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アレク何したの?
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「キャシーちょっといい?」
返事をするとアレクが入ってきた。
「うん、いいよ。座って……」
アレクは今日の事お母様から聞いたのかな。怒られるのかな。無言って……居心地が悪い。
「あのね、アレク、今日、」
「さっき聞いた……今日はごめん。朝から用事があって取り込んでいて、まさか殿下と接触するなんて思わなかった」
頭を下げて謝るアレク。
「……アレクのせいじゃないし、私も悪いんだし」
怖かったけれどうちに着いたらことの重大さに気が付かされ浅はかな行動だったってお母様にお説教された。その通りだなって反省してからアレクの小言も受け入れるつもりだった。アレクに対して自分の気持ちを考えているのにアレクの態度がいつもと違ったくらいで拗ねて、殿下について行ってしまった事は後悔している。
「僕のせいじゃないなんて寂しいことは言わないでほしい。少しは僕に責任があると思うし」
「じゃあ聞くけどアレク朝から何してたの? 教室にもいなかったし、一応相談はしようとしたんだよ」
するとアレクはセリアさんとのことを話し出した。仲良くなったのはそういう理由からなんだ。セリアさんには情報を耳にしてもそれ以上の行動はしないように言っておくらしい。学園で二人になって話す事もしないって。それを聞いてほっとした。
「危ないことはしてほしくない、アレクに何かあったら……そんなの嫌だよ」
「ごめん。さっき義父上に怒られてきたところ。僕も謹慎になったんだ。部屋から出ることは禁じられているし僕も反省している。キャシーに話すと心配すると思って言わなかったけど、こんなことはもうしない。それにキャシーのおかけですごい人が味方になってくれたんだ」
ん? 私のおかげとは一体? 何かした記憶はないのだけれど?
「その顔は分かっていない顔だ」
「うん。全く分かんない」
アレクが言うには……え? 私を助けてくれた人ってそんなすごい人だったの? そんな人にうっかり声を掛けて連れてきちゃったの?
「僕も詳しい事情までは分からないけれど、今頃義父上と話を詰めているだろうね。陛下に許しを得てから正式にうちで働いてもらうことになりそうだよ。キャシーが出かける時は護衛をしてもいいと言っていた。キャシーに声を掛けられうちに来ることになったからって」
ポカンと話を聞いていた。
「ただあの時は助けてもらう為だったの。その時の思いつきなんだけど良いのかな……」
「人と出会うのはタイミングがあるからね。謹慎が解けたころには話が纏まっていると思うよ。僕も反省中の身だからそろそろ行くよ」
アレクからのお説教はなかった。でも明らかに落ち込んでいる様子が見て取れた。
「私いまアレクの事ちゃんと考えているからね。それなのに急にアレクにそっけない態度をとられて寂しかったの。殿下についていったのは断れなかったのもあるけれど、そのあとの事ちゃんと考えてなかった。ごめんなさい」
あの時お母様の言われた通り何かあったら今ごろこれくらいの後悔じゃすまなかっただろうし、アレクの顔も見られなかったと思う。急に怖くなってきた。あ、泣きそう。
「こういう時にそんなこと言うなよ……僕だって危険な行動だってわかっていながら興味本位で危ないことに首を突っ込んでいた。僕はまだしもセリアさんは平民だしこの件がバレたら真っ先にセリアさんが被害にあったと思う。僕の浅はかな行動のせいで家にも迷惑が掛かった可能性もある。無事だったから反省させてくれる機会を与えられたと思うんだ。キャシーが謹慎中に僕の事も考えてくれるのは正直嬉しいけどね……ここに居ると離れがたくなるから今度こそ行くよ」
泣きそうになってもアレクは慰めもせずに行ってしまった。寂しいなぁ。アレクから甘やかされるのも怒られるのも愛があってのことなんだよね。家族愛だけじゃないんだよね……殿下とはこういう関係には絶対にならないだろうし本性を知った今、見た目には騙されない。殿下怖かったな……気持ち悪かったし。その日は中々寝付けなかった。
次の日朝食を運んできてくれたメイドに男女のアレについて軽く聞いてみたら鳥肌が立つような回答が返ってきた。
「それってそんなに軽々しくするものなの……」
「いいえ! お嬢様にはそんな事が出来ません! お嬢様がこの人となら一生添い遂げる事ができると思った方なら誰も反対はしません。むしろ喜ばしい事です」
同じ行為でも気持ちが違えば真逆になるって事。私殿下の顔がもう見られないわ……顔を思い出すだけで食欲がなくなった……
「ごめんなさい。食欲がないから食事は下げて……」
「畏まりました。全く食べないのは良くありませんからフルーツだけでも。無理はなさらないでください」
メイドが出て行った。殿下との思い出のもの全部この部屋から無くしてしまいたいわ。日記とかお茶会の招待状とかお土産でもらった紅茶のラベルとか。なんでこんなものとってあるのよ……
