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レオ・……
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レオ・ファーノン改め、レオ・モンテスこれが今の俺の名前……
バーの奥のカジノは封鎖された。場所を変えたらしい。金を巻き上げられ騙される老若男女を見ていると、生きた心地がしない。
学園を卒業したルシアが今はカジノの代表だ。帳簿系は苦手な為、俺が手伝っている。
最近この帳簿を見ていて気になることが出てきた。なにかがおかしいんだよな。
「レオ~終わった? ご飯食べに行こっ」
ルシアが派手なドレスを着て今日もバーに来た。どこか貴族の屋敷に呼ばれていたんだろう。
最近うちのカジノは店舗を持たず、貴族の屋敷を回っている。ディーラーは必須。
ディラーは正直な職業であり、人を騙してはいけない。そうなると一流としては失格だ。
うちで働くディーラーは、表のカジノでは働けなくなった者ばかり……
明るい場所でディーラーとして活動できないから違法カジノで働く。
ディーラーとは瞬時に計算したり、時間配分なども全て行い、ゲームの黒子的な存在かと思いきや、ディーラーが場を盛り上げ、楽しい時間をみんなと共有する。それがカジノディーラーなのだが……
客の中にカモが来た。と思うと、初めは気分良く勝たせ、盛り上がってきたところで、徐々に負けさせる……。あと一回、あと一回……それが中毒になるんだ。
俺はいつのまにか賭け事の中毒になっていたのだろう
「レオ~? どうしたの?」
「ルシアが美しいから見惚れていただけだよ」
派手なドレスに濃い化粧、都会の美しい女性と言った感じだが、毒がありそうな危険な香りがする。
「ふふっ。嬉しいことを言ってくれるわね。愛してるわよレオ」
俺に抱きつきキスを強請るルシアに、軽くキスをした。
ルシアの行きつけの店へ行き、酒を飲む。
「最近、見張られているような気がするのよね……」
「見張り? ルシアにか?」
「そうなの。馬車に乗っていても気になっちゃって。今度招かれている伯爵家のパーティーにはレオも一緒に来てくれない? パートナーがいないと寂しいのよぉ。ね、良いでしょ?」
「分かったよ」
パーティーの裏では賭け事が行われている。主催者にもうけさせて、うちは利益をもらっている。
ルシアが誘われるパーティーが胡散臭い貴族のパーティーかと思いきや、意外と名家だったりするので驚いた。
「みんな刺激が欲しいのよ。平和な世の中だものね。人の不幸は蜜の味……恐ろしいわね」
ふふっ。と笑うルシアに何にも言えずにいる。
「そう言えばこの間、セイラちゃんのお兄さんを見たわ。バンデラ子爵のパーティーで。セイラちゃんと同じミルクティーブラウンの髪色に琥珀色の瞳だったわ」
「ユベール兄さんが?」
「兄さん?」
ルシアの声色が変わった
「あぁ、すまない、癖だな。以前はそう呼んでいたんだ、気をつけるよ」
「裏のパーティーには参加していなかったけどね。そこにはオリバス様もいらしたわよ? セイラちゃんはいなかったけどね」
「ウィルベルト・オリバスか……」
懐かしい名前だ
「出世間違いなしの第二王子の秘書見習いですって。最年少で秘書官になるんじゃない? オリバス様のような方が落ちていく姿も良いかもしれないわね……」
ウィルベルト・オリバスが落ちていく姿……? あの男が? 想像がつかないな
「どう? 楽しくない?」
「あり得ないだろう? まず賭け事をするようなタイプに見えない」
「そうね。でもそう言うタイプがいつの間にかハマっていくのよ。オリバス伯爵邸でパーティーが行われたら素敵なことよね?
最近は取り締まりが強化されていて貴族のパーティーにも内偵がいるんじゃないかって言われているのよ。
オリバス邸なら監視の目は緩いわよね。清廉潔白な当主で王家に信頼されているものね」
こてんと俺の肩に頭を寄せてくるルシア。甘い香りがする。
鼻にこびりつくようなこの匂いを嗅いだことがある。いつだっけか?
「レオ、そろそろ帰ろっか。ルネも待っているわね。家族団欒の次は私と楽しみましょうね」
ルシアと結婚して一年が経った。ルネはこんな歪な親に育てられて幸せになれるのだろうか?
胸を張って堂々と生きていけるのか?
