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待ち合わせには来ま…せん

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「…三十分かぁ…」

 私の名前はシルヴィアと言います。
今日は婚約者のラウロ様と待ち合わせをして、街を散策(デート)するでした

「はぁっ…今日も来ない」

 ラウロ様には最近義妹が出来ました。
 彼の家はビルト伯爵と言って、古くからある由緒正しい伯爵家です。
ビルト伯爵…つまり、彼のお父様が最近になり後妻の方を娶られたそうです。

 後妻の方には娘がいて、兄妹がいないラウロ様は義妹をとても大事にされています。



 義妹ライラ様が、急に伯爵令嬢になられたことから、不安に思っているらしく、ラウロ様を頼りにされていて、そんなライラ様を不憫に思ったラウロ様は、何を置いてもライラ様を優先なさるようになりました。
 まぁ、よくある話ですわね…おそらく、多分


 今日はどう言った理由で待ち合わせに来ないかも分かりませんが、恐らくライラ様と関係があるのだと思います。

 四十五分が経過しました…
 お待ちするのもそろそろ限界

「アンナ、そろそろ帰りましょうか?」

 後ろで日傘をさしてくれていた侍女のアンナにも申し訳ありませんね。

「…はい、本日も来られませんでしたね」
少し声が怒っていますわね。
そっと腰を上げたところに見慣れた男性の姿が目に入ってきました

「シルヴィア」

「あら、エドヴァルドお義兄さま、どうなさったの?」


 うちの説明を少し…
 私はベック伯爵の娘シルヴィアと申します。
ベック家は伯爵と言っても祖父の時代に陞爵をしたばかりのまだ新しい伯爵家と言えますね。
 祖父の功績は、前国王陛下のお命をたまたま救った事や、造船業でたまたま財産が増えた事により、多額の寄付をして橋やら街道やらを作った事による功績を認められたという事です。
 たまたまが重なっただけ!と祖父は笑って話しますが…たまたまで陛下のお命を?
まぁラッキーという事にしておきます…


 うちはそんなこともあって、結構な資産家で、商売もしていて順調に経営をしています。
 一方婚約者のビルト伯爵家は、由緒正しいお家柄ではあるものの、すこーし傾きかけているお家と言っても過言ではありません。


 由緒正しい伯爵家と、まだ新しい伯爵家が婚姻によってお互いにメリットがあると言う政略結婚ですね。
 お父様がビルト家に大きな貸しもあるそうです


 そんな我が家ですが、男子には恵まれず、父の親戚筋から養子をもらう事になりました。
女子は家を継げませんからね…

 それがこちらにいらっしゃるエドヴァルドお義兄さまです


「ビルト伯爵家から言付けだよ。今日は急な用事が出来たからキャンセルして欲しいそうだ」

…来ないとは思っていましたけど、出る前に教えて貰えないものですかね。
時間の無駄でした


「わざわざお義兄さまが来なくても、邸のものに頼めばよろしかったのに」

 今日ではなくて、今日が正しいんですけどね…お義兄さまごめんなさいね

「用事があったついでだから気にするな。本屋に用事がある、新刊を買いに来たんだ」

 手を差し出されたので立ち上がりました。それなら私もお義兄さまと本屋さんへ参りましょう。
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