2 / 55
探し人
しおりを挟む
王宮でお茶会が開かれる。
小さな女の子や、男の子たちが集められた。王子の友達作りが目的のようだ
……あの子は居るのかな?
名前も知らない花冠の女の子。
キョロキョロと周りを見渡し自分より年下であろう女の子を探す。
……いないのか?
服装を見る限り上位貴族の娘だと思っていたのに……
見事な金の髪をもつ、笑顔が印象的なあの子は一体誰だったのだろうか?
はぁとため息を吐く。
この国の王子は十五歳になると婚約者が決まる。
決めなくてはならない。
私はエヴァン・エクトル・ラ・シャルトルーズ、七歳。第一王子である
王子である私の目に止まるよう、毎回同じ顔でつまらない茶会がつづく。
なぜあの子がいない!
幼い頃はまだ良かったが、歳を重ねていくうちにどんどんと、けばけばしくなる令嬢の顔、香水の匂いにうんざりする!
今年から学園に通う事になる十三歳だ……
早くあの子を見つけなくては……
もう時間がない。あの子の名前を知りたい。成長したあの子に会いたい。
あの子の笑顔が忘れられなくて、あの日誰が城に来ていたかと母上に尋ねた。
「あの日はね、なんだがバタバタしていてたくさんの来客があったの、子供連れ?いたわよ、それがどうしたの?あなたもよくお会いするでしょ?○○伯爵家でしょ、○○子爵家の……」
違う! そうじゃない! なぜわかってくれないのか! 金髪の可愛い女の子が居たのに……
確か、侍女が側に居たな….メイド服に家紋が見えたんだよ! 覚えてないけど……
確かめたい、あと二年しかない、あの日からもう既に六年が経とうとしていた……
そして学園に通う事になった。
「どうした?エヴァン」
幼い頃からの友人で公爵家嫡男のレイ・プロッティに声をかけられた
「いや、なにも」
「誰か探しているのか?キョロキョロして」
幼い頃に会ったあの子を探しているとは言えない。言ったとしても、なんと説明すれば良いのか分からない。
明らかに歳下であろうあの子が入学式には来ないよな……
「可愛い子でもいたか?」
まるで揶揄うように言ってくるレイ
「……いない」
「そうか、あと二年で決めなきゃならないんだろ?気になる子はいないのか?」
「…………いない」
王子として婚約者を決めるタイムリミットがあと二年……
もう自分で探すには限界があるのか……
「レイは意中の令嬢がいるのか?」
「いるよ、だから早くエヴァンが婚約者を決めてくれないと、こっちは困る」
年頃の令嬢を持つ親は、王子の目に止まるかも知れないと、婚約者を持たない子が殆どだ。令嬢に婚約者がいないと言うことは子息も然りだ。
「そんなこと言われてもなぁ……」
あの子に会ったらならどうなるかな……
「どんなタイプが好きなんだ?」
レイが揶揄うように聞いてくる
「笑顔が可愛くて、金髪でウェーブがかかっている子だな」
「なんだ、それ?」
ケラケラと笑うレイ
「嫌いなタイプは?」
「化粧が濃いのも、香水も派手な感じは無理だな」
「なるほど」
レイとエヴァンの話を聞き逃すまいと聞き耳を立てる令嬢達……虎視眈々とエヴァンを狙っている。
次の日、令嬢達に変化が……
化粧をやめ、派手なドレスを脱ぎ制服姿で学園へ登校する。
皆んな不自然な笑みを浮かべて、髪の毛をウェーブさせていた
「なんなんだ、この団体は?」
エヴァンが興味なさげにレイに言う
「さぁな」
困った顔つきのレイ
「皆んな同じものに見える……」
「せめて同じ顔と言え、ものに例えるな!」
「ゾッとするな…この風景は」
「しかし制服が普及して良かったな、さすがエヴァンだ!」
「意味が分からん」
小さな女の子や、男の子たちが集められた。王子の友達作りが目的のようだ
……あの子は居るのかな?
名前も知らない花冠の女の子。
キョロキョロと周りを見渡し自分より年下であろう女の子を探す。
……いないのか?
服装を見る限り上位貴族の娘だと思っていたのに……
見事な金の髪をもつ、笑顔が印象的なあの子は一体誰だったのだろうか?
はぁとため息を吐く。
この国の王子は十五歳になると婚約者が決まる。
決めなくてはならない。
私はエヴァン・エクトル・ラ・シャルトルーズ、七歳。第一王子である
王子である私の目に止まるよう、毎回同じ顔でつまらない茶会がつづく。
なぜあの子がいない!
幼い頃はまだ良かったが、歳を重ねていくうちにどんどんと、けばけばしくなる令嬢の顔、香水の匂いにうんざりする!
今年から学園に通う事になる十三歳だ……
早くあの子を見つけなくては……
もう時間がない。あの子の名前を知りたい。成長したあの子に会いたい。
あの子の笑顔が忘れられなくて、あの日誰が城に来ていたかと母上に尋ねた。
「あの日はね、なんだがバタバタしていてたくさんの来客があったの、子供連れ?いたわよ、それがどうしたの?あなたもよくお会いするでしょ?○○伯爵家でしょ、○○子爵家の……」
違う! そうじゃない! なぜわかってくれないのか! 金髪の可愛い女の子が居たのに……
確か、侍女が側に居たな….メイド服に家紋が見えたんだよ! 覚えてないけど……
確かめたい、あと二年しかない、あの日からもう既に六年が経とうとしていた……
そして学園に通う事になった。
「どうした?エヴァン」
幼い頃からの友人で公爵家嫡男のレイ・プロッティに声をかけられた
「いや、なにも」
「誰か探しているのか?キョロキョロして」
幼い頃に会ったあの子を探しているとは言えない。言ったとしても、なんと説明すれば良いのか分からない。
明らかに歳下であろうあの子が入学式には来ないよな……
「可愛い子でもいたか?」
まるで揶揄うように言ってくるレイ
「……いない」
「そうか、あと二年で決めなきゃならないんだろ?気になる子はいないのか?」
「…………いない」
王子として婚約者を決めるタイムリミットがあと二年……
もう自分で探すには限界があるのか……
「レイは意中の令嬢がいるのか?」
「いるよ、だから早くエヴァンが婚約者を決めてくれないと、こっちは困る」
年頃の令嬢を持つ親は、王子の目に止まるかも知れないと、婚約者を持たない子が殆どだ。令嬢に婚約者がいないと言うことは子息も然りだ。
「そんなこと言われてもなぁ……」
あの子に会ったらならどうなるかな……
「どんなタイプが好きなんだ?」
レイが揶揄うように聞いてくる
「笑顔が可愛くて、金髪でウェーブがかかっている子だな」
「なんだ、それ?」
ケラケラと笑うレイ
「嫌いなタイプは?」
「化粧が濃いのも、香水も派手な感じは無理だな」
「なるほど」
レイとエヴァンの話を聞き逃すまいと聞き耳を立てる令嬢達……虎視眈々とエヴァンを狙っている。
次の日、令嬢達に変化が……
化粧をやめ、派手なドレスを脱ぎ制服姿で学園へ登校する。
皆んな不自然な笑みを浮かべて、髪の毛をウェーブさせていた
「なんなんだ、この団体は?」
エヴァンが興味なさげにレイに言う
「さぁな」
困った顔つきのレイ
「皆んな同じものに見える……」
「せめて同じ顔と言え、ものに例えるな!」
「ゾッとするな…この風景は」
「しかし制服が普及して良かったな、さすがエヴァンだ!」
「意味が分からん」
51
お気に入りに追加
1,474
あなたにおすすめの小説
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

心の中にあなたはいない
ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。
一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

今日、大好きな婚約者の心を奪われます 【完結済み】
皇 翼
恋愛
昔から、自分や自分の周りについての未来を視てしまう公爵令嬢である少女・ヴィオレッタ。
彼女はある日、ウィステリア王国の第一王子にして大好きな婚約者であるアシュレイが隣国の王女に恋に落ちるという未来を視てしまう。
その日から少女は変わることを決意した。将来、大好きな彼の邪魔をしてしまう位なら、潔く身を引ける女性になろうと。
なろうで投稿している方に話が追いついたら、投稿頻度は下がります。
プロローグはヴィオレッタ視点、act.1は三人称、act.2はアシュレイ視点、act.3はヴィオレッタ視点となります。
繋がりのある作品:「先読みの姫巫女ですが、力を失ったので職を辞したいと思います」
URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/496593841/690369074
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる