上 下
25 / 48

一歩前進です

しおりを挟む

「アルベルティーナ嬢、おはよう」
「おはようございます王子殿下」

「話があるんだけど良いかな?」
「…はい、なんでしょうか?」

 ここは教室内ですから、お話しする分には構いませんわね、クラスメイトとして

「ここではちょっと、話しにくい…かな」
「…それは困りましたね、もうすぐ授業が始まりますもの」


「放課後、ヘルミーナ嬢も連れてきて欲しい、生徒会室で待っている、良いかな?」
「聞いてみますわね」
「頼むよ」


 ミーナも連れてだなんてなんのお話でしょうか?
 ランチタイムでミーナに殿下の話をしますと、渋々ですが行きましょう。と言われました。ミーナは殿下と婚約破棄以降、挨拶以外の言葉は交わしていないそうです




******

「失礼します」
ノックをすると殿下の侍従の方がドアを開けてくださりました。お茶を用意して、侍従の方は隣室で控えるそうで、三人になりました


「アルベルティーナ嬢、ヘルミーナ嬢呼び出してすまない」


「改まってどうされましたか?」


 ミーナが答えましたので、ここは大人しく微笑んでおきましょう。
 元婚約者同士の話し合いに、なぜかどきどきと緊張をしてきました。こうやって二人を改めて見るのは初めてでした



「ヘルミーナ嬢、数々の非礼を詫びたい、申し訳なかった」
 席を立ち深々と頭を下げられました

「謝って済む問題ではないが、戻ってきてくれてありがとう」



「…詳細は兄から聞きました、殿下も辛い思いをされたんですね。わたくしは悲劇の令嬢なんて呼ばれていますけど、貴方に婚約破棄をされるように仕向けました。わたくしからは婚約を無かったことに出来ませんもの。
 あの子を虐めていると噂が立ったときも、わたくしは内心では楽しんでいたのです。
 ですから、わたくしも謝らなければなりません」


「いや、謝る必要はない。例のクスリの事を調査していて自ら罠にかかった。愚かだな… 幼い頃から君を見てきて、虐めなど卑劣な真似をするわけがないのにな。
 それに君が私に気持ちがないことも知っていたし、嫉妬するなんてことはないのも」


「…それは、」
「幼馴染で、婚約は単なる延長のようなものだろう?そう言うことすら話をしてこなかったんだ」

「そうですね、ごめんなさい」

「許してくれとは言わないが、戻ってきてくれて嬉しいと言うのは本当だ。罪の意識からと言うのもあるが、幼馴染として…元婚約者として…元気でいてくれてほっとしたよ」

 穏やかな顔つきの殿下を見るとずっと話をしたかったのだろうなと思いました。

「まだ戻ってくるつもりはなかったんですけど、ティーナと出会って友達になって…事情があって」
「理由はなんでもいい。アルベルティーナ嬢ありがとう、君がルアン王国に来てくれて嬉しいよ」


「いえ、私はなにも…逆にヘルミーナ様に励まされて、ルアン王国へ来ました。感謝をされる謂れはございませんし、わたくしはヘルミーナ様に感謝をしています」

「君がいなかったら彼女に謝ることすら出来なかった。やはり君に感謝するよ」

「…勿体ないお言葉です」



「お話はそれだけですか?それだけならもう帰っても良いですか?」
 ミーナってば…あっさりとしている

「ん…っと、アルベルティーナ嬢と少し話がしたいのだが」
「…わたくしがいてはお邪魔ですか?」
 怪訝な顔で答えるミーナ

「出来れば…なるべく早く済ませるから、席を外してくれると助かる」


「…わかりました。ティーナもし何か嫌なことをされたら叫ぶのよ!すぐに来るから!殿下には前科が、」
「ないわっ!言っておくけど男女の関係の噂はあの女が流したデマだ!そこは誓って言っておく!」


「へぇー。そうですか。ティーナの可愛さにうっかり手を、」
「だすかっ!バカなことを言うな」


 いつの間にかお互い自然に話をされていますね。仲直り?できたようで安心しました
 ミーナは扉は少し開けておくわね、と言い隣室へと行きました







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)ふざけんじゃないわよっ!! ーーこんな勝手な夫は捨てていいでしょう?(全4話程度)

青空一夏
恋愛
夜勤明けの私は誕生日にある場所に連れて行かれた。寝たいのに無理矢理連れて来られたその場所には義両親がいて義姉もいた。いったいここは? さらりとざまぁ展開のショートショート全3話から5話ぐらいで完結の予定。

たった一度の浮気ぐらいでガタガタ騒ぐな、と婚約破棄されそうな私は、馬オタクな隣国第二王子の溺愛対象らしいです。

弓はあと
恋愛
「たった一度の浮気ぐらいでガタガタ騒ぐな」婚約者から投げられた言葉。 浮気を許す事ができない心の狭い私とは婚約破棄だという。 婚約破棄を受け入れたいけれど、それを親に伝えたらきっと「この役立たず」と罵られ家を追い出されてしまう。 そんな私に手を差し伸べてくれたのは、皆から馬オタクで残念な美丈夫と噂されている隣国の第二王子だった―― ※物語の後半は視点変更が多いです。 ※浮気の表現があるので、念のためR15にしています。詳細な描写はありません。 ※短めのお話です。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません、ご注意ください。 ※設定ゆるめ、ご都合主義です。鉄道やオタクの歴史等は現実と異なっています。

