6 / 50
奥様と呼ばないで
しおりを挟む
「奥様、お、く、さ、ま」
メイド長に呼ばれても返事はしない。
「わたくしその様に呼ばれたくありませんの。わたくしには両親につけてもらったルーナという名前がございます。先程も申した通りそう呼んで貰いたいの。どうしてもダメかしら?」
お願い。と首を傾げて言われると流石のメイド長も嫌とは言えない様で
「こ、こほん。ルーナ様。大変言いにくいのですが、旦那様のお客様がまいられた様で、その、どうされますか? 追い出すことも可能ですが……」
お客様? あぁ! あの方が来たのね。結婚式の次の日に早速呼ぶなんて愛されているのね。
「まぁ、追い出すなんて! ご挨拶に行きますわ」
「おくさ、っとルーナ様自らご挨拶へですか!」
驚くメイド長にハッキリと伝える。
「えぇ、侯爵様の大事な方ですもの。ご挨拶を差し上げないと失礼にあたるでしょう? これからこの邸に住むのだから」
ジョゼフの昔からの恋人と聞いた。どんな方なのか見てみたい。っていう好奇心の方が勝っちゃったわ。
******
応接室へと行くとそこにはジョゼフと恋人がいた。何やら言い争っているみたい。
執事長や周りにメイド達もいるのに何をそんなに揉めているのだか……あ、夫婦喧嘩は犬も食わないとかって諺があるから仲裁は無意味ね。ずっと夫婦の様な関係だった。と言う事。
「……あ、ルーナ」
こちらに気がつき声をかけるジョゼフ。
「こちらの方が侯爵様の恋人ですのね? はじめまして、わたくしは昨日からこちらでお世話になっておりますルーナと申しますわ。お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「ルーナ、お世話って言うのは、どうかと、」
ジョゼフが何かを言いかけて、前に出てきた女の人。おいくつくらいかしら? ジョゼフと同じ位に見えた。胸元はあからさまにぱっくりと開いていて、男性はきっとこう言う女性が好きなんだわ……そう思った。
「奥様はじめまして。私はアグネスと申します。今日からお世話になります。以後お見知り置きを」
にこっと笑う目元のホクロがとても印象的。黒い長い髪の毛は妖艶で大人の女性と言った感じね。私とは真逆。
「はい。侯爵様から聞いておりますわ。わたくしのことは気軽にルーナとお呼びください。ところで何を揉めていらしたのでしょう? お伺いしてもよろしいですか?」
メイド達の困った顔を見て、理由だけでも聞いてみた。明らかにトラブルよね?
「あの、ルーナ、大したことではないんだ、だから気にしないで欲しい」
なぜか慌ててそんな事を言うジョゼフ。聞くのはこの人達じゃなさそうね。それなら……
「執事長、何か問題がありまして? わたくしには聞かせられないお話ですか?」
チラッと執事長がジョゼフを見るが、ジョゼフは観念したかの様に肩を落とした。
「旦那様のお客様がお過ごしになる場所についてでございます。離れは嫌だと申しまして、部屋をどうするかと言う問題が起きております」
「まぁ! この邸には離れがあるのね?」
メイド長が窓の近くにより手を指す方向を見る。離れと言っても一軒家の様な大きさ。白い壁に濃い緑の屋根が上品だ。
「すてきな建物ですのね。わたくしまだこの邸のことをよく知らないので、あのような離れがあるとは存じませんでしたわ」
広い敷地内ですもの。見て回りたいわね。
「お客様は本邸で過ごされたいと申しておりまして、旦那様は奥様が快適に過ごす為に、それは困ると断っております」
ジョゼフはキッと執事を睨むが執事はシラッとした顔をしていた。どっちに良い顔をしたいのかしら? 優先はアグネスでしょうに……
「まぁ、わたくしのことは気になさらなくても良かったですのに。アグネス様とおっしゃいましたよね? どうぞ本邸でお過ごしください。お部屋はたくさんありますでしょう? アグネス様が過ごしやすい様に、わたくしが離れでお世話になりますわ。それで解決という事にしませんか?」
にこりと笑うルーナ。家庭内いえ敷地内別居ね。何かあれば(ないに越したことはない)すぐに本邸に来られるし、ジョゼフに会わずにすむしいいこと尽くめじゃない!
