢すアルベルティーナ嬢
「…貴女に何かあると気が気ではありません。宜しかったら貴女の側で守らせて欲しいのです」
先ほどの笑った顔とは違い眉を顰めるような困った顔をした。
変なことを言ってしまったのか?
「マティアス様は…わたくしを通してミーナを見ているのではありませんか?」
「それは…どう言う意味でしょうか……?」
「マティアス様は…婚約者に裏切られた、可哀想なわたくしを…見ているのでしょうか?ミーナに重ねて…」
「そんな!私はただ貴女を、貴女のことが、」
「わたくしは、ミーナではありません…同じ境遇ではありますが、マティアス様にご迷惑をおかけすることは出来ません。
ミーナも新たに婚約した事ですし、マティアス様もそろそろ自由になってもよろしいのではないですか?」
アルベルティーナ嬢に言われた、ミーナに重ねていると言う言葉…そんなつもりはなかった。アルベルティーナ嬢を傷つける言葉だったのかも知れない
ちゃんと誤解を解きたい、そして私の気持ちを知ってもらいたいのに、言葉が出ない…
アルベルティーナ嬢が言う自由とはなんだろう…
「ティーナ!ここに居たのか」
「王太子殿下…ごきげんよう」
ドレスの裾を摘み礼をするアルベルティーナ嬢…少し顔色が変わった
「もう十分楽しんだだろう?国へ帰るぞ、メイナードの事はもう忘れろ。お前を捨てた男だぞ」
「……ません」
「なんだ?」
「帰りません…わたくしは」
「我儘はここまでだ、国に帰り私と結婚する。ティーナが生まれた時から決まっていた事なんだ、もう子供ではないから分かるだろう」
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