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爆弾娘
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~ナセル~
なんだったんだろうか、あのマリと言う爆弾娘は。
異世界の話を聞くと確かに便利なんだろうけれど、それがどう言う原理で作られどういった材料が必要かも分からないという。
こんな便利な物があれば良いのになぁ~! と言う幼い時に思った事をそのまま言えば誰でも異世界の記憶持ちになる。
空を自由に飛びたいとか、そこの扉を開けるとすぐにシャノンの部屋に繋がるとか……うん。それは是非欲しい!
移動が楽だし時間の短縮にも繋がる。しかし今からシャノンに会いに行くと言う気持ちを持ちながら移動するのは嫌いではない。
確かに馬車移動で車輪がぬかるみにハマるのは良くあり時間のロスだ。
街道の整備を急がせたいと言っている最中なだけに、こんくりーと? あすふぁると? と言ったものは便利なんだろう。しかしそれがどういったものかも分からないとなればお手上げだ。せめて材料くらい分からないものなのか?
くるまとやらも便利なものだろうが……作り方や素材すら、この世界にないのならば爆弾娘の妄想かもしれない。
あの爆弾娘と私が婚約? 絶対無理だ! まずシャノンに対しての態度も気に食わない!
王宮の私の誕生日会で神殿行きが決まったからこれで平穏な生活に戻るだろう。
父上が言ったようにこの国と異世界がマッチしたような物を提案したならその都度褒美を出すと言っていた。褒美は宰相殿が担当するとの事だし任せることにしよう。
爆弾娘の事を考えていたら、頭が痛くなってきたのでお茶でもしようとしたら、執務室の扉がノックされた。返事をすると扉が開けられ入ってきたのは兄だった。珍しいことがあるもんだ。
「今いいか?」
「えぇ、ちょうど休憩をしようとしていた所です」
兄を招き入れてお茶を淹れるように頼んだ。
「大変だったな」
爆弾娘の事か。あれからようやく爆弾娘が静かになったらしい。確かに……大変だった。
異世界の記憶持ちで、その頃から私のことが好きだったと聞いた時は正直言って、恐ろしいと思った。自分が知らないところで人に執着されていると言うのはなんとも言えない気分だった。会ったこともなく【すちる?】 というもので覚えていただけだという。
あにめ? げーむ? よく分からない事を口走っていたようで神殿では爆弾娘は毎日清められているようだ。
「はい。兄上も大変でしたね。心中お察しいたします」
と言うのも、爆弾娘は私と結婚して王妃になりたいと言いだしたの出そうだ。これには驚いた。
王位になど興味がないしこの国には兄上という立派な後継者がいるのに何を言い出すのかと、爆弾娘が本気で怖かった。
「父上がお前の誕生会で、異世界の記憶持ちで王妃になったものがいるなんて言ったから本気で受け取ったのだろう。お前は本当に王位に興味がないのか?」
兄が真面目な顔で聞いてきた。こんな事を兄に聞かれるのは初めての事だった。
だからこれには本音で伝えることにした。
「兄上……その答えですが…………全く興味がありません。努力を惜しまず将来の王となるに相応わしい器を持った尊敬する兄が私にはいますからね。それに私が王になったらシャノンは絶対に結婚なんてしてくれませんよ。私は幼い頃からシャノンと結婚したいと思っていました。知っていますよね?」
初めは兄も緊張していたようだが、途中で拍子抜けしたのか苦笑いした。
「そうだったな。お前がそれを心から望んでいるのなら応援するとしよう」
「えぇ。シャノン共々よろしくお願いいたしますね。やっと婚約してくれたんですからね」
あとは今後の爆弾娘の話と他愛無い話をして執務に戻って行った。
それからしばらくして神殿内での爆弾娘の話を聞いた。
物を作る能力は皆無だが、中々実りのある話が出てきたようだ。
爆弾娘が記憶するに住民票があり誰がどこに住んでいるかがすぐにわかるシステムがあったようで、税金や年金制度と言った物があったようだ。
給料によって税金が決まるというシステムも素晴らしいと思った。
全て取り入れるのは難しいのだろうが、これから徐々に整備していくのはどうかと議題に挙がっている。
保険制度と言うのは、保険料を支払えば国民全員が医者にかかれると言う公正な制度だと思った。貧しいものには減税する事も頭に入れるとの事だ。
平民を雇ってそう言った制度のまとめ役なる場所を作ってはどうかと言う話が進められた。これにより大きく雇用も変わってくるだろうし、生活水準も高くなればいいと思う。
爆弾娘はすっかり神殿の生活に慣れ毎日のんびり暮らしているのだそうだ。
遠目で一度見たのだが……美味いものの食べ過ぎなのか、人の目を気にしないからなのか、しばらく見ない間にすこし……いやかなりふくよかになり、見た目が変わっていた。
美味いものを食べさせて、爆弾娘から異世界の話を聞き出しているのだと言う。
司祭は爆弾娘を手懐けているそうだ。
お陰で私達の身の周りも静かになって司祭には頭が上がらない。
なんだったんだろうか、あのマリと言う爆弾娘は。
異世界の話を聞くと確かに便利なんだろうけれど、それがどう言う原理で作られどういった材料が必要かも分からないという。
こんな便利な物があれば良いのになぁ~! と言う幼い時に思った事をそのまま言えば誰でも異世界の記憶持ちになる。
空を自由に飛びたいとか、そこの扉を開けるとすぐにシャノンの部屋に繋がるとか……うん。それは是非欲しい!