「ダメだ! 私の妻はルーナだからそれは出来ない!」
「そうです、奥様には本邸にいてもらわないといけません」
「ルーナ様が離れなんて困ります」
そんなに反対しなくても……
「侯爵様。契約①を実行いたします」
「……それなら私は契約④だ!」
「ねぇ何の話をしているの? ルーナさんがいいって言ってんだからそれで良いじゃないの!」
「アグネス様のおっしゃる通りです。二対一ですので、わたくしは離れに行きます。家具の搬送準備をお願いしますわ」
パンっと手を叩いて、笑顔で応じる。
「……ルーナ!」
「お二人の邪魔は一切いたしません。それでは失礼しますわ。離れをみてきますわね」
うん。これでいい! 離れで暮らす事によりジョゼフの顔もアグネスの顔も見ないで済む! 契約までの一年間離れでしっかり稼ごう! 明日から私の事業を手伝ってくれる使用人も来る。
「へー。結構広いのねぇ。使用人部屋もあるし、キッチンも広ーい。うん、良いわね。ところで……この趣味の悪い家具を早くあちらに持って行く様に頼んでくれる?」
「はい、お嬢様」
お嬢様と私を呼ぶ侍女は私が実家から連れてきた。と言うかついて来た。スージーという二十歳の侍女だ。私が十歳の時から付いてくれていて頼りになるお姉さんと言う感じ。
私がジョゼフからの手紙で胸を痛めている時にスージーは何も言わず寄り添ってくれた。一人で泣いていたはずなのにスージーには分かったみたい。
よく慰めて貰ったし、唯一離縁する事も知っている信頼のおける侍女だ。
それからあっという間に引っ越しは完了。侯爵様が訪ねて来たと言うので、応接室に通した。
「すまないルーナ! なんとかして本邸に戻れる様にするから、」
「何を言ってますの? 侯爵様からアグネス様を邸に招くと聞いていましたので謝る必要はございませんわ。わたくしのことはお気になさらずに」
「そんな事が出来るほど私は冷血ではない!」
この人何を言っているのかしら?
「それでは冷血になってくださいな。契約内容は遂行しましょう。お互いそう言う約束ですから。お話は以上ですか?」
「……ルーナ」
「アグネス様がお待ちですよ? まだこちらに来て間もないでしょうし、一緒にいてあげてくださいね」
スージーに扉を開けさせ帰ってもらう様に促した。
……早く帰れっての。
メイド長に呼ばれても返事はしない。
「わたくしその様に呼ばれたくありませんの。わたくしには両親につけてもらったルーナという名前がございます。先程も申した通りそう呼んで貰いたいの。どうしてもダメかしら?」
お願い。と首を傾げて言われると流石のメイド長も嫌とは言えない様で
「こ、こほん。ルーナ様。大変言いにくいのですが、旦那様のお客様がまいられた様で、その、どうされますか? 追い出すことも可能ですが……」
お客様? あぁ! あの方が来たのね。結婚式の次の日に早速呼ぶなんて愛されているのね。
「まぁ、追い出すなんて! ご挨拶に行きますわ」
「おくさ、っとルーナ様自らご挨拶へですか!」
驚くメイド長にハッキリと伝える。
「えぇ、侯爵様の大事な方ですもの。ご挨拶を差し上げないと失礼にあたるでしょう? これからこの邸に住むのだから」
ジョゼフの昔からの恋人と聞いた。どんな方なのか見てみたい。っていう好奇心の方が勝っちゃったわ。
******
応接室へと行くとそこにはジョゼフと恋人がいた。何やら言い争っているみたい。
執事長や周りにメイド達もいるのに何をそんなに揉めているのだか……あ、夫婦喧嘩は犬も食わないとかって諺があるから仲裁は無意味ね。ずっと夫婦の様な関係だった。と言う事。
「……あ、ルーナ」
こちらに気がつき声をかけるジョゼフ。
「こちらの方が侯爵様の恋人ですのね? はじめまして、わたくしは昨日からこちらでお世話になっておりますルーナと申しますわ。お名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「ルーナ、お世話って言うのは、どうかと、」
ジョゼフが何かを言いかけて、前に出てきた女の人。おいくつくらいかしら? ジョゼフと同じ位に見えた。胸元はあからさまにぱっくりと開いていて、男性はきっとこう言う女性が好きなんだわ……そう思った。
「奥様はじめまして。私はアグネスと申します。今日からお世話になります。以後お見知り置きを」
にこっと笑う目元のホクロがとても印象的。黒い長い髪の毛は妖艶で大人の女性と言った感じね。私とは真逆。
「はい。侯爵様から聞いておりますわ。わたくしのことは気軽にルーナとお呼びください。ところで何を揉めていらしたのでしょう? お伺いしてもよろしいですか?」
メイド達の困った顔を見て、理由だけでも聞いてみた。明らかにトラブルよね?