夢中になって殿下との思い出のものをかき集めてすぐに燃やすように頼んだわ。今度こそ綺麗さっぱりしたわね。
返事をするとアレクが入ってきた。
「うん、いいよ。座って……」
アレクは今日の事お母様から聞いたのかな。怒られるのかな。無言って……居心地が悪い。
「あのね、アレク、今日、」
「さっき聞いた……今日はごめん。朝から用事があって取り込んでいて、まさか殿下と接触するなんて思わなかった」
頭を下げて謝るアレク。
「……アレクのせいじゃないし、私も悪いんだし」
怖かったけれどうちに着いたらことの重大さに気が付かされ浅はかな行動だったってお母様にお説教された。その通りだなって反省してからアレクの小言も受け入れるつもりだった。アレクに対して自分の気持ちを考えているのにアレクの態度がいつもと違ったくらいで拗ねて、殿下について行ってしまった事は後悔している。
「僕のせいじゃないなんて寂しいことは言わないでほしい。少しは僕に責任があると思うし」
「じゃあ聞くけどアレク朝から何してたの? 教室にもいなかったし、一応相談はしようとしたんだよ」
するとアレクはセリアさんとのことを話し出した。仲良くなったのはそういう理由からなんだ。セリアさんには情報を耳にしてもそれ以上の行動はしないように言っておくらしい。学園で二人になって話す事もしないって。それを聞いてほっとした。
「危ないことはしてほしくない、アレクに何かあったら……そんなの嫌だよ」
「ごめん。さっき義父上に怒られてきたところ。僕も謹慎になったんだ。部屋から出ることは禁じられているし僕も反省している。キャシーに話すと心配すると思って言わなかったけど、こんなことはもうしない。それにキャシーのおかけですごい人が味方になってくれたんだ」
ん? 私のおかげとは一体? 何かした記憶はないのだけれど?
「その顔は分かっていない顔だ」
「うん。全く分かんない」
アレクが言うには……え? 私を助けてくれた人ってそんなすごい人だったの? そんな人にうっかり声を掛けて連れてきちゃったの?
「僕も詳しい事情までは分からないけれど、今頃義父上と話を詰めているだろうね。陛下に許しを得てから正式にうちで働いてもらうことになりそうだよ。キャシーが出かける時は護衛をしてもいいと言っていた。キャシーに声を掛けられうちに来ることになったからって」
ポカンと話を聞いていた。
「ただあの時は助けてもらう為だったの。その時の思いつきなんだけど良いのかな……」
「人と出会うのはタイミングがあるからね。謹慎が解けたころには話が纏まっていると思うよ。僕も反省中の身だからそろそろ行くよ」
アレクからのお説教はなかった。でも明らかに落ち込んでいる様子が見て取れた。
「私いまアレクの事ちゃんと考えているからね。それなのに急にアレクにそっけない態度をとられて寂しかったの。殿下についていったのは断れなかったのもあるけれど、そのあとの事ちゃんと考えてなかった。ごめんなさい」
あの時お母様の言われた通り何かあったら今ごろこれくらいの後悔じゃすまなかっただろうし、アレクの顔も見られなかったと思う。急に怖くなってきた。あ、泣きそう。
「こういう時にそんなこと言うなよ……僕だって危険な行動だってわかっていながら興味本位で危ないことに首を突っ込んでいた。僕はまだしもセリアさんは平民だしこの件がバレたら真っ先にセリアさんが被害にあったと思う。僕の浅はかな行動のせいで家にも迷惑が掛かった可能性もある。無事だったから反省させてくれる機会を与えられたと思うんだ。キャシーが謹慎中に僕の事も考えてくれるのは正直嬉しいけどね……ここに居ると離れがたくなるから今度こそ行くよ」
泣きそうになってもアレクは慰めもせずに行ってしまった。寂しいなぁ。アレクから甘やかされるのも怒られるのも愛があってのことなんだよね。家族愛だけじゃないんだよね……殿下とはこういう関係には絶対にならないだろうし本性を知った今、見た目には騙されない。殿下怖かったな……気持ち悪かったし。その日は中々寝付けなかった。
次の日朝食を運んできてくれたメイドに男女のアレについて軽く聞いてみたら鳥肌が立つような回答が返ってきた。
「それってそんなに軽々しくするものなの……」
「いいえ! お嬢様にはそんな事が出来ません! お嬢様がこの人となら一生添い遂げる事ができると思った方なら誰も反対はしません。むしろ喜ばしい事です」
同じ行為でも気持ちが違えば真逆になるって事。私殿下の顔がもう見られないわ……顔を思い出すだけで食欲がなくなった……
「ごめんなさい。食欲がないから食事は下げて……」
「畏まりました。全く食べないのは良くありませんからフルーツだけでも。無理はなさらないでください」
メイドが出て行った。殿下との思い出のもの全部この部屋から無くしてしまいたいわ。日記とかお茶会の招待状とかお土産でもらった紅茶のラベルとか。なんでこんなものとってあるのよ……
夢中になって殿下との思い出のものをかき集めてすぐに燃やすように頼んだわ。今度こそ綺麗さっぱりしたわね。
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