憧れていた王子が一瞬でカエル化した!

さこの

文字の大きさ
上 下
33 / 46

昼休憩

しおりを挟む

「あれ? 五月蝿いのがいないわ」

 ルヴィの言う五月蝿いはアレクの事なんだけど昼休憩になった途端にいなくなった。ルヴィと食堂でテイクアウトして外に行きベンチに座った。

「私避けられているかも……」
「……なんで? アレックスの作戦とかじゃなく?」

「学園だって別々に登校したし、お菓子を食べすぎて夕食を残しても怒らなかったし、きっと私に呆れて嫌いになっちゃったんだと思うの。アレクの事ちゃんと考えているのに、」
「ないでしょ。何年待ったと思っているのよ。男と女って違うんだって。女性は、あ!ダメだって思った瞬間その人のことをスパって気持ちが途切れることがあるのよ。私達も殿下への気持ちがスパって切れたでしょう? でも男性はネチネチと気持ちを拗らせるんだって。キャサリンが嫌だったらアレックスの事なんてスパって家族だもの。で終わらせるのに考えているって事はそう言う事なんだと思うよ」

「……そう言う事? 私アレクの事、」
「いた! キャサリン嬢」

 誰よ、せっかく考えが纏まりそうだったのに! ルヴィと振り向く。え?

「「殿下」」

「やぁ。ルヴィ嬢も一緒かい? 久しぶりだね」

「お久しぶりでございます。殿下はキャサリンに用事ですか?」
「あぁ。登校の際にキャサリン嬢と会って話をしていたんだけど話の途中だったから探しにきたんだ。いつもこの辺りでランチをしているのかい?」

「いえ、食堂だったり天気のいい日はこうやって外に出る時もあります」

 ルヴィが答えてくれた。殿下はランチを特別室で摂っていると聞いた事がある。わざわざ朝の話の続きをするためにこんなところに? もう終わったんじゃなかったっけ? ルヴィも昔は殿下とお話ができたわ! と喜んでいたのに今ではすんっ。と貼り付けた笑顔になっている。ルヴィが女性は気持ちがスパッと切れると言った意味がよく分かるわ。

「女の子二人でいる所を邪魔してしまったようだね。なんの話をしていたんだい?
「ふふふ、内緒話ですわ」
「それは邪魔をしてしまったようだね。すまない、それなら改めて放課後キャサリン嬢に時間をとって貰おうかな」

 ん? 私? なぜ?

「帰りは送らせるから王宮で話をしよう。それじゃあまた後で!」

 え、どうしてそうなった? 返事してないんだけど!

「あ……行っちゃった」
「断れなかったね。一緒に行けたら良かったんだけど、今日は用事があって早く帰らないと行けないから、アレックスに相談、」
「帰りも別々だし大丈夫よ。家に連絡してもらって学園への迎えは要らないって言っておくわ」

 アレクは言ってたもの。私の行動に制限をどうのって。好きにしろって事かな。アレクにも殿下にも悶々としてしまう。色々と腑に落ちないけれど、まっすぐ帰るのもなんだし久しぶりに王宮の庭園でも散策させてもらったりしようかな。

 午後の授業を受けて殿下の馬車に乗せてもらう事になった。目的地は同じだからと乗せてもらったのだ。へー、殿下の馬車はこんな感じなんだ。さすが王族が乗る馬車なだけあってゴージャスだ。

「こうやってキャサリン嬢と話をするのは初めてだね」
「そうですね……殿下と言葉を交わす時は王妃様が開催していたお茶会でしたもの。皆さん殿下とお話をしたくて順番を待っていたものですわ」

 必ず参加者全員とお話をしていたのよね……でも婚約者は決まらなかった。

「あの時は参加者が多くて一人に掛ける時間はものの数分だった。こうやってキャサリン嬢と話をしていると懐かしく思えるよ。髪型を変えて初めはわからなかったけれど、キャサリン嬢のピンクの瞳はやはり目を惹くね。服装の趣味も変わったよね、以前着ていたドレスよりも似合っているし今の方が素敵だと思う。もっと早く自分の魅力に気がつくべきだったね」

 ん?

「キャサリン嬢は成績も優秀だし、気立てもいい。僕の婚約者として不足はなかったのに……何故婚約者候補を辞退したんだい? 僕は最後までキャサリン嬢が残ってくれていると思っていたのに悲しかったよ」

 ん?

「僕は誠心誠意を込めて婚約者になる子を見極めていたのに、その途中で辞退されるものだからとても傷ついた」

 ん?

 コンコンとドアをノックされ、殿下のメイドがドアを開けて降り、私もその後に続く。馬車を降り王宮の庭園へと向かう。昔は良くここでお茶をしていたわね……懐かしいわ。すぐにお茶の準備がされるって凄いわ。お茶だけですけど……って。これは歓迎されていないという事よね? お茶も温くて美味しいとは決して言えない。

「あの……何故私を誘ったのですか? 相談というのは何でしょうか?」

 婚約者候補を辞めたという恨み言を聞かされて、温いお茶をだされて、居心地が悪いわ……
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】愛していないと王子が言った

miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。 「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」 ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。 ※合わない場合はそっ閉じお願いします。 ※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!

月城光稀
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!? ※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろうにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

処理中です...