19 / 31
ことの重大さ…?なんだそれ
しおりを挟む姫の寝室の前。
ケイトが姫を襲撃してるという女暗殺者の言葉を聞いて心配して、駆け付けてみたが、ちょっと躊躇する。
・・・女の子の部屋に入るのはぁ~ちょっとお~という迷いが生じている場合ではないので、それは平気だ。だが、ケイトの襲撃には、二パターン考えられる。
一つ目は、姫暗殺が目的だった場合。その場合なら、この扉の向こうは、かなりの臨戦態勢。一刻も早く加勢して姫の味方に付かなければならない。
もう一つ。それだった場合は問題なのだが、ケイトの目的が、姫を懐柔して結婚しちゃえば丸く収まるんじゃない?だった場合だ。それなら、この扉の向こうは、かなりヤバイ別の意味での臨戦態勢。え、そんなの覗いたら、駄目でしょ///的な光景が広がっている可能性がある。
ま・・・覗くか。この場合、仕方ないだろう。
扉に手をかけようとすると、目の前で扉が粉々になって吹き飛ぶ。
残念。前者の暗殺パターンだったようだ。
「姫!!大丈夫か!!」
俺が、部屋に向かって叫べば、
「大変!!逃げられちゃったの!!」
と姫が叫び返す。
部屋に飛び込んで、姫の部屋の窓から外を見れば、魔法で出した馬に乗って国境に向かって走るケイトが見える。
後から、ケイトの三人の従者たちがついていっているのが見えるから、失敗したら合流して逃走することは、事前に打ち合わせていたのだろう。
「英司君も、暗殺だったの?」
いや、そんな、今からバイト?みたいな軽い聞き方。そうだけれども。
姫の話によると、扉の前に気配を感じて警戒していたら、ケイトが侵入してきたらしい。
イケメンのケイトは、爽やかな笑顔で姫を口説きにかかったのだが、姫は、気持ちは嬉しいけれども私には想う人がいるから///と、断わったのだそうだ。
そこでケイトが豹変した。
懐柔できなければ、暗殺すると最初から決めていたのだろう。
毒のついたナイフで襲い掛かってきたから、聖魔法で応戦したら、思ったよりも強い姫の魔法に怯んで、窓から逃走したのだそうだ。
とにかく、無事でよかった。
英司君は?と、姫に聞かれて、俺は、モヘット・エキスのことも含めて、部屋で起こったことを姫に説明する。
「ケイト総受・・・『マリアーヌ・金剛山』ね。ちょっと手に入れてみたいわ。」
俺の話を聞いて、考え込んでいた姫がポソリと言う。
そこ?気になるのそこ?
よかったね、暗殺者のお姉さん。三倍とはいかないけれども、読者は一人増えたようだ。
「と、とにかく、まだニセ達が帰って来ていないのだから、早く止めないと。」
「そ、そうね。追いかけましょう!!」
姫が、右手を大きく振ると、翼の生えたユニコーンが一体現れた。
「さあ、早く乗って!!」
姫に促されて、姫の後ろに俺は乗る。
ユニコーンは、一声いななくと、夜空を風のように走り出した。
214
お気に入りに追加
6,797
あなたにおすすめの小説

冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。
ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。
事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw

本日より他人として生きさせていただきます
ネコ
恋愛
伯爵令嬢のアルマは、愛のない婚約者レオナードに尽くし続けてきた。しかし、彼の隣にはいつも「運命の相手」を自称する美女の姿が。家族も周囲もレオナードの一方的なわがままを容認するばかり。ある夜会で二人の逢瀬を目撃したアルマは、今さら怒る気力も失せてしまう。「それなら私は他人として過ごしましょう」そう告げて婚約破棄に踏み切る。だが、彼女が去った瞬間からレオナードの人生には不穏なほつれが生じ始めるのだった。

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!

【本編完結】実の家族よりも、そんなに従姉妹(いとこ)が可愛いですか?
のんのこ
恋愛
侯爵令嬢セイラは、両親を亡くした従姉妹(いとこ)であるミレイユと暮らしている。
両親や兄はミレイユばかりを溺愛し、実の家族であるセイラのことは意にも介さない。
そんなセイラを救ってくれたのは兄の友人でもある公爵令息キースだった…
本垢執筆のためのリハビリ作品です(;;)
本垢では『婚約者が同僚の女騎士に〜』とか、『兄が私を愛していると〜』とか、『最愛の勇者が〜』とか書いてます。
ちょっとタイトル曖昧で間違ってるかも?
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です

運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる