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約束通り王都を案内します
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「やはり王都の人の多さには慣れませんね」
約束通りアーネスト様に王都の街を案内することにした。確かに人が多い。
「今日は特に多いみたいですね。広場で何か催しものがあるみたいですね」
広場へいく人の流れを見ていた。
「大道芸人が来るのだそうです。ポスターが貼ってあります」
大道芸か。市民に人気があるのよね。
「見に行きますか?」
「そうですね。市民の邪魔をしてはいけませんので少しだけ覗きに行きましょうか?」
貴族らしい? ドレスを着ているわけではないけれど、顔を見られたら気がつかれてしまうかもしれない。ゴシップ新聞に載ってしまったから私は今ちょとした時の人? と言っても同情される記事だったけれど。
「わぁ。すごい人ですね。遠くから眺めるのが良さそうですね。屋台も出ていますがわたあめはありませんね……」
屋台を眺めるがそれらしきものはなくがっかりする。美味しかったなー。
「まだ王都にはないようですね。アリス嬢はわたあめがお気に入りでしたから残念でしたね」
わたあめはグレマン領で口にしたものの中でベスト3に入る思い出の食べ物。大道芸を少し見物してから離れることにした。最後まで見ていたら広場を離れる人の流れに押しつぶされそうだもの。
「人を食いしん坊みたいに言わないでください。でもグレマン領で口にしたものは美味しいものが沢山あったので否定は出来ませんね……」
王都にいると王子の婚約者という立場でどこで誰に見られているか分からなかったし、屋台の物を口にするなんて出来なかった。まさか魚を串にさした物を頬張るなんて想像もしなかったし想像以上に美味しかったんだけど。
「そろそろ行きましょうか? 人の流れが変わってきています」
アーネスト様が付き人にお金を渡していた。大道芸人へのチップなんだそう。そういう気遣いって大事よね。
「王都で大道芸が見られるなんて知りませんでしたのでついチップを弾んでしまいました。またここにきてくれると市民も喜ぶでしょう」
私もチップを払いたいと言ったらそう答えるアーネスト様。ここにいる市民のことまで考えてくれたのですね。チップが多くもらえるとまたここにきて芸をしたいと思ってくれるだろうし、稼ぎが多いとやる気につながるわよね。パッと見た感じ私たち以外にも貴族はいたから今日の稼ぎは多いのかもしれませんね。
「そろそろ食事にしませんか? 我が家でよく利用しているお店がありますのでそちらを予約してあります」
流石に屋台で食事というわけにはいきませんね。お礼も兼ねているのだから。
「いいですね。行きましょう」
人が多く行き来しているので歩いてレストランまで行くことにした。歩いて15分程だから街並みを楽しみながら歩くのも悪くないと思っていたのだけど……
「アリス嬢大丈夫ですか? 良かったら腕につかまってください」
はぁはぁ。馬車だとね、ここまで登り坂だって分からなかったから。
「アーネスト様は平気そうですわね。涼しいお顔をしています」
そうですよね。鍛えていますものね。乗馬の際も胸板が厚くて安心感がありましたわ。
「このくらいはなんともありませんよ。アリス嬢を抱えて歩く事も可能ですがそれは望まれないでしょうからゆっくりと行きましょう。予約の時間にはまだ余裕があるようですし」
遠慮なく腕を貸してもらうことにした。腕も筋肉がついていてガッチリとしている。王都の騎士様とはちょっと違うよね。少し小高い場所にあるから少し登っていくと景色も綺麗だし風が抜けるから気持ちがいい。
「あそこにベンチがありますね。レストランに入る前に少し座りませんか?」
呼吸を整えてからレストランに入った方が良いわよね。
「アリス嬢はこちらに」
ハンカチをベンチに敷いてくれた。私のハンカチはというと汗を拭うのに使ってしまった。
「遠慮なくお借りします」
アーネスト様は王都にいる間は貴族の紳士になる魔法でもかけられているのかしら? そう思うほどグレマン領にいるときのアーネスト様とは違うような気がする。
「馬車で来るのと歩くのでは違いますね。私から歩こうなどと提案しておいてこんな様をお見せしてご迷惑をおかけしました」
自分で提案していてみっともないところを見せた。あぁ恥ずかしい。こういうのに慣れていないからかっこいいところを見せようとは思わないけれど、せめてスマートに案内したいと思っていたから。
「私は歩くのが好きなのでこういうお誘いは大歓迎ですよ。街を歩いて市民の生活を感じながら散策をして美味しい物が食べられるのでしょう? グレマン領では味わえないような料理なんでしょうねぇ。たまに王都に来ないといけないなと痛感しましたので誘って頂けてよかったです」
アーネスト様は失敗してもいい風に導いてくれるような懐の広さだわ。トラブルがあっても難なく回避してくれそう。
「呼吸も整いましたので、そろそろレストランへ行きましょう」
レストランの建物は見えている。すぐそこだった。
「そうですね。よかったらこのままエスコートさせていただいてもよろしいですか?」
