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悲劇の令嬢 ヘルミーナ
しおりを挟むわたくしは先日お会いしたカルム公爵夫人にお茶会のお誘いを受けて公爵家へと、やってきました。
わたくしと同じ歳の令嬢がいるそうです
夫人の娘さんなら、素敵な方に違いありませんね
夫人に紹介されたアルベルティーナ様は想像以上に美しい令嬢で、夫人譲りのピンクの髪の毛は緩やかなウェーブがかかり、大きな紫の瞳はアメジストのようにキラキラと輝いていた。
ここは室内ですよね?どこから光が?そう感じるほどに美しかった。
夫人に紹介されて、お茶会が進むうちにアルベルティーナ様が、私のこの国のはじめてのお友達だと言ってくださったので、大変光栄でした。
お話のきっかけになればと、婚約者様のお話を聞かせてもらおうとした所、涙を流されたので、驚いたのと何か力になりたいと思い、お話を聞かせてもらいました。
「………なんですって?」
ティーナのお相手の第三王子殿下は浮気者でした。それをティーナに見せつけるような行動を取る…サイテー男!
優しい?イケメン?気遣いができる?
そんなもの…婚約者に対して誠実ではない男が言われる事ではありません!
「ティーナ、わたくしは婚約破棄された悲劇の令嬢なんて呼ばれているのはご存知?」
気まずそうに頷くティーナの手を両手でギュッと繋ぐ。
ティーナが同じ立場に立たされるかも知れない。神様がきっと巡り合わせてくれたのね!でも噂とはすこーしばかり、話が違うのだけど…
「わたくしにも国に婚約者がいました。第二王子殿下のフランク様と仰って、幼馴染なんですけど真実の愛だ!と言って王妃様主催の舞踏会で婚約を破棄されましたの」
チラッとティーナを見ると涙目で、真剣に耳を傾けている
「お相手の方は男爵家のご令嬢でね、学園で知り合った元平民の方でした。フランク様曰く、貴族社会に慣れていない、天真爛漫なお姿に惚れたらしいのね」
「まぁ…なんてこと…」
「ふふっ、もう終わった話ですからね、気になさらないで!それで愛を深められて、男女の関係になったそうなのだけど…」
ティーナはゾッとするような顔をしています、貴族の子女にとっては信じられない話ですものね。
「その後も普通にわたくしを婚約者として扱うのよ。こちらとしては本当に嫌で仕方がなくてね、王族だからこちらからは破棄できないでしょう?なので、あちらが破棄したくなるようにしたの。
ちょうどその時にわたくしが男爵令嬢をいじめていると言う噂が立ってね、ご自分で虐められているとか言ったんでしょうけど、それならばと、噂を否定しませんでしたの。もちろん虐めなどの卑怯な行為は一切していませんのよ」
ティーナはうんうんと頷いてくれました。
出会ったばかりなのに、わたくしの話を信用してくださるなんて…
「水をかけられた、足を引っ掛けられた、ノートが破かれただの、自作自演ですけど、被害者ぶってフランク様に助けを求めるの。
犯人らしき人の特徴は、後ろ姿だったけど銀色の髪の毛をしていた。とね。
フランク様はその度にわたくしに苦言を言いにきますの。
必ず人の多いところでね。ですから一切肯定も否定もせずおりましたら、わたくしが何もしなくても面白おかしく噂は広がります。そうなるとね、わたくし面白くなってきてしまって…」
目を丸くして驚かれています。ティーナは表情が豊かですわね
「それでとうとう舞踏会で虐めを行うような卑怯な女とは結婚できないーーとなったの。それで第二王子の名にかけて国外からの追放と命じられたのよ。
それにはさすがに驚きましたけど、とっとと会場から出て、こちらの国に住む叔母様の元へ避難してきましたの。
伯爵様も叔母様も快く迎えてくださってね、今は快適に過ごしているのよ。
その後はわたくしの兄様が、学園と王家に意見申しだてをして虐めた証拠はない、証人もいないという事で調査してくださった結果、男爵令嬢の自作自演だと言う証拠が出ちゃって…しかも怪しいクスリまで…。その辺は良くわからないし、興味もないのよ。それでね、戻ってくるように、と家からも王家からもお手紙が届いて困っています」
「そうだったのですね…ミーナは強いのですね。羨ましいです。わたくしはもうメイナード様を信じられなくなり、考える事に疲れてしまって、もう身を引いてメイナード様の姿が…噂が聞こえない所に逃げたいですもの、ミーナは第二王子殿下の事をお好きではなかったの?」
美しいお顔に影が落ちています。
お可哀想に…この国の王子もクズなのね…
「好きと言う感情よりも幼馴染と言う感じですね。見目は整っていますし、優しい方ですわよ。それに友人もたくさんおられたのですが、あの一件以来、信頼を無くしたそうで肩身の狭い思いをしているようです。
ティーナもし逃げるのなら、ルアン王国に来ない?わたくしの家に来て!兄様に連絡をしておくわ、とっても頼りになるのよ、ね!」
ティーナにウィンクをしました
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