30 / 31
エドヴァルド2
しおりを挟む義父上とビルト伯爵領に行った。
金はかかるが、まずは決壊した川を塞き止める工事をした。
工事の人員は、積極的に領民を募った。自分たちの村なんだから当然だ。と皆が力を合わせていた。災害で一番被害が大きかった村だった。
工事には一年かかり水路も確保できた事から一から畑作りをする事になった。
落ち葉を発酵させ家畜のフンを混ぜ合わせた土壌作りをした。
農機具は村に行き渡るようにかなりの数を用意した。
この村では野菜を作ることになった。
違う村では麦を…ただ日照りが続く事が心配だ。以前は干からびてしまったと言う。
それなら、と、水路をなんとか拡張してみることにした。工事はもちろん村人が積極的に行った。
義父上が、隣国で知った技法を用いた
農作業をするにあたって村人は息を吹き返したかのように活気が出てきた。
その姿を見ていると僕も勇気付けられた
その様子を見て、ビルト伯爵、夫人も村人と交流を深めているようだ。
次の村では家畜が痩せ細っていた。
まずは餌の確保、ストレスをなくすことだった。放牧地を新たに作り直し餌となる牧草の手配など…忙しかった。
新鮮なミルクを飲む事ができるだろう、いつかは乳製品を作り村の特産となれば良い
ビルト伯爵と夫人は領地を回りながら、できる問題点は自分たちで改善したり、回ってくる書類と格闘しながらも、先祖代々の土地を守ろうと奮闘していた。
王都に戻ると、シルヴィアは婚約者のラウロ殿と出かけていると聞いた。
仲が良いようで安心していたが、帰ってきたシルヴィアの様子がおかしい。
護衛に聞くと、相手にすっぽかされたと聞いた…
信じられない。婚約者との約束をキャンセルするわけではなくすっぽかすとは!
シルヴィアに元気がないのは見ていて辛い
その後、婚約者とその義妹にバカにされていると周りから聞いた
成金だとか商人だとか、そう言った類らしいが、大事な家族をバカにされて、辛い思いをしているだろう。
今日もシルヴィアは婚約者殿と出掛けるらしい。シルヴィアが出て行った後、婚約者殿家から言付けで今日はキャンセルする。との事だった。一言だけ…
シルヴィアにそのことを伝えに街へ出かけた。
侍女と共に噴水広場で待つシルヴィア
来ないと分かっていても、待っている姿に心を打たれた。
今日のキャンセルのことを伝えに近くに寄ると、呆れた表情をしていた。『いつもの事です』と言うシルヴィア…
その後シルヴィアが嫁ぐ為に作らせた家具をバカな婚約者が義妹に使わせると言う、前代未聞の馬鹿な事をしでかした。
シルヴィアは傷つき、部屋から出て来なかった。僕は非力だ…こんな時にシルヴィアの役に立てないなんて
相手が許せなかった。シルヴィアが嫁いだ後も苦労しないように、領地を発展させ守りたいビルト伯爵や義父上の思いをラウロ殿はどう思っているのか!
シルヴィアの稼いだ金を湯水のように使うバカな義妹…
こんな家に嫁に行かなくてはいけないのか?
とうとうラウロ殿が皆のいる前で、シルヴィアと我が家を侮辱した。バカなことを…
もう我慢の必要がないか?僕も言いたいことは沢山ある、シルヴィアの前に出ようとすると、決心したような顔つきでビルト伯爵兄妹の前から笑顔で去ることにした。
その後両親に婚約を解消したいと言った顔はすっきりとしていたようにも見えた。シルヴィアが出した答えを尊重したいと家族で話し合った。
ビルト伯爵が義娘の教育を怠ったと言い爵位を返上、邸も由緒ある家具もありとあらゆるものは全て現金にし、使用人へ給金を我が家には慰謝料を頑張って捻出したようだ。
領地を領民を助けていただいた御恩を返せなかったと最後まで頭を下げていた伯爵。ラウロ殿はこの姿を知らなかったのか…知っていたらまた違っただろう。残念だ
爵位を返上したことから平民へとなり商人の家へと婿入りすることになったそうだ。
ビルトと言う家名を名乗る事が出来なくなり、ただのラウロになった。
大事な義妹は厳しい北の修道院へ
その後ビルト伯爵領は表向きは王家の管轄となったが、領地経営はベック家に任された。
広大な土地をこれからどうするかと考えていると楽しみでもある。
国からも優秀な人が派遣されたので、ビルト伯爵も安心だろう
ビルト伯爵家から貰った慰謝料は全て領民の為に使うことにした。
爺さんや義父のおかげでうちは潤っているし、王都から見て南東のベック伯爵領も王都から離れているものの発展している。
この金は本来なら前ビルト伯爵が邸を売ってでも用意しなくてはならない金だったのだから、それをやってのけた伯爵の意思を尊重したいと皆んなの意見が一致した。
お人好しだな…と思った
ーーーーーーーー
次回最終回になります
160
お気に入りに追加
6,788
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。
ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」
ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。
「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」
一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。
だって。
──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
離縁をさせて頂きます、なぜなら私は選ばれたので。
kanon
恋愛
「アリシア、お前はもうこの家に必要ない。ブライト家から追放する」
父からの予想外の言葉に、私は目を瞬かせる。
我が国でも名高いブライト伯爵家のだたっぴろい応接間。
用があると言われて足を踏み入れた途端に、父は私にそう言ったのだ。
困惑する私を楽しむように、姉のモンタナが薄ら笑いを浮かべる。
「あら、聞こえなかったのかしら? お父様は追放と言ったのよ。まさか追放の意味も知らないわけじゃないわよねぇ?」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ご自慢の聖女がいるのだから、私は失礼しますわ
ネコ
恋愛
伯爵令嬢ユリアは、幼い頃から第二王子アレクサンドルの婚約者。だが、留学から戻ってきたアレクサンドルは「聖女が僕の真実の花嫁だ」と堂々宣言。周囲は“奇跡の力を持つ聖女”と王子の恋を応援し、ユリアを貶める噂まで広まった。婚約者の座を奪われるより先に、ユリアは自分から破棄を申し出る。「お好きにどうぞ。もう私には関係ありません」そう言った途端、王宮では聖女の力が何かとおかしな騒ぎを起こし始めるのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうやら婚約者が私と婚約したくなかったようなので婚約解消させて頂きます。後、うちを金蔓にしようとした事はゆるしません
しげむろ ゆうき
恋愛
ある日、婚約者アルバン様が私の事を悪く言ってる場面に遭遇してしまい、ショックで落ち込んでしまう。
しかもアルバン様が悪口を言っている時に側にいたのは、美しき銀狼、又は冷酷な牙とあだ名が付けられ恐れられている、この国の第三王子ランドール・ウルフイット様だったのだ。
だから、問い詰めようにもきっと関わってくるであろう第三王子が怖くて、私は誰にも相談できずにいたのだがなぜか第三王子が……。
○○sideあり
全20話
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる