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学園初日

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 晩餐を家族三人で取っていると、お父様が

「シャノン、学園にはミカエルと行くのか?」

 と聞いてきました。



「いいえ。もうわたくしは十五歳で学園に通う歳になりました。いつまでもミカエルと一緒と言うわけには参りませんもの」


「……そうか。学園で良い友達が出来ると良いな!」


「あら、あなた。シャノンちゃんなら大丈夫よ。可愛いもの。みんな放っておかないわよ」


「お母様ったら……親の贔屓目としても人に聞かれたら親バカ認定されてしまいますよ」



「「うちの子は可愛い」もの」



 両親が声を揃えて言った。


「もうっ。それは合言葉か何かですか!」


 笑顔が絶えない……私も子供に甘くて優しい大好きな両親のような家庭が築ければ良いなぁ。


「シャノンところでなんでミカエルと行かないんだ? いつも一緒に行動していただろう。何かあったんだな」

 お父様とお母様に心配されました。


 今日あったことを、両親に伝えたところ二人とも顔色を変えたけれど、最後には私が思っていることも伝えた。


「ミカエルとばかり遊んでいたらダメだと思ったの。これからはお茶会や家同士のお付き合いも増えるだろうから積極的に参加しようと思います。今まではお父様やお母様のお言葉に甘えて、好きにさせてもらっていたから、侯爵家のことをちゃんと考えて出会いがあると良いなと思ったの。出来れば、政略結婚でもお父様やお母様のように仲良くしてくれる方と将来を考えたいの」



「保留だと?」「保留ですって?」

「「うちの可愛いシャノンが!!」」


「お父様、お母様! どうされたの」


「ミカエルごときにうちの可愛いシャノンを、保留にさせるわけにいかん!」


「そうよ! そうよ!! 良い? シャノンちゃん、学園に入るとたくさん出会いがあるわ」

「うん、ありがとう。ミカエルに言われて気がついたこともあるから感謝しているのよ」


「「天使! うちの子天使」よ」


 周りのメイドたちも頷いていた。


 その後お父様とお母様と学園ではどう過ごしたらいいかとか、お父様とお母様は学園で出会ったと、その時のお話などを聞かさせて解散となりました。


******



「お父様、お母様行ってきます!」

「「いってらっしゃい」」

 両親にハグとキスをされて送り出された。両親は私に激甘だ。

 自分でも分かるくらいだから他人から見ると溺愛と言っところかしら?


******


「旦那様、ロンゴ伯爵のご子息がシャノンお嬢様を迎えにきたようですが」


 ばさっと新聞を置き


「私が出よう」


「あ、おはようございます。コレット侯爵。シャノンを迎えに、」


「娘はもう出たよ。今日から入学だがミカエル殿には娘のことをシャノンと気安く呼ぶのはやめてもらう。それから迎えに来る必要もない、お互い十五歳になったのだからもう子供ではない。変な噂を立てられるのはお互いのために良くない。私からロンゴ伯爵に伝えておこう」


「え、えぇ。分かりました、それでは失礼します」


 うちの可愛いシャノンに保留などとふざけた事を言う輩にシャノンはやれん!


 シャノンが私たちのような夫婦になりたいと言うのならシャノンを泣かせるような男であってはならない!


 家同士付き合いがあったし、シャノンがロンゴの息子を気に入っていたから今まで黙っていたが、あんな男をうちに入れるつもりはない。一体何様のつもりだ!


 世間は広いと言う事を身をもって経験するがいい! おまえごときの男は学園にごろごろいるんだよ。



「私もそろそろ出る」


 執事に伝え家を出る。

 妻はいつも私を見送ってくれる。そして必ずキスをする。


 シャノンとキスをする男がいるとなると複雑だが娘には幸せになってほしい。



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