「えぇ。お願いいたします」
エスコートされレストランへと入った。
約束通りアーネスト様に王都の街を案内することにした。確かに人が多い。
「今日は特に多いみたいですね。広場で何か催しものがあるみたいですね」
広場へいく人の流れを見ていた。
「大道芸人が来るのだそうです。ポスターが貼ってあります」
大道芸か。市民に人気があるのよね。
「見に行きますか?」
「そうですね。市民の邪魔をしてはいけませんので少しだけ覗きに行きましょうか?」
貴族らしい? ドレスを着ているわけではないけれど、顔を見られたら気がつかれてしまうかもしれない。ゴシップ新聞に載ってしまったから私は今ちょとした時の人? と言っても同情される記事だったけれど。
「わぁ。すごい人ですね。遠くから眺めるのが良さそうですね。屋台も出ていますがわたあめはありませんね……」
屋台を眺めるがそれらしきものはなくがっかりする。美味しかったなー。
「まだ王都にはないようですね。アリス嬢はわたあめがお気に入りでしたから残念でしたね」
わたあめはグレマン領で口にしたものの中でベスト3に入る思い出の食べ物。大道芸を少し見物してから離れることにした。最後まで見ていたら広場を離れる人の流れに押しつぶされそうだもの。
「人を食いしん坊みたいに言わないでください。でもグレマン領で口にしたものは美味しいものが沢山あったので否定は出来ませんね……」
王都にいると王子の婚約者という立場でどこで誰に見られているか分からなかったし、屋台の物を口にするなんて出来なかった。まさか魚を串にさした物を頬張るなんて想像もしなかったし想像以上に美味しかったんだけど。
「そろそろ行きましょうか? 人の流れが変わってきています」
アーネスト様が付き人にお金を渡していた。大道芸人へのチップなんだそう。そういう気遣いって大事よね。
「王都で大道芸が見られるなんて知りませんでしたのでついチップを弾んでしまいました。またここにきてくれると市民も喜ぶでしょう」
私もチップを払いたいと言ったらそう答えるアーネスト様。ここにいる市民のことまで考えてくれたのですね。チップが多くもらえるとまたここにきて芸をしたいと思ってくれるだろうし、稼ぎが多いとやる気につながるわよね。パッと見た感じ私たち以外にも貴族はいたから今日の稼ぎは多いのかもしれませんね。
「そろそろ食事にしませんか? 我が家でよく利用しているお店がありますのでそちらを予約してあります」
流石に屋台で食事というわけにはいきませんね。お礼も兼ねているのだから。
「いいですね。行きましょう」
人が多く行き来しているので歩いてレストランまで行くことにした。歩いて15分程だから街並みを楽しみながら歩くのも悪くないと思っていたのだけど……
「アリス嬢大丈夫ですか? 良かったら腕につかまってください」
はぁはぁ。馬車だとね、ここまで登り坂だって分からなかったから。
「アーネスト様は平気そうですわね。涼しいお顔をしています」
そうですよね。鍛えていますものね。乗馬の際も胸板が厚くて安心感がありましたわ。
「このくらいはなんともありませんよ。アリス嬢を抱えて歩く事も可能ですがそれは望まれないでしょうからゆっくりと行きましょう。予約の時間にはまだ余裕があるようですし」
遠慮なく腕を貸してもらうことにした。腕も筋肉がついていてガッチリとしている。王都の騎士様とはちょっと違うよね。少し小高い場所にあるから少し登っていくと景色も綺麗だし風が抜けるから気持ちがいい。
「あそこにベンチがありますね。レストランに入る前に少し座りませんか?」
呼吸を整えてからレストランに入った方が良いわよね。
「アリス嬢はこちらに」
ハンカチをベンチに敷いてくれた。私のハンカチはというと汗を拭うのに使ってしまった。
「遠慮なくお借りします」
アーネスト様は王都にいる間は貴族の紳士になる魔法でもかけられているのかしら? そう思うほどグレマン領にいるときのアーネスト様とは違うような気がする。
「馬車で来るのと歩くのでは違いますね。私から歩こうなどと提案しておいてこんな様をお見せしてご迷惑をおかけしました」
自分で提案していてみっともないところを見せた。あぁ恥ずかしい。こういうのに慣れていないからかっこいいところを見せようとは思わないけれど、せめてスマートに案内したいと思っていたから。
「私は歩くのが好きなのでこういうお誘いは大歓迎ですよ。街を歩いて市民の生活を感じながら散策をして美味しい物が食べられるのでしょう? グレマン領では味わえないような料理なんでしょうねぇ。たまに王都に来ないといけないなと痛感しましたので誘って頂けてよかったです」
アーネスト様は失敗してもいい風に導いてくれるような懐の広さだわ。トラブルがあっても難なく回避してくれそう。
「呼吸も整いましたので、そろそろレストランへ行きましょう」
レストランの建物は見えている。すぐそこだった。
「そうですね。よかったらこのままエスコートさせていただいてもよろしいですか?」
「えぇ。お願いいたします」
エスコートされレストランへと入った。
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