婚約破棄の『めでたしめでたし』物語

サイトウさん
恋愛
必ず『その後は、国は栄え、2人は平和に暮らしました。めでたし、めでたし』で終わる乙女ゲームの世界に転生した主人公。 この物語は本当に『めでたしめでたし』で終わるのか!? プロローグ、前編、中篇、後編の4話構成です。 貴族社会の恋愛話の為、恋愛要素は薄めです。ご期待している方はご注意下さい。

間違った方法で幸せになろうとする人の犠牲になるのはお断りします。

ひづき
恋愛
濡れ衣を着せられて婚約破棄されるという未来を見た公爵令嬢ユーリエ。 ───王子との婚約そのものを回避すれば婚約破棄など起こらない。 ───冤罪も継母も嫌なので家出しよう。 婚約を回避したのに、何故か家出した先で王子に懐かれました。 今度は異母妹の様子がおかしい? 助けてというなら助けましょう! ※2021年5月15日 完結 ※2021年5月16日  お気に入り100超えΣ(゚ロ゚;)  ありがとうございます! ※残酷な表現を含みます、ご注意ください

【完結】逆行悪役令嬢、ざまぁ(※される方)のために頑張ります!〜皆さん、ヒロインはあちらです!〜

葉桜鹿乃
恋愛
「ニア・ユーリオ伯爵令嬢、君との婚約は破棄する。そして、アリアナ・ヴィンセント子爵令嬢への殺人未遂で捕らえさせてもらう」 グレアム・ミスト侯爵子息からの宣言に、私は死を悟った。 学園の卒業パーティー、私からグレアム様を掠め取ったアリアナ嬢が憎くて、憎くて、憎くて……私は、刃物を持ち込んでしまった。そして、殺人を犯す間際にグレアム様に刃物を叩き落とされた。 私の凶行によって全て無くし、死刑を待つ牢屋の中で、どうしてこうなったのかを考えていたら……そもそも、グレアム様に固執するのがよくなかったのでは無いか?あんな浮気男のどこがいいのか?と、思い至る。 今更気付いた所でどうにもならない、冷たい鉄の板に薄布が敷かれた寝台の上で「やり直せるなら、間違わないのに」そう呟いた瞬間、祖父からもらった形見のネックレスが光を放って……気付けば学園入学時に戻っていた?! よくわからないけどやり直せるならやり直す!浮気男(共)の本性はわかっている、絶対に邪魔はしない、命あっての物種だ! だから私、代表して晴の舞台で婚約破棄というざまぁをされます! さぁ皆さん、ヒロインのアリアナ嬢はあちらです! ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。 ※小説家になろう様でも別名義で連載しています。

使用人の私を虐めていた子爵家の人々は、私が公爵家の隠し子だと知って怖がっているようです。

木山楽斗
恋愛
使用人のアルシアは、仕えている子爵家の人々から虐められていた。 辛い毎日だったが、祖父母の代から続く借金があるため、彼女はそんな生活を続けるしかなかった。 ある日、彼女の元にエルード・ラーファンが訪ねて来きた。 公爵家の人間である彼は、アルシアに衝撃の事実を告げてくる。アルシアは、公爵家の隠し子だったのだ。 公爵家の人間が、子爵家で働き続ける必要はない。 そのため、アルシアは子爵家から出て行くことになった。 そんな彼女に対して、子爵家の人々は態度を一変させていた。彼らは、自分達より上の地位になったアルシアからの報復を恐れているようだ。 ※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。

王太子殿下の小夜曲

緑谷めい
恋愛
 私は侯爵家令嬢フローラ・クライン。私が初めてバルド王太子殿下とお会いしたのは、殿下も私も共に10歳だった春のこと。私は知らないうちに王太子殿下の婚約者候補になっていた。けれど婚約者候補は私を含めて4人。その中には私の憧れの公爵家令嬢マーガレット様もいらっしゃった。これはもう出来レースだわ。王太子殿下の婚約者は完璧令嬢マーガレット様で決まりでしょ! 自分はただの数合わせだと確信した私は、とてもお気楽にバルド王太子殿下との顔合わせに招かれた王宮へ向かったのだが、そこで待ち受けていたのは……!? フローラの明日はどっちだ!?

悪役令嬢はお断りです

あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。 この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。 その小説は王子と侍女との切ない恋物語。 そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。 侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。 このまま進めば断罪コースは確定。 寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。 何とかしないと。 でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。 そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。 剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が 女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。 そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。 ●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_) ●毎日21時更新(サクサク進みます) ●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)  (第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。

処理中です...