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シャノンのお誕生日会
しおりを挟むそれからしばらく……
コレット侯爵の一人娘シャノンの誕生日となるとそれはそれは盛大だ。
シャノンは婚約者がいない為、お近づきになりたいと願う家はとても多い。
「誕生日会の招待をありがとう」
「ナセル様、お忙しいのにごめんなさい。クラスの皆さんもお誘いしていいお返事を貰えて良かったです」
カルロス様やレイレ様まで来てくださると言う。お母様がクラスのお友達を招待したら? と言ってくださったので、勇気を出したお誘いしたら喜んで参加するよ。と言って下さった。
「クラスの皆は友達だろう? そりゃ喜んで招待を受けるよ」
「はい、嬉しいです!」
「シャノン誕生日にエスコート役がいないなんて寂しいだろう? 私にシャノンのエスコート役をさせて貰えないだろうか?」
お母様がナセル様はきっとエスコート役をしたいと言ってくるはずだ。と言っていたけど、その通りになった。
「はい、お願いします」
「わ! 珍しい。シャノンが素直に受け取った」
「お父様が、エスコートをしてくださると言ったの。お母様のエスコートももちろんお父様で両手に花だ! って言っていらしたんですけれど、ナセル様にお願いしますね」
「喜んで!」
「シャノン様、わたくしもマックスと参加しますね。マックスは少し遅れるそうだけど」
「マックスお兄様も来てくださるんですか? お忙しいのに申し訳ありませんわ……」
「あら良いんですよ。わたくしのパートナーですもの。喜んでお祝いに駆けつけますわよ。ねぇナセル様」
「兄上が来るって言うんだから止めても無駄だよ。この前のデートの時のキャンディを渡したら喜んでいたよ」
「そうですわ。普段は恐ろしい顔をしているのに何度もキャンディを見て嬉しそうな顔をしていらっしゃるのよ。シャノン様の事を、ずっと気にかけていらしたもの」
「私は兄上からキャンディなんて貰った事ないのにね」
「マックスお兄様とわたくしの秘密だったのですね。内緒にすれば良かったですわね」
ふふふと笑うと。
「シャノン様はマックスの事お好きとか?」
真顔のルイズ様に驚くナセル様
「はい。もちろん大好きですよ。ルイズ様のお好きと言う気持ちとは違いますわよ?」
「ふふふ……知ってます! マックスもシャノン様のことがお好きですもの」
「ビックリした! ルイズがそんなこと言うから肝を冷やした。私の好きと言う気持ちとは違うんだね」
ナセル様は私の手を取ろうとすると、ルイズ様にペチンと手を叩かれていた。
「それはお二人の時にお願いしますね。お誕生会が楽しみですわね」
何事もなかったように、にこりと笑顔を見せられた。
「シャノンの社交デビューも兼ねているんだ。シャノンが恥ずかしくないようにしっかり努めさせてもらうよ」
******
「あらシャノンちゃんとっても素敵! 可愛いわよぉ。さすが私たちの娘ね!」
「あんなに可愛かった私たちの天使が今日は女神の如く美しい」
白地に薄いピンクの生地を重ねて色を揃えたバラとパールが縫い合わせている。
髪にも長めのパールを付けて流した感じでセットされた。ポイントにはピンクのバラ。
くるっと回るとドレスの裾が靡いて、軽やかだ。
「ありがとうございます、お父様、お母様」
照れながら感謝の気持ちを伝えた。それにしても褒めすぎではないかな……
「可愛いなぁ、シャノン。ずっと見ていられるよ!」
かくいうお父様もビシッと決まって、娘の私から見てもカッコいいし、お母様もこんな大きな娘がいる様には見えないくらい美しい。
「自慢の娘だもの。シャノンちゃんのお友達に会えるのも嬉しいわね、あなた」
「隣国のカルロス殿下とレイレ嬢も参加されるなんて光栄だね。護衛も十分配置した。うちの娘の誕生会で物騒な事は起こさせない。王太子殿下が来られると言う事は一部の人間しか知らないがナセル殿下が来られるのは知られているから、しっかりと目を配らないとな」
「屋敷の者にはしっかりと言い聞かせていますわ。シャノンちゃんは気にせず楽しんでね。お酒を飲んでもいい歳だけど、出来れば飲んで欲しくないわ。酔っ払ったらみっともないからお酒は徐々に慣らしていきましょうね」
お父様もお母様も今日の日の為に時間をかけて用意して下さった。
殿下達が来るという事は警備にも相当気を遣っているから、今日の日を無事に迎えられますように。
お母様の言いつけ通りお酒は飲みません!
「ナセル殿下が到着いたしました」
執事が声を掛ける。
「私が対応する」
お父様がナセル様に当主として挨拶に行った。お母様は私の姿の最終チェックしている。
「うん。とっても可愛いわ! 王国一のお姫様ね!」
相変わらずの親バカだ。
「この姿を見たらナセル殿下、イチコロよ!」
「イチコロって何?」
「ふふっ。シャノンちゃんを見た瞬間に骨抜きになること! メロメロって事よ」
「まさか! お城には美しい人がたくさんいらっしゃるのに」
「なんでシャノンちゃんはそんなに自分に自信がないのかしら……こんなに可愛いのに。ちゃんと自分と向き合いなさいね」
「何のこと?」
「ナセル様のことよ! 本当は好きになってるんでしょう? デートも楽しかったみたいだし」
頬をツンツンと突かれた。
「そんなんじゃないもん!」
「可愛くないわね。そんな様子じゃまた振られるわよ」
また……。お母様酷い!
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