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最終話

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「エミリオ様、お待たせしました」

 学園の寮に戻りエミリオに手紙を書いて、あって話がしたいと言うと外で食事をすることになった。なので今日は少しだけドレスアップした。学園の寮まで迎えに来てくれた。エミリオも正装までは行かないが、ビシッと決まっていた。

「いいえ、今日はお誘いありがとうございます。本日もとても美しいですね」

 にこっと笑うその仕草にきゅんとした。久しぶりというほどの日にちは経っていないけど、会いたくて仕方がなかったのだ……

 馬車に乗りレストランに連れてきて貰った。庭が見渡せるテラスでの食事のようだ。外なのに暖房がついていて肌寒さは感じられない不思議な空間だった。

 食事を終えて場所を移動し庭へと移った。四阿のような空間で落ち着くスペースでお茶とお菓子を準備すると給仕は去っていって二人だけになった。

 スージーもリュウさんも離れたところで控えてもらえるように頼んだ。

「素敵なレストランですね」

「出資をしているのですが、実は初めてきました。気配りも素晴らしいですね」

「はい……」

 ……無言でお茶を飲む。ダメだ言わなきゃ。

「ずっと気になっていたことがあって、それを確かめに行ってきました」

「その顔を見ると解決したようですね」


 私……顔に出るのね。気をつけよう。

「はい、一つ目は留学の延期です。問題なく卒業までいても構わないそうです」

「そうですか! それは良かったです」

「はい。好きにしても良いと言われていました。二つ目はお店の事です。兄にお願いしてどうなっているのかと思っていたら……ちゃんとしていました。私のスタイルはそのままでバージョンアップしていました。アレを見ると兄も実業家なんだと思い知らされました。お店は兄にそのままお願いすることになりそうですね」

「! っはい」

 あ、期待した顔をしている。エミリオも顔に出るタイプね。

「もう一つ、お話しましたが元夫……が再婚をするようで多産家系の方と縁が結ばれるそうです。そしてその子供が元夫の両親の養子に入ることで後継問題は解決しました。気になっていて……兄から聞かされて安心しました。兄の言葉は私を前向きにしてくれて、そして肩の力が抜けました。エミリオ様……こんな私でも受け入れて貰えますか?」

 パァっーと顔色が変わった。元夫と言うと嫌な顔をしていたのに。

 向かい合わせに座っていたエミリオは立ち上がり私に跪いて手を出してきた。

「ルーナ・ベルモンド嬢、どうか私と婚約をして欲しい。貴女を愛しています」

「エミリオ・フォンターナ様。わたくしも貴方をお慕いしています。不束者ですがどうか……よろしくお願いします」

 エミリオの手を取ったが、エミリオは動かない。

「エミリオ様? どうかなさったのですか?」


「……幸せを噛み締めています。嬉しくて仕方がないのです」

 ふるふると肩が震えていた。

「……お願いがあります」

「なんでも……いくつでもどうぞ!」

「元夫に愛されないと分かっていて離縁する事を念頭に結婚したのですが、そんな結婚生活は辛いので嫌です。なので……愛して、くださいね。裏切られるのはごめんです」

 恥ずかしい……でもエミリオなら……


「勿論です! 元夫? あいつの事はすっかり忘れてもらいますから覚悟をしておいてください! 私は……結婚するのなら愛情のある家庭にしたいと思っていました。今実現しないでいつすると言うのですか。貴女となら辛いことがあっても乗り越えられていける。そんな気がします」

「はい。お願いしますね。期待しています」

 ふぅ。とエミリオは息を整えてようやく立ち上がり私の隣に座ってきた。

「ルーナ嬢……触れても……良いですか?」

「……はい」

 エミリオに抱きしめられた。急なことで驚いたけど大きな腕にすっぽり抱きしめられた。私こんな距離で男性に触れられたことが無いものだからどきどきとして苦しい……これが人を愛すると言うことなんだろう。初めて知った。

「卒業まで待ちます。結婚してください」

「はい」

「領地経営やその他……家の事もすることが多々あると思いますが手伝ってください」

「はい。頑張りますね」


「陛下に挨拶に行かなくてはいけません。公爵家の跡継ぎの結婚なんで結婚式は盛大になると思います」

「……はい」

 盛大って言っちゃうんだ。どれくらいの規模なのか想像がつかない。


「ご家族全員にも出席してもらいたいのです」

「…………はい」

 お兄様がジョゼフとの結婚式に来なかったの知っているのね。

「最後に……花嫁修行にも来てほしいです」

「はい。喜んで」


******


 婚約する。と二人で公爵家に挨拶に行くと喜んで受け入れられた。私の家族も然り。


『ルーナの選んだ人だ。今度こそ幸せになってほしい』


 卒業までの間は寮で暮らしたかったのだが、エミリオがせっかく公爵邸が近くにあるのだから、通えば良い! と言い公爵夫妻の勧めもあって公爵邸で暮らすことになった。

(馬車を買ってくれたから断れなかった)


 エミリオは私のことをルーと呼ぶようになった。公爵夫妻は呆れていて恥ずかしいから二人の時だけにして。と言えど無理だと言われた。

 実家の両親も兄も、エミリオの様子が変わったからか苦笑いをしていた。



「砂糖が口から出てくるわ……何かしょっぱいものない?」

 お義母様が毎日口にする言葉。

 メイド達も皆口を揃えて、砂糖が……と言う。




 私の結婚生活ってしょっぱい(塩)か甘い(砂糖)かの二択なのね……

 その後、公爵家には一生分の砂糖が送られてくることになった。

 イチャイチャしているように見えるらしい。周りの人から見ても甘々なエミリオを見て驚いているものね。一生砂糖に困らないなんて幸せね。




【完】



 これにて完となりました。思っていたより長くなってしまいました。ざまぁタグは付けませんでしたがお仕置きという事で……(^_^;)最後までご覧頂きありがとうございました(* ᴗ ᴗ)


 最終回と言いながらもあと2話+1話更新します!明日全て更新します(   ̇ᵕ​ ̇ ) 

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