「あの、ルーナ、大したことではないんだ、だから気にしないで欲しい」
なぜか慌ててそんな事を言うジョゼフ。聞くのはこの人達じゃなさそうね。それなら……
「執事長、何か問題がありまして? わたくしには聞かせられないお話ですか?」
チラッと執事長がジョゼフを見るが、ジョゼフは観念したかの様に肩を落とした。
「旦那様のお客様がお過ごしになる場所についてでございます。離れは嫌だと申しまして、部屋をどうするかと言う問題が起きております」
「まぁ! この邸には離れがあるのね?」
メイド長が窓の近くにより手を指す方向を見る。離れと言っても一軒家の様な大きさ。白い壁に濃い緑の屋根が上品だ。
「すてきな建物ですのね。わたくしまだこの邸のことをよく知らないので、あのような離れがあるとは存じませんでしたわ」
広い敷地内ですもの。見て回りたいわね。
「お客様は本邸で過ごされたいと申しておりまして、旦那様は奥様が快適に過ごす為に、それは困ると断っております」
ジョゼフはキッと執事を睨むが執事はシラッとした顔をしていた。どっちに良い顔をしたいのかしら? 優先はアグネスでしょうに……
「まぁ、わたくしのことは気になさらなくても良かったですのに。アグネス様とおっしゃいましたよね? どうぞ本邸でお過ごしください。お部屋はたくさんありますでしょう? アグネス様が過ごしやすい様に、わたくしが離れでお世話になりますわ。それで解決という事にしませんか?」
にこりと笑うルーナ。家庭内いえ敷地内別居ね。何かあれば(ないに越したことはない)すぐに本邸に来られるし、ジョゼフに会わずにすむしいいこと尽くめじゃない!
「ダメだ! 私の妻はルーナだからそれは出来ない!」
「そうです、奥様には本邸にいてもらわないといけません」
「ルーナ様が離れなんて困ります」
そんなに反対しなくても……
「侯爵様。契約①を実行いたします」
「……それなら私は契約④だ!」
「ねぇ何の話をしているの? ルーナさんがいいって言ってんだからそれで良いじゃないの!」
「アグネス様のおっしゃる通りです。二対一ですので、わたくしは離れに行きます。家具の搬送準備をお願いしますわ」
パンっと手を叩いて、笑顔で応じる。
「……ルーナ!」
「お二人の邪魔は一切いたしません。それでは失礼しますわ。離れをみてきますわね」
うん。これでいい! 離れで暮らす事によりジョゼフの顔もアグネスの顔も見ないで済む! 契約までの一年間離れでしっかり稼ごう! 明日から私の事業を手伝ってくれる使用人も来る。
「へー。結構広いのねぇ。使用人部屋もあるし、キッチンも広ーい。うん、良いわね。ところで……この趣味の悪い家具を早くあちらに持って行く様に頼んでくれる?」
「はい、お嬢様」
お嬢様と私を呼ぶ侍女は私が実家から連れてきた。と言うかついて来た。スージーという二十歳の侍女だ。私が十歳の時から付いてくれていて頼りになるお姉さんと言う感じ。
私がジョゼフからの手紙で胸を痛めている時にスージーは何も言わず寄り添ってくれた。一人で泣いていたはずなのにスージーには分かったみたい。
よく慰めて貰ったし、唯一離縁する事も知っている信頼のおける侍女だ。
それからあっという間に引っ越しは完了。侯爵様が訪ねて来たと言うので、応接室に通した。
「すまないルーナ! なんとかして本邸に戻れる様にするから、」
「何を言ってますの? 侯爵様からアグネス様を邸に招くと聞いていましたので謝る必要はございませんわ。わたくしのことはお気になさらずに」
「そんな事が出来るほど私は冷血ではない!」
この人何を言っているのかしら?
「それでは冷血になってくださいな。契約内容は遂行しましょう。お互いそう言う約束ですから。お話は以上ですか?」
「……ルーナ」
「アグネス様がお待ちですよ? まだこちらに来て間もないでしょうし、一緒にいてあげてくださいね」
スージーに扉を開けさせ帰ってもらう様に促した。
……早く帰れっての。
63
お気に入りに追加
5,396
あなたにおすすめの小説
【完結】私の婚約者は妹のおさがりです
葉桜鹿乃
恋愛
「もう要らないわ、お姉様にあげる」
サリバン辺境伯領の領主代行として領地に籠もりがちな私リリーに対し、王都の社交界で華々しく活動……悪く言えば男をとっかえひっかえ……していた妹ローズが、そう言って寄越したのは、それまで送ってきていたドレスでも宝飾品でもなく、私の初恋の方でした。
ローズのせいで広まっていたサリバン辺境伯家の悪評を止めるために、彼は敢えてローズに近付き一切身体を許さず私を待っていてくれていた。
そして彼の初恋も私で、私はクールな彼にいつのまにか溺愛されて……?
妹のおさがりばかりを貰っていた私は、初めて本でも家庭教師でも実権でもないものを、両親にねだる。
「お父様、お母様、私この方と婚約したいです」
リリーの大事なものを守る為に奮闘する侯爵家次男レイノルズと、領地を大事に思うリリー。そしてリリーと自分を比べ、態と奔放に振る舞い続けた妹ローズがハッピーエンドを目指す物語。
小説家になろう様でも別名義にて連載しています。
※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)
私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。
私と結婚したいなら、側室を迎えて下さい!
Kouei
恋愛
ルキシロン王国 アルディアス・エルサトーレ・ルキシロン王太子とメリンダ・シュプリーティス公爵令嬢との成婚式まで一か月足らずとなった。
そんな時、メリンダが原因不明の高熱で昏睡状態に陥る。
病状が落ち着き目を覚ましたメリンダは、婚約者であるアルディアスを全身で拒んだ。
そして結婚に関して、ある条件を出した。
『第一に私たちは白い結婚である事、第二に側室を迎える事』
愛し合っていたはずなのに、なぜそんな条件を言い出したのか分からないアルディアスは
ただただ戸惑うばかり。
二人は無事、成婚式を迎える事ができるのだろうか…?
※性描写はありませんが、それを思わせる表現があります。
苦手な方はご注意下さい。
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
モラハラ王子の真実を知った時
こことっと
恋愛
私……レーネが事故で両親を亡くしたのは8歳の頃。
父母と仲良しだった国王夫婦は、私を娘として迎えると約束し、そして息子マルクル王太子殿下の妻としてくださいました。
王宮に出入りする多くの方々が愛情を与えて下さいます。
王宮に出入りする多くの幸せを与えて下さいます。
いえ……幸せでした。
王太子マルクル様はこうおっしゃったのです。
「実は、何時までも幼稚で愚かな子供のままの貴方は正室に相応しくないと、側室にするべきではないかと言う話があがっているのです。 理解……できますよね?」
別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
貴方の運命になれなくて
豆狸
恋愛
運命の相手を見つめ続ける王太子ヨアニスの姿に、彼の婚約者であるスクリヴァ公爵令嬢リディアは身を引くことを決めた。
ところが婚約を解消した後で、ヨアニスの運命の相手プセマが毒に倒れ──
「……君がそんなに私を愛していたとは知らなかったよ」
「え?」
「プセマは毒で死んだよ。ああ、驚いたような顔をしなくてもいい。君は知っていたんだろう? プセマに毒を飲ませたのは君なんだから!」
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる