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アレクと一緒にいる子

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 アレクとルヴィが仲良くなっているっていうのは気がついていたけれど、そんなに仲良かったんだ。ルヴィは美人だし、性格もサッパリしているからアレクとはお似合いだと思う。私の事好きだ。っていう前だったら、凄く応援して歓迎したと思う。でも、今は……なんだろ……分かんない。

 そんな事を考え悶々としていたらアレクがベンチに座っている姿が見えた。こんな人目につかない所でランチをしていたんだわ。って思って声を掛けようとした。

「ア、」

 (ア)レクとは続かなかった。

 アレクの隣には殿下の(元)彼女セリアさんがいたから。何やら親密そうに話をしている。アレクも真剣に話を聞いているようだし……邪魔したらいけない。そんな雰囲気だった。

 なんでこんな人目につかないような所で二人は会っているのだろうか……そう思うとまた悶々と考えてしまう。もうすぐお昼時間も終わる頃だし教室に戻らなきゃ……と思い歩き出す。

「キャサリン様、アレックス様は見つかりました?」

 同志の皆さんに声を掛けられました。

「いいえ、姿を見ませんでしたわ」

 と返事をして席についた。しばらくするとアレクも教室に戻ってきた。

 午後の授業を終え、帰ろうと思ったらアレクは急に用事が出来たから先に帰って欲しいと言ってきた。

「どれくらいかかるの? 待ってるよ」

「いや、どれくらいかかるか定かでは無いから申し訳ないかな」

 朝はそんなこと言って無かったのに……

「ねぇ、それなら街に行かない? 可愛い雑貨屋さんが出来たんだよ」

 ルヴィに声を掛けられた。返事をしようとしたのに!

「そうしなよ。ルヴィ、キャシーを頼んだ」

 なんでアレクが私の予定を勝手に決めるのよ! ルヴィと街に行けるのは嬉しいし、聞きたい事もあるけれどアレクに予定を決められるのは納得いかないんだけどっ! 何が頼んだ。よ! 私はアレクの所有物じゃ無いっての!

「ルヴィ、行こっ」

「え、うん。良いの?」

 アレクを無視して教室を出た。大人気ないけれどなんか嫌なの!

 ******

「キャサリン、どうしたの?」

 ルヴィに八つ当たりをする気はない。してはいけない。

「アレックスとなんかあった?」

 ふぅ。深呼吸をした。

「私ね、アレクはルヴィが好きなんだと思っていたの」

「……え? それはないよ! 全くないよ!! 強く言うね。あり得ないから」

 ……そうなんだ。

「……それはアレックスが可哀想だわね。それを聞くと言うことはアレックスが誰を好きかもう分かっているんだよね?」

 こくん。と頷いた。私の事が好きなんだよ。って言えないもん。

「今更だね……でもアレックスも我慢してたんだよ。もしキャサリンが殿下とうまく行ったら、そこで終わりだったから。でも妨害する事もなくただ見守っていたんだもんね。キャサリンのことを思って気持ちを秘めていたんだよ」

 ……そうだよね。それは嬉しいけど。

「私が休んでいる間に、ルヴィと二人で何かしてたんでしょう? 私の為だったらどうして私に言ってくれないの? 私は頼りないからルヴィを選んで、」

「ちょっ、ちょっと! それは無いわよ! 私はアレックスの事タイプじゃないし、大事なキャサリンの義兄? 大事な家族だから話に乗っただけだし、自分のためでもあるし、キャサリンには怪我してほしく無いし、一緒に学園で楽しく過ごしたいから、アレックスと行動していただけ! あ。あと、アレックス顔は良いから(好みじゃないけど)何かと使いやすい!」

 そしてルヴィは他にも聞いて欲しいことがあると言ってきた。

「私はね、推理小説が好きなの。所謂探偵モノ、中でも安楽椅子探偵が大好物なの。与えられた情報だけで犯人を言い当てるアレよ。読んでいてワクワクするの。その観察眼、視点などね。現場に足を運んでいないのに犯人の行動が分かるのよ」

「……うん。凄いよね。人気シリーズもあるものね」

 そこまで好きとは知らなかったわ。ルヴィの好きな本はロマンス小説だけじゃないのね。
 
「そうなのっ! って話が逸れちゃったわ。キャサリン、あのね……言いにくいけれどね……キャサリンは殿下の彼女だったセリアさんに狙われていたのよ。足を引っ掛けた犯人はセリア、ノートを盗んだのもハンカチを盗んだのもセリアだったの」

「えっ! なんで?!」

「聞く所によるとね、今のキャサリンは殿下の好みドストライクなんだって。伯爵令嬢で、可愛くてキレイで……性格は人を押し除けてまでぐいぐいしてない所とか……それと、殿下の事好きだったじゃない?」

「過去の事だよ? 私は縦巻きと共に殿下に抱いていた恋心も葬り去ったのだから」

 私は殿下にバカにされていたのよ? セリアさん一緒に笑っていたじゃない? 憧れていた気持ちはなくなったわ。こっそりと殿下を影から見つめたりもしないわ。

「それをセリアも殿下も知らないじゃない? セリアは本命になれない自分に苛立ったらしいの。矛先を間違えたんだと反省はしていたけれどね」

「殿下はご存知でしょう? 婚約者候補を辞退したのだから」

「本気だと思ってなかったのよ、きっと。しかも今のキャサリンはストライクど真ん中の好みに変わったのは、自分の為だと思っていたみたいだし」

 ……え? それなら殿下って痛い人だよ? 不敬だけど。

 
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