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告白2

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「貴女に似合いそうなものを選んだつもりです。気に入らなかったら捨ててくださっても、」
「いいえ、そうではないのです。嬉しいですが、アーネスト様から首飾りを頂けるとは思っていなくて、驚きました」

 首飾りは首が絞まってしまうからクララさんに禁止していたから、私も首飾りをするのはやめた。クララさんが興味を持ったら可哀想だから。

「あまり首飾りを好んでいないからですか?」

「いえ。そうではありません。クララさんに首飾りは危ないと言っていたではありませんか、それで私も首飾りをしなくなりました。クララさんといる時に引っかかっては大変ですから」

 クララさんもジェシーさんもわんぱくですから、何に引っ掛かるか分かりませんものね。

「それは誤解をさせてしまいました。クララはまだ子供で目を離すと何をするか分からないからです。アリス嬢はアクセサリーなどをつけなくても美しいのですが、その胸元を飾るのが私の贈ったものだと嬉しいと思いました」

「恥ずかしいですわ」

 アーネスト様の口から出てくる言葉に嬉しくも恥ずかしくなる。答えは決まっていた。



「別れるのは惜しいですがそろそろ送って行きます。遅くなってはいけませんね」

「はい」

 まだ話し足りないけれど、すぐに返事をする事はできない。馬車に乗りしばらくは沈黙だった。でも嫌な空間ではなくて心地がいい。アーネスト様と過ごす時間は心地が良い。アーネスト様から告白されたのは正直嬉しい。でも! もっと自信を持って欲しい。素晴らしく、優しい方、私の事を思って伝えてくれた。でも返事はいつすれば良いのかしら。なんて思っていたら屋敷に到着した。ドアをノックされ降りようとするアーネスト様に声を掛ける。

「あ、あのっ」

「はい、何でしょうか?」

「返事はいつしたら良いでしょうか。手紙? それともアーネスト様に会いにいけば良いですか?」

 あと一週間でグレマンへ戻ることになる。お父様を説得しなきゃ。

「良い返事を期待しながらも、返事を聞くのが少し怖いですね……一週間後私は領地へ帰ります。私の告白を受け入れてくれるのなら一緒についてきて欲しいです」

「はい、分かりました」

「一緒に来てくれるのならばその首飾りを付けてきて下さい。それでないのなら捨てるなりあげるなりお任せします」


 家族を説得する時間は一週間と言うこと。

「手を出してくださいますか?」

「はい?」

 手を出した。すると手を取られて軽く唇を落とされた。

「アリス嬢、私は貴女のことが好きです。どうぞ私を選んでください。後悔はさせません。今夜は楽しい夜を過ごせて幸せでした“また”という約束ができれば良いのですが今はそれも叶いません。おやすみなさい」

 急な出来事で顔がかぁっーと赤くなる。好きって言われた……

「お、おやすみなさい」

 “また”と言えない寂しさ。別の家に戻るアーネスト様に寂しいと思ったこともあったけれど今日は胸がドキドキして眠れそうにない。こう言う時は一つ屋根の下にいなくて良かったと思う。心臓がもたないから。

 馬車が門を出るまで見送っていた。





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