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復帰する
しおりを挟むアレクの謹慎が明けたから学園に行く事になった。こういう時成績優秀だと何にも言われないのよね。家の都合で学園に来られなくなる生徒もいるけれどその場合は授業についていけない場合があり、留年する生徒もいるくらい。学園に全く来なくても成績が良ければオッケーな校風はこういう時有難い。
「キャシー、アレックスおはよう。久しぶりだね」
ルヴィが私達の顔を見てすぐに声をかけてきた。
「ルヴィ久しぶり。元気だった?」
「おはようルヴィ」
「あのね。キャシー、謝りたくて」
ううん。と首を振る。
「ルヴィその話はやめよう」
あ、気分が悪くなってきた……殿下の顔を見たらどうなるんだろ……吐いちゃうかも。
「ルヴィ、悪いけど精神的に思い出したくないらしいから話題を避けてくれると助かる」
ナイス、アレク……
「……そう。分かったわ、でもこれだけは言わせて。あのね、キャシー達が学園を休んでから姿を見てないのよ。王宮にも姿はないらしいから婚約者が世話をしているって聞いた。もう学園には来ない……ううん。来れないって感じみたい」
「そう……なんだ」
ホッとした。と言ったら不敬にあたると思うけれど顔を見たくないのだから仕方がない。これからはテストだけ受けて学園に行かないという選択肢もあった。それで領地に籠っていれば顔を見る事がなくなる。なんて思っていたけれど、学園に来ないのならば平穏な学園生活が過ごせそうだと胸を撫で下ろす。お父様が陛下に抗議に行ったと聞いたけれど、うちみたいな一貴族の意見なんてなぁなぁで終わらせるんじゃないかしら。なんて思っていたけれど、対策を考えてくれたのは殿下の婚約先らしいからそこは感謝しないとね。
ルヴィや同志の皆さんだっているのだから本当は学園に来て楽しく過ごしたいと思っていた。未遂だったしもう忘れよう……(時間はもう少しかかるけど)
以前のようにランチはルヴィとアレクと摂るようにした。学食のメニューは相変わらず充実していてどれも美味しそうだった。悩む……
「キャシー何と何で迷っているんだ?」
「お肉も食べたいしお魚も美味しそうなんだもの。流石に二つは食べられないわね」
「どっちも注文しよう。キャシーが食べたい分だけ食べて残りは僕が片付けるよ」
「いいの! やったぁ。シャトーブリアンも白身魚の香草焼きも魅力的だから悩んでたの。アレク大好き!」
って……私今なんて言った? 軽々しく好きとか言っちゃダメだよ。どうせアレクはスルーして……ない。アレクの顔が少し赤くなっている。
「え……何、二人ともそういう感じなの?」
にやにやと私達二人を見るルヴィ。そういう感じって言われたらそうなのかもしれないけど、ここ学園だし! ルヴィはちゃんと空気を読んでいつも通りに振る舞ってくれて少しギクシャクしながらランチを摂った。お肉も魚も食べられたから満足……アレクは文句も言わずに私の残りを食べてくれた。こういうのって気を許している人じゃないとお互い無理だよね。そう考えると私はきっとアレクに相当気を許しているという事になる。
授業を終え久しぶりに学園に来たものだからなんだか疲れてしまって早く帰りたいなぁ。と思った。
「どうした? 疲れた?」
アレクだ……
「うん。ずっと家にいたから体力が落ちたみたい」
「久しぶりに沢山の人と会ったからね。カバン持つよ、帰ろう」
こうやって同じ家に帰るのも嫌じゃないんだよね……これが当たり前だもんね。私の生活にはアレクがいないとダメなんだ。
「どうした? 帰らないの?」
「……帰ろう、私達の家に」
「……そうだね」
ふむ、こうしてアレクを見ると整った顔立ちをしている。私とは似ても似つかない顔立ちで身長も高い。因みに私は平均的な身長だしパッと目につくような美しさもない。変に頑固なところもあるし、勉強だってアレクに教えてもらっているし、面倒な性格だし……って話はそれたけれどアレクとは似ても似つかないし、遠い親戚とはいえ他人なんだよね(家族だけど)
心の中で葛藤しながらようやく家に着いた。
「キャシー考え事? ずっと面白い顔をしていた」
「む。失礼な……アレクの事考えてたのよ」
くっ。アレクめ。足が長くてスタイルがいい……肩幅も広くて程よい筋肉までついているなんて! もしかしてモテるんじゃないの?!
「やっぱり? そう思って声をかけなかったんだ。前向きに考えてくれていそうで何よりだよ。それでいつデートに誘ってくれるんだい?」
そうだわ! デートをしてアレクの事をもっと知ろうと思っていたんだわ。
「週末はどう? 忙しい?」
「いや。空いているよ。楽しみにいてるよ」
「うん。空けておいてね」
アレクと週末に出かける約束をしたところまでは良かったの。
「あれ、ミルクは?」
いつもなら、のそのそとお迎えに来てくれるのに……
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