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疲れるものですね
しおりを挟む「キャサリンモテモテだったね!」
どっと疲れた馬車の中。帰りはルビィの家の馬車で送ってもらうことにした。なんでか? それは迎えにきた馬車からアレクが出てきたら困るから。ルビィが帰りは一緒に帰ろ! と言ってくれた。さすがルビィね。お母様もその方が良いって言ってたし。
「モテモテなんかじゃないよ。ただ疲れただけだよ」
「でも、公爵家の三男に、第五騎士団の副団長に、侯爵家嫡男だよ? 将来有望のお金持ちばかりじゃない!」
公爵家の三男の方は鉱山を掘り当てマダム向けの宝石店を経営者でお金持ち。副団長は功績を認められて爵位と邸が与えられ真面目で将来有望。侯爵家の嫡男は言わずもがな……なんですって。私って何も知らないのね。
「子息とのお話って疲れるんだね……もう横になりたい気分」
同年代ならまだしも年上の子息との会話でどっと疲れて屋敷に帰るとアレクはまだ帰ってきてないみたい。
「キャシーおかえり。お茶会はどうだった?」
お母様が迎えてくれました。
「……知らない人とお話しするのは疲れるってことがよく分かったわ。お母様申し訳ありませんが、今日は夕飯いらないわ。疲れたからお風呂に入って眠りたいの」
「全く食べないのはダメよ! 軽食でも良いから口にしなさい。部屋に運ばせるから」
「うん。おやすみなさい」
ふらふらと部屋に戻りそのままお風呂に入ってソファに腰掛けるとミルクがにゃあ。と、やってきた。
「ミルク、お留守番しててくれたのね? 寂しくなかった?」
ミルクを撫でて癒された。今日はミルクと寝よう。
軽食が運ばれてきてサンドイッチ一つとフルーツを口にした。そのままどうやらうとうとしたらしく気がついた時はベッドに入っていた。朝メイドに私どうやってベッドに入ったの? と聞く。
「アレックス様が運んでいましたよ」
アレクめ。レディの部屋に入るとは何事か……メイドに入れないようにと言っておかなきゃ。
******
「ただいま戻りました。あれ? キャシーはどうしたんですか? もしかしてまだ、帰ってきてないとか?!」
食堂には義両親だけだった。
「遅かったな。どこに行っていたんだ?」
「すみません。帰りに前の馬車が脱輪をしていたもので……それよりキャシーは?」
「キャシーならもう部屋にいるわよ。疲れたから早く休むそうよ」
ただのお茶会だよな?! 席に着き運ばれてきた食事を口にする。終わりかけたその時に……
執事が義父に手紙を渡してきた。それと花束が三つ? メッセージカード付き。宛先はキャシーだった!
「デートの誘い? 求婚? 文通の許可? なんだい、これは……」
「あら、キャシーったらモテるのね。当日中だなんて。ふふふっ」
モテる? 当日中? ……まさか!
「義母上! 今日のお茶会って!!」
ガタンと席をたつ。マナー違反だけどそんな事どうでも良い。
「あら? 言ってなかった? キャシーってアレクと殿下としか年頃の子息と話したことないんですって。社会勉強よ、たまには良いじゃない」
「義母上は僕とキャシーの結婚を望んでくれてますよね! なんでそんな場所に行かせたんですか! 相談もなくっ」
「相談って、キャシーが行きたい。って私に相談してきたから良いわよ。って許可したの。アレクが決めることじゃないわよね? キャシーのためと言ってキャシーがしたい事や行動を制限するようなら、結婚は認めません」
ズバリと言われた……
「義父上……義父上は僕の味方ですよね」
「私は妻の味方だよ。キャシーも可愛いしアレクも可愛いのは変わらないよ」
くっ……
「キャシーと話をしてきます」
「寝てるわよ。寝込みを襲ったらただじゃ済まさないから!」
メイド達もいるから襲うことは出来ん! そんな事をしたら追い出されてしまうだろっ! その辺の線引きはできる。
「キャシー!」
扉を開ける。しまった、焦りすぎてノックを忘れた。
「まぁ! アレックス様! ノックもせずにレディの部屋に入るなんてなっていませんよ!」
メイドに怒られる。素直に謝ろう……
「すまない。焦っていて。これからは気をつけるよ。ところでキャシーは?」
静かすぎる。
「ちょうど良かったですわ。お嬢様ったらお疲れで軽食を召しあがってからソファで横になってしまって……ベッドに運んでくださいませんか?」
今ほど寝落ちしたんだそうだ。一度眠ると中々目が覚めないからな……
「あぁ、分かった」
キャシーを横抱きにしてベッドに運んだ。すぅすぅと寝息を立てて……キレイな顔だ。
「おやすみ」
頬にキスをしてすぐに離れた。メイド達が見ているからな……
「なぁ。キャシーはなんて?」
「疲れたと仰っていましたよ」
「そうか……ありがとう」
ルビィめ! あんなに断ったのに! って僕が断るとキャシーがムキになりそうだな……最近ソワソワしていたのはこういうことか! 義母上も人が悪いな! 花をよこしてきた相手は誰なんだ……!! しかも三人って! 学園以外の子息となると僕では対処が難しい。
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