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アレクが私を?!
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「え、なに、どうかした?」
メイド達が残念な顔をしながらキャシーを見ていた。この家の皆は僕の味方だと父に聞いた。キャシーがこの家にいて欲しいと思っているんだ。
「いや、ミルクが丸まっているな……と思って。今は子猫だけど大きくなるんだろと思ってさ」
話を変えよう。
「そこまで大きくならない種類だって聞いてるよ。寿命は八年くらいだって。そうしたら私は二十四歳か……いつまで一緒にいられるかな」
「何をおかしな事を言っているんだ? ミルクを飼いたいと言ったのはキャシーだから最後まで面倒見なきゃダメだろう?」
「そうだけど、アレクがお嫁さんをもらったら、」
この話はまだ続いていたのか……メイド達と目が合い扉に視線を向けるとスッと出て行った。この部屋はキャシーと二人+ミルクだけ。
「はぁ。分かんないか……そんな鈍感で王族と結婚しようと思っていたなんてな」
「む……」
膨れるキャシーは無視する。
「好きにして良いって言われたから好きにすることにしたんだ」
「うん。いいよ」
「一応許可をとってから好きにするけど」
「どう言う意味?」
「良い加減に気づけ、僕はキャシーが好きだ。結婚するならキャシーが良い」
「……え?」
まじで気づいてないのか……それはそれでショックだ。
「ずっとキャシーが好きだったよ。分かんなかったのか?」
「家族愛とかじゃなく?」
首を振る。
「キャシーを女の子として見ている。もちろん家族としても好きだけど、伝わんないのかな」
「そうなんだてっきりアレクはルヴィかセリアさんを好きだと思っていたから驚いた」
「……それは誤解、いや。キャシーの勘違いだ。絶対ない。僕が好きなのはキャシーだけだし、キャシーが子息と話しているのもミルクがオスだというのも気に入らない」
「ミルクはオスなの?」
……まじかよ。
「アレがついてるからな」
「あ! やだっ。見ちゃった」
腹をこちらに向けているから丸見えだ。
「キャシーは僕を男として見れないか?」
「……まだ分かんない」
断られなかったからホッとした。
「キャシーには僕のこと好きになってもらうから覚悟しといて」
好きにして良い。って言ったのはキャシーだ。好きな子にアタックして何が悪い?
「覚悟って……何するの」
そんな不安そうな顔をしてもダメだ。
「好きな女の子に告白をして、そのまま黙って返事を待つわけないだろう? 一緒に住んでいるんだし、こんなに距離が近い」
キャシーの顔の前に近寄ると顔を急に赤くした。ナニコレすっごく可愛いんですけど……
「アレク、顔近いよ……」
「うん。わざとだから」
「意地悪しないでよ……」
「……キャシー覚えておいて。これは夢じゃなく現実。僕はキャシーの事が大好きだ」
額に触れるだけのキスをした。今日はここまで。
「考えといて」
そういって部屋を出た。
******
~キャサリン~
顔を真っ赤にしてクッションを抱きしめる。
「アレクって私の事……好きなの?」
アレクがうちに来た時私は嬉しかった。兄妹が欲しかったから。でもそんな事両親には言えなくて……アレクがいてくれて嬉しかった。アレクは勉強も出来て剣術も体術も騎士団に入れるほどの実力者。しなやかな筋肉でいつも私を安心させてくれる。ムキムキした人はなんとなく苦手だから、中性的な殿下に惹かれたというのもある。アレクの声は落ち着くし絶対に大きな声をあげない。小さい頃に知らないおじさんに怒られてから大きな声が苦手だ(怒られた相手は王宮の警備の人。木に登っていて落ちそうになったところを助けてもらったんだけど、危ないって怒られた。自分が悪いけれど怖くて泣いた)その時もアレクが慰めてくれた。
殿下の事を諦めたのもアレクがいたからだし、いつも何かあるとアレクがいてくれて……って! アレクのいない生活なんて考えられないじゃない。いつも何かあればアレクに頼って、どこに行くにもアレクと一緒で(数年間の黒歴史を除いて)
「お嬢様、お茶をお淹れしました」
メイドがお茶を淹れてくれた。このメイドはユウリーンという私の五つ上のメイドで、厨房に彼氏がいる。
「ねぇ。アレクの事なんだけど」
「はい。どうかされましたか?」
「アレクの好きな子って知ってる?」
「くすくす……はい。存じ上げています。とてもとても可愛らしいお嬢様でとても大事にされていますね」
名前は言わないんだ……でもユウリーンも知ってたんだ。
「みんな知ってるの?」
「分かりやすく大事にされていますよ? 昔から一途に想っていますからね。ようやく告白なさったんですかね? 私からみるとそのお嬢様は鈍感です。しかし答えは出ているのだと思いますし、失礼を承知で言いますと、とってもお似合いですