憧れていた王子が一瞬でカエル化した!

さこの

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マイヤー卿

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 ~キャサリン父視点~

「ダニエル・マイヤーと言います。先程まで王宮の庭師として働いていました。キャサリンお嬢様の推薦でこちらにやってきました」

 ダニエル・マイヤーといえば野盗討伐で怪我をして引退したはずでは?

「マイヤー卿のようなお方がうちで庭師の仕事を……ですか」

「マイヤー卿だなんてよしてください。庭師の仕事以外にもやる事があったらお手伝いしますよ。腕は落ちていますが隠密任務も得意としていました」
「噂には聞いておりましたが……失礼ですが卿はなぜ娘を助けてくださったのでしょうか?」

 マイヤー卿の名前は聞いた事がある。怪我をして引退後田舎でのんびりと過ごしている筈だ。噂は半分程しか信用してはいけない。至って元気そうで身体に衰えはなさそうだ。表に出てこなかっただけか?

「私が手塩をかけて育てた花を踏み躙られて頭に来たんですよ。あのバカ王子は自分の置かれている立場が分かっていない。婚約内定している子爵家に監視されている事に気づいていないのでしょう。王子の周りの口煩い者を遠ざけ新たに入った使用人は子爵家から来た者です。今回の行動も報告が行くでしょうから伯爵は王宮に抗議くらい送りつけても問題はないと思います」

「そうですね、抗議はしておきます。マイヤー卿さえよろしければうちに是非お越しください。給料面でも王宮と変わらない金額を保証させていただきますので」

 いくら支払われていたかは分からないが出せない金額ではないだろう。

「騎士を引退した時にかなりの額を貰いましたし、生活には困っておりません。庭師としての給金は頂きますが、情報を得ると都度払いで報酬が出ていました」

 なるほどそれは助かる。

「息子を紹介しますのでお待ちください。今後は子供達の助けにもなって頂きたいのです」

 アレクを呼びマイヤー卿を紹介する。そして今日の殿下とのことを伝えた。

「……そんな事があったんですね。キャシーめ、また勝手に……」
「その前に! アレクそろそろ何をしているか教えてもらおうか? 最近こそこそと何をしているんだい?」

 バツの悪そうな顔をするアレク。観念したように話し出す。

「……実はセリアという殿下の元彼女……自称ですが、王都で悪さをしている貴族の話を聞いたというのでその事について調べていました。卒業後は王宮で勤める事になるので何か手土産情報があった方が良いかと思いました。危険を承知で調べていましたが、周りに迷惑が掛かると思い個人的に調べるのはこれで最後にします」

 何かをしていたのは知っていた。変な正義感は時に破滅を招く事になる。いつか注意をしようと思っていた。

「何をしていたかは分かりかねますが調べるのは自らしない事です。言っちゃなんですが素人が首を突っ込むのは大変危険です。私は得意な方ですから、お任せを」

 マイヤー卿が言った。腕が落ちていると言いながらも王宮の庭師をしながら暗躍していたかと思うと恐ろしい人物だ。陛下もこの人材を失うのだから残念に思うだろう。

「王宮は人が多くて調べる人数も多かったですがここは客人の把握がしやすく動きやすそうです」

 ニヤリと笑うマイヤー卿。

「義父上、一体この方は」
「アレクに情報提供者がいるのならその情報を元にマイヤー卿に相談するといい。それと殿下の自称? 元彼女とは接点をなくした方がいい。情報とは自然に耳に入ってくる。それをどうするか決めるのは自分自身だが情報を売る平民は厄介な相手に狙われる。潮時だな」

 アレクはわかりました。と返事をし何かあればマイヤー卿を頼る事にしたようだ。それがいいとは思うがやけに素直だ。

「キャシーだが今回の件で一週間の自宅謹慎と菓子は禁止だそうだ。今回のことは断れなかったとはいえ浅はかな行動だった。アレク、キャシーのことを思うなら甘やかすなよ」

 と私も妻に言われた。こっそり差し入れをしようと考えていたのだが……差し入れがバレたら食事は別で。と言われた! 一人で食事をするなんて味気ないではないか! キャシーすまない。頑張ってくれ。

「はい、分かりました」

 妻は今回の件を軽く見ていないと言う事だ。アレクもキャシーの話を聞いて少なからずショックを受けている。この二人の関係はどうなることやら……

「親として危ないことはしてほしくないし、アレクに何かあったらキャシーも悩んだり話を聞きたいと思うんじゃないか? キャシーは少なからずアレクのことを異性として意識し始めているんだろう?」

 私達夫婦からしたら二人がくっついてくれるのが望ましいからアレクを応援したいのだがキャシーの問題もあるからあまり口にしないでおいたのだが、最近のアレクの行動がどうも怪しかった。するとアレクから何をしていたかと説明があったのだが……

 
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