モンテスの名を名乗っていてもモンテスの血は受け継がれてはいない。
むしろ都合がいいのかも知れない
自分の意思の弱さに負けたが、賭け事はあれ以来一度もしていない。
息子の為にも……
バーの奥のカジノは封鎖された。場所を変えたらしい。金を巻き上げられ騙される老若男女を見ていると、生きた心地がしない。
学園を卒業したルシアが今はカジノの代表だ。帳簿系は苦手な為、俺が手伝っている。
最近この帳簿を見ていて気になることが出てきた。なにかがおかしいんだよな。
「レオ~終わった? ご飯食べに行こっ」
ルシアが派手なドレスを着て今日もバーに来た。どこか貴族の屋敷に呼ばれていたんだろう。
最近うちのカジノは店舗を持たず、貴族の屋敷を回っている。ディーラーは必須。
ディラーは正直な職業であり、人を騙してはいけない。そうなると一流としては失格だ。
うちで働くディーラーは、表のカジノでは働けなくなった者ばかり……
明るい場所でディーラーとして活動できないから違法カジノで働く。
ディーラーとは瞬時に計算したり、時間配分なども全て行い、ゲームの黒子的な存在かと思いきや、ディーラーが場を盛り上げ、楽しい時間をみんなと共有する。それがカジノディーラーなのだが……
客の中にカモが来た。と思うと、初めは気分良く勝たせ、盛り上がってきたところで、徐々に負けさせる……。あと一回、あと一回……それが中毒になるんだ。
俺はいつのまにか賭け事の中毒になっていたのだろう
「レオ~? どうしたの?」
「ルシアが美しいから見惚れていただけだよ」
派手なドレスに濃い化粧、都会の美しい女性と言った感じだが、毒がありそうな危険な香りがする。
「ふふっ。嬉しいことを言ってくれるわね。愛してるわよレオ」
俺に抱きつきキスを強請るルシアに、軽くキスをした。
ルシアの行きつけの店へ行き、酒を飲む。
「最近、見張られているような気がするのよね……」
「見張り? ルシアにか?」
「そうなの。馬車に乗っていても気になっちゃって。今度招かれている伯爵家のパーティーにはレオも一緒に来てくれない? パートナーがいないと寂しいのよぉ。ね、良いでしょ?」
「分かったよ」
パーティーの裏では賭け事が行われている。主催者にもうけさせて、うちは利益をもらっている。
ルシアが誘われるパーティーが胡散臭い貴族のパーティーかと思いきや、意外と名家だったりするので驚いた。
「みんな刺激が欲しいのよ。平和な世の中だものね。人の不幸は蜜の味……恐ろしいわね」
ふふっ。と笑うルシアに何にも言えずにいる。
「そう言えばこの間、セイラちゃんのお兄さんを見たわ。バンデラ子爵のパーティーで。セイラちゃんと同じミルクティーブラウンの髪色に琥珀色の瞳だったわ」
「ユベール兄さんが?」
「兄さん?」
ルシアの声色が変わった
「あぁ、すまない、癖だな。以前はそう呼んでいたんだ、気をつけるよ」
「裏のパーティーには参加していなかったけどね。そこにはオリバス様もいらしたわよ? セイラちゃんはいなかったけどね」
「ウィルベルト・オリバスか……」
懐かしい名前だ
「出世間違いなしの第二王子の秘書見習いですって。最年少で秘書官になるんじゃない? オリバス様のような方が落ちていく姿も良いかもしれないわね……」
ウィルベルト・オリバスが落ちていく姿……? あの男が? 想像がつかないな
「どう? 楽しくない?」
「あり得ないだろう? まず賭け事をするようなタイプに見えない」
「そうね。でもそう言うタイプがいつの間にかハマっていくのよ。オリバス伯爵邸でパーティーが行われたら素敵なことよね?
最近は取り締まりが強化されていて貴族のパーティーにも内偵がいるんじゃないかって言われているのよ。
オリバス邸なら監視の目は緩いわよね。清廉潔白な当主で王家に信頼されているものね」
こてんと俺の肩に頭を寄せてくるルシア。甘い香りがする。
鼻にこびりつくようなこの匂いを嗅いだことがある。いつだっけか?
「レオ、そろそろ帰ろっか。ルネも待っているわね。家族団欒の次は私と楽しみましょうね」
ルシアと結婚して一年が経った。ルネはこんな歪な親に育てられて幸せになれるのだろうか?
胸を張って堂々と生きていけるのか?
モンテスの名を名乗っていてもモンテスの血は受け継がれてはいない。
むしろ都合がいいのかも知れない
自分の意思の弱さに負けたが、賭け事はあれ以来一度もしていない。
息子の為にも……
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