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食事の質

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「パンが硬い!」
カチャンっと乱暴にカップを置くライラ

「ライラ、行儀が悪い。食事のマナーを守りなさい!文句ばかり言うな」

 父がライラを注意する。たしかにマナー違反ではある。ライラは最近文句が多くなってきている

「いつも食べていたふわふわの柔らかいパンが食べたいの!紅茶も美味しくないし、チャウダーも出てこないし…バターをたっぷり使ったパイも!チーズも味が薄いの!」


たしかに最近食事の質が変わったようだ

******

執事を捕まえて食事について聞いてみた

「最近どうしたんだ?食事がはっきり言って美味くない」

「気がつきましたか…業者が変わりました。前の仕入れ業者が来なくなりましてね…それとお聞きだとは思いますが、あなたの婚約解消で慰謝料を捻出しなくてはなりませんので、今までと同じ生活をしようとしないでくださいね」


「だからと言って、茶葉やワインの質が落ちるとは、」
「何度言わせるつもりですか?質素にお過ごし下さい!それと仕事が溜まっています。書類に目を通してくださいね。社交は大事ですが、そこそこに!良いですか!です。お金が掛かるんですからね!絶対に問題を起こさないでください」


******

婚約解消だなんて、本気で言ってるのか?
あのがめついビルト家だぞ?歴史の古い我が家の名声を欲しがっているだけの…
バカバカしい…

 来週のパーティーのパートナーはひさしぶりに、シルヴィアを誘ってやるか…

手紙を書き、執事に渡す

「謝罪の手紙ですか?それはよろしいですね、お出しいたします」

 謝罪?なんのだよ…意味がわからんが、まぁ良い、仕事が溜まっているからそれどころではない

その後返事が返ってきた


【貴方との婚約の話は白紙となっております。もう他人となりましたので、お誘いは金輪際お受けする事はありません
追伸:何かありましたら弁護士まで】

なんだとっ!婚約は白紙になっている?どう言う事だ!
…そういえば父上も執事も言っていたような…本気、なのか?
シルヴィアは私の事を好きだろ

なんとか朝から仕事をこなし、今日の分が終わったのが夕方過ぎ、友人から誘われていたバーへと足を向ける。
執事に文句を言われたが、付き合いは大事だ

******

「ラウロ、こっちだ!」
名前を呼ばれた先には、学生時代からの二人の友人がいた

「久しぶりだな」

「ラウロ最近夜会に出ていないようだな?」
「まぁな」

手を上げて店員を呼びウィスキーを頼んだ

「最近シルヴィア嬢がエドヴァルド殿と、夜会に出ていて、お前のことを聞くと、存じ上げません。の一言で終わるからそれ以上聞けなくてな。お前のことを聞くとエドヴァルド殿の視線が怖くてそれ以上は聞けないからどうしたのかと思っていたら、元気そうだな」

「シルヴィア嬢と喧嘩をしたのか?早く仲直りした方がいいぞ。いくらお前の妹とシルヴィア嬢が仲良くないからと言って、妹ばかりの肩を持つなよ!」

…なんか言ったな。ライラとシルヴィアが仲が悪い?

「どう言うことだ?」

「お前の妹ライラ嬢?が、王都の街でシルヴィア嬢に暴言を吐き去っていったと言うのは有名な噂だぞ。性悪女と言ったとか、お前との結婚を許さないと、ビルト伯爵家の名前も出していたそうだ。人通りの多いところで同じくカフェにいた令嬢が目撃をしていて今話題だぞ」


「ライラが?!あの優しくて可愛いライラが?…シルヴィアにか…」

 嘘だろ、あのライラがそんな事を…いつもにこにことにぃ様にぃ様と、笑顔を振りまくライラが…

「お茶会でもシルヴィア嬢のことを商人の娘とバカにしていたらしい…これは聞き捨てならないぞ、注意をした方が良い、間に合ううちに」

…いや、手遅れかもしれない

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