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公認カップル?

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「それで付き合う事に?」

 ルイズ様とレイレ様とランチをしていました。女子会ですね。

「そんなっ、付き合うだなんて」


 ぶんぶんと手を振る。知恵熱で学園を休んだ次の日でした。次の日と言っても二日間お休みしてしまいました。頭がいっぱいいっぱいで考えすぎて熱が出た。
 入学してから色々ありすぎたから、疲れが溜まったのかもしれないってお医者様に言われました。
 休んでいた間はナセル様からお花と手紙が届いて、こんな事が前にもあったなぁ……って懐かしい気持ちが蘇ってきました。あの時は泣いてばかりいたけれど、今はちがうから。


「ルイズ様、付き合うだなんて、失礼でしょう。ご婚約なさるのよね?」

 レイレ様まで……


「それはそうですわよ。シャノン様の誕生日会であんなにベタベタイチャイチャとしていたんですもの。あれで婚約しないなんて周りが許しませんわよねぇ。マックスも苦笑いでしたわよ。侯爵様が頻繁にナセル様に注意をするのが見ていて面白かったですわよね」


 マックスお兄様はナセル様を見て確かに苦笑いをしていた。お兄様も周りの方におめでとうございます。って……言われてた!


「あ! もしかしてあの時のマックスお兄様がおめでとうって言われていたのって!」


「今更ですか?」

 くすくすとお二人が笑い出した。


「お兄様にもご迷惑をお掛けしてしまって……」

「大丈夫ですわよ。マックスもわたくしも、何のことか存じませんがありがとうございます。とお答えしておきました」

 かぁーっと顔が赤くなる。きっとこれも外堀を埋めると言うことなんでしょう。


「あら、シャノン様。お顔が赤いですわよ。可愛らしいですわね」


「レイレ様まで、おやめください……」

 穴があったら入りたい。お二人は婚約者がいるから余裕の会話なんでしょうが、免疫がないもの。



「シャノンいじめられているのか?」


「「「ナセル様」」」


「うん? シャノンが顔を赤くしてるから助けに来た。こんな可愛い顔を他の男に見せたくないからね」


 周りをチラリと見ると、サッと目を逸らす生徒たち。


「今は女子会です! 男性は邪魔です。そんなんだとシャノン様に嫌われますわよ」
 

「それは困るね。じゃあ後でねシャノン」

 顔を両手で隠して下を向いた。頭をくしゃりと撫でられた。



「あら、シャノン様はナセル様のこと?」

 レイレ様が楽しそうに聞いてきた。

「昔からとっても仲良かったんですよ! すこーしだけブランクがありますけれど、すぐ取り戻せますわよ」


 それから来月のナセル様の誕生日会の話になった。令嬢らしくドレスやアクセサリーの話題になり、私の誕生日会のドレスが可愛かったと褒めてくださった。


 薄いピンクのパールが可愛かったとレイレ様が気に入ってくださったようで、お誕生日プレゼントのお返しに良いのかもしれない。コレット侯爵家のパールですし、レイレ様が付けてくださると人気が出そうですわね。
 そうだ! ルイズ様と三人お揃いのパールの装飾品を作ってもらうのも良いのかもしれない。早速お母様にお願いしなくちゃ。

 
******


「あーあ。コレット嬢はやっぱり殿下と婚約かー。なんだかんだと俺はミカエルと婚約説が有力だと思っていたのになぁ」

 ミカエルと友人達が話をしている。

「ミカエルはよく会っていたって話だったがコレット嬢とそういう仲にはならなかったのか?」

「あ、あぁ。まぁな……」


 ……頼むからその話はしないでくれ。傷口に塩を塗りつけるような発言なんだぞ。

 シャノンは学園で。って言ったが見かけることはあってもあっちは気づきもしないし、挨拶すら出来る距離ではない。遠い存在だ。



「コレット嬢と婚約したら侯爵になれたのにな。ミカエルはそう言うの興味なかったんだな。流石だ!」

「あぁ、そうだな」


「ミカエル嫡男だもんな。入婿より伯爵家の当主になった方がいっか」

「まぁな……」


 言えない。シャノンのことが気になっていると言うことを。今更だもんな。侯爵にも釘を刺された。相手は殿下……無理だろ。
 しかも僕が家を継がなくても弟が居るんだ。そんな事思いもしなかった。


 しばらくは立ち直れそうにないが、とりあえず母に言われた通り見合いだ。はぁっとため息を一つ吐いた。



「ねぇ! なんで! 諦めるの? ミカエルらしくないじゃない! 好きなんでしょう」



「マリか、どうしたんだ?」


 友人が答えた。僕はこのマリと言う令嬢が何を考えているのか分からなくて怖い。

 それに僕らしくない。って、なんだ? そんなに僕のことを知らないだろうに。それに大きな声を出さないでくれ。丸聞こえじゃないか! 少し黙るように注意をしようとする。


「私も諦めたくないもん。私が婚約するんだから絶対に負けない!」


「マリ、悪いけど静かにしてくれないか? 周りに迷惑だ」


 ここは食堂。周りの目があるし、マリと懇意にしていると思われたくない。既に公爵家に目をつけられているんだ、次はないんだぞ……。 

 学園といえど家で家族に話をしたら、すぐ格好の餌食なる。貴族とはそういうものだろ? もうほぼ決まっている王家の縁談をぶち壊すとなると下手したらお家取り潰しもあり得る。家や家族に迷惑がかかる行動は慎むべきである。学園は貴族社会の縮図そのものだ。











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