移動が楽だし時間の短縮にも繋がる。しかし今からシャノンに会いに行くと言う気持ちを持ちながら移動するのは嫌いではない。
確かに馬車移動で車輪がぬかるみにハマるのは良くあり時間のロスだ。
街道の整備を急がせたいと言っている最中なだけに、こんくりーと? あすふぁると? と言ったものは便利なんだろう。しかしそれがどういったものかも分からないとなればお手上げだ。せめて材料くらい分からないものなのか?
くるまとやらも便利なものだろうが……作り方や素材すら、この世界にないのならば爆弾娘の妄想かもしれない。
あの爆弾娘と私が婚約? 絶対無理だ! まずシャノンに対しての態度も気に食わない!
王宮の私の誕生日会で神殿行きが決まったからこれで平穏な生活に戻るだろう。
父上が言ったようにこの国と異世界がマッチしたような物を提案したならその都度褒美を出すと言っていた。褒美は宰相殿が担当するとの事だし任せることにしよう。
爆弾娘の事を考えていたら、頭が痛くなってきたのでお茶でもしようとしたら、執務室の扉がノックされた。返事をすると扉が開けられ入ってきたのは兄だった。珍しいことがあるもんだ。
「今いいか?」
「えぇ、ちょうど休憩をしようとしていた所です」
兄を招き入れてお茶を淹れるように頼んだ。
「大変だったな」
爆弾娘の事か。あれからようやく爆弾娘が静かになったらしい。確かに……大変だった。
異世界の記憶持ちで、その頃から私のことが好きだったと聞いた時は正直言って、恐ろしいと思った。自分が知らないところで人に執着されていると言うのはなんとも言えない気分だった。会ったこともなく【すちる?】 というもので覚えていただけだという。
あにめ? げーむ? よく分からない事を口走っていたようで神殿では爆弾娘は毎日清められているようだ。
「はい。兄上も大変でしたね。心中お察しいたします」
と言うのも、爆弾娘は私と結婚して王妃になりたいと言いだしたの出そうだ。これには驚いた。
王位になど興味がないしこの国には兄上という立派な後継者がいるのに何を言い出すのかと、爆弾娘が本気で怖かった。
「父上がお前の誕生会で、異世界の記憶持ちで王妃になったものがいるなんて言ったから本気で受け取ったのだろう。お前は本当に王位に興味がないのか?」
兄が真面目な顔で聞いてきた。こんな事を兄に聞かれるのは初めての事だった。
だからこれには本音で伝えることにした。
「兄上……その答えですが…………全く興味がありません。努力を惜しまず将来の王となるに相応わしい器を持った尊敬する兄が私にはいますからね。それに私が王になったらシャノンは絶対に結婚なんてしてくれませんよ。私は幼い頃からシャノンと結婚したいと思っていました。知っていますよね?」
初めは兄も緊張していたようだが、途中で拍子抜けしたのか苦笑いした。
「そうだったな。お前がそれを心から望んでいるのなら応援するとしよう」
「えぇ。シャノン共々よろしくお願いいたしますね。やっと婚約してくれたんですからね」
あとは今後の爆弾娘の話と他愛無い話をして執務に戻って行った。
それからしばらくして神殿内での爆弾娘の話を聞いた。
物を作る能力は皆無だが、中々実りのある話が出てきたようだ。
爆弾娘が記憶するに住民票があり誰がどこに住んでいるかがすぐにわかるシステムがあったようで、税金や年金制度と言った物があったようだ。
給料によって税金が決まるというシステムも素晴らしいと思った。
全て取り入れるのは難しいのだろうが、これから徐々に整備していくのはどうかと議題に挙がっている。
保険制度と言うのは、保険料を支払えば国民全員が医者にかかれると言う公正な制度だと思った。貧しいものには減税する事も頭に入れるとの事だ。
平民を雇ってそう言った制度のまとめ役なる場所を作ってはどうかと言う話が進められた。これにより大きく雇用も変わってくるだろうし、生活水準も高くなればいいと思う。
爆弾娘はすっかり神殿の生活に慣れ毎日のんびり暮らしているのだそうだ。
遠目で一度見たのだが……美味いものの食べ過ぎなのか、人の目を気にしないからなのか、しばらく見ない間にすこし……いやかなりふくよかになり、見た目が変わっていた。
美味いものを食べさせて、爆弾娘から異世界の話を聞き出しているのだと言う。
司祭は爆弾娘を手懐けているそうだ。
お陰で私達の身の周りも静かになって司祭には頭が上がらない。
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