上 下
29 / 48

大舞踏会初日

しおりを挟む

舞踏会は二日間行われます。
 一日目は舞踏会、二日目は交流を兼ねての立食会です。もちろんダンスホールも健在


「先日来た時とはまた感じが違いますね」
 伯父様とお兄様方と王宮へと来ました

「若い子向けだから、明るい感じだよね」
伯父様は言いました

「なんで父上がいる訳?若い貴族の集まるパーティーなんだけど」

「ティーナに悪い虫がつかないか監視だよ」
にこりと微笑まれた


「伯父上…あまりティーナを甘やかさないで下さい」
「そうですよ。ティーナの為にならない」

 ユリウス兄様、イザーク兄様が言いました

「分かっているけど、無理なんだよ!お前らに言われたくないっ」

 ニコラウスお兄様が答えました
 


「…わたくしに出会いなんてありませんよ…今日だってシーバ国から子息令嬢が来るのでしょう?きっと悪く思われるのだわ」

「それは無い!昨日も言っただろう」


 お兄様方は昨日こちらに着きました。もう少し早く来るつもりだったらしいのですが、気になることがあったらしくそれを済ませてから来たそうです。
 久しぶりの再会でしたので、夜遅くまでおしゃべりを楽しみました。メイナード様やわたくしの留学期間の事を聞きたかったのですが、それは舞踏会が終わってから話す。と言われてしまいました。


 今回の舞踏会は交流会を兼ねた出会いの場でもある為に、パートナー不在でオッケーと言う気軽な面もありました。

 お兄様方と両陛下にご挨拶へと行くことになりました。

「アルベルティーナ嬢、来てくれて嬉しいわ。ユリウス殿イザーク殿も久しぶりですね」

「覚えていてくださって光栄です」
 お兄様方とわたくしも礼をします

「貴方達のご両親も大舞踏会で出会いましたのよ。良い出会いがあると良いですね、楽しんでください」

「はい、勿体ないお言葉です」

「アルベルティーナ嬢、此度は息子とヘルミーナ嬢の仲を取り持ってくれた事感謝する」

 陛下にお声を頂きました…

「いえ、わたくしは何もしておりません。お二人は幼馴染だとお伺いしております。そのお二人がまた幼馴染に戻られた事は心より嬉しく感じております」

「そういう事にしておこう。そうじゃ、ここに一人の愚か者がおっての。悪いが…一曲だけダンスに付き合ってくれんか?おい、フランクを呼んで来てくれ」

 すぐに殿下がやって来ました


「フランク、アルベルティーナ嬢をダンスに誘え」
「えっ?アルベルティーナ嬢を…?」
「早くせい、後がつかえるぞ!」

「アルベルティーナ嬢、良かったら私と一曲お付き合い下さいませんか?」
 跪き手を取られました

「喜んでお受け致します」
 すっと取られていた手に軽く挨拶のキスをしてきました

 お兄様達は鋭い視線を向けていますが、断れませんもの…陛下から言われましたのよ。殿下とは同じクラスの友人です

「では、行きましょう」

 エスコートされてダンスホールへ向かいました。にこりと笑う殿下の顔…シーバ国の令嬢達を虜にしています。
 シーバ国にも殿下とミーナの噂は伝わっていますが、美丈夫は得ですね


「殿下はダンスがお上手なんですね」
「アルベルティーナ嬢もとても上手だし踊りやすいから楽しいよ」
「ふふっ、ありがとう存じます」

 一曲終えてお互いにお礼をしました



「レディお次は私と踊って頂けませんか?」



…えっ。この声は…
「レディどうしました?」
「アルベルティーナ嬢、どうした!」

「フランク王子、そちらのレディを渡してもらおうか?次の相手は私だ」

「いや、しかし…」


「おいで。ティーナ」
「ベルナルド、様っ」

 グイッと腕を引っ張られベルナルド様の腕の中に収まりました…

「どうした、顔色が悪いな休もうか…?」
「いいえ、だいじょうぶ、です」
 

「なんで、ベルナルドさま、が…」
「ここに居るのかって?」 
こくんと頷きました

「ティーナを迎えに来たんだよ…なんで留学なんてするんだか…」


「殿下!妹から離れて下さい」
 ユリウス兄様とイザーク兄様、ニコラウスお兄様まで

「この大舞踏会は男女の出会いの場でもある。私はティーナと出会った、それが問題でもあるか?」
「貴方はシーバ国王太子ですよ。他国に来て問題を起こすつもりですか!」


「問題なぞ起こしてない。ダンスを申し込んだだけだ。そして体調の悪いレディを介抱している。何か問題でも?」 

「妹が困っています、離れて下さい」
 イザーク兄様…


「ティーナ少し話をしようか?」
「……いいえ、」

「あるだろう?いつまでここにいるつもりだ、早く帰っておいで」
 ギュッと強く抱きしめられました

「殿下!」
ユリウス兄様が止めてくれますが、ベルナルド様は離してくださいません


「ベルナルド王太子殿下、ここは人目についてアルベルティーナ嬢が…場所を設けますので、移動願えませんか?」

「…フランク王子がそういうのならば、仕方がない、場所を移そう」


 ふとフランク殿下を見ると笑顔で答えてくださいました。

「フランク王子ねぇ…ティーナは相変わらず男をたらし込むのが上手い…」

 わたくしの肩を抱いているベルナルド様の手に力が入って痛い…

「あそこに居る令嬢は友達か?」

 顎で指された方向にはミーナとマティアス様が心配そうな顔をしていました

「はい」

「ふーん、あいつもか…」


******

いつも感想いただきありがとうございます!
楽しく読ませていただいています(^^)


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。 ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの? お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。 ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。 少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。 どうしてくれるのよ。 ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ! 腹立つわ〜。 舞台は独自の世界です。 ご都合主義です。 緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。

運命の相手が変態すぎてどうすればいいですか?

日之影ソラ
恋愛
この国で生まれた貴族の娘は、十八歳になると運命の相手を見つける儀式を受ける。大聖堂に集まり、透明な水晶に映し出される人物こそ、その人が生涯を共にする相手。 一度見てしまえば運命には抗えない。強制的に一緒にいることを義務付けられる。 「せめて普通の人でありますように……」 レイネシアも十八歳になり儀式を受けることになった。そして浮かび上がった人物を見て、周囲の人々はクスクスと笑う。 「あなたの相手は、アレクト殿下です」 「え……」 なんと運命の相手に選ばれたのは王子様だった。 でも、ただの王子様じゃない。 人間に一切興味がなく、動物しか愛せない変わり者――世間を騒がす『変態王子』。

婚約破棄の『めでたしめでたし』物語

サイトウさん
恋愛
必ず『その後は、国は栄え、2人は平和に暮らしました。めでたし、めでたし』で終わる乙女ゲームの世界に転生した主人公。 この物語は本当に『めでたしめでたし』で終わるのか!? プロローグ、前編、中篇、後編の4話構成です。 貴族社会の恋愛話の為、恋愛要素は薄めです。ご期待している方はご注意下さい。

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。

yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~) パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。 この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。 しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。 もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。 「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。 「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」 そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。 竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。 後半、シリアス風味のハピエン。 3章からルート分岐します。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。 表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。 https://waifulabs.com/

【完結】婚約破棄された公爵令嬢、やることもないので趣味に没頭した結果

バレシエ
恋愛
サンカレア公爵令嬢オリビア・サンカレアは、恋愛小説が好きなごく普通の公爵令嬢である。 そんな彼女は学院の卒業パーティーを友人のリリアナと楽しんでいた。 そこに遅れて登場したのが彼女の婚約者で、王国の第一王子レオンハルト・フォン・グランベルである。 彼のそばにはあろうことか、婚約者のオリビアを差し置いて、王子とイチャイチャする少女がいるではないか! 「今日こそはガツンといってやりますわ!」と、心強いお供を引き連れ王子を詰めるオリビア。 やりこまれてしまいそうになりながらも、優秀な援護射撃を受け、王子をたしなめることに成功したかと思ったのもつかの間、王子は起死回生の一手を打つ! 「オリビア、お前との婚約は今日限りだ! 今、この時をもって婚約を破棄させてもらう!」 「なぁッ!! なんですってぇー!!!」 あまりの出来事に昏倒するオリビア! この事件は王国に大きな波紋を起こすことになるが、徐々に日常が回復するにつれて、オリビアは手持ち無沙汰を感じるようになる。 学園も卒業し、王妃教育も無くなってしまって、やることがなくなってしまったのだ。 そこで唯一の趣味である恋愛小説を読んで時間を潰そうとするが、なにか物足りない。 そして、ふと思いついてしまうのである。 「そうだ! わたくしも小説を書いてみようかしら!」 ここに謎の恋愛小説家オリビア~ンが爆誕した。 彼女の作品は王国全土で人気を博し、次第にオリビアを捨てた王子たちを苦しめていくのであった。  

公爵令嬢エイプリルは嘘がお嫌い〜断罪を告げてきた王太子様の嘘を暴いて差し上げましょう〜

星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「公爵令嬢エイプリル・カコクセナイト、今日をもって婚約は破棄、魔女裁判の刑に処す!」 「ふっ……わたくし、嘘は嫌いですの。虚言症の馬鹿な異母妹と、婚約者のクズに振り回される毎日で気が狂いそうだったのは事実ですが。それも今日でおしまい、エイプリル・フールの嘘は午前中まで……」  公爵令嬢エイプリル・カコセクナイトは、新年度の初日に行われたパーティーで婚約者のフェナス王太子から断罪を言い渡される。迫り来る魔女裁判に恐怖で震えているのかと思われていたエイプリルだったが、フェナス王太子こそが嘘をついているとパーティー会場で告発し始めた。 * エイプリルフールを題材にした作品です。更新期間は2023年04月01日・02日の二日間を予定しております。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。

婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!

しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。

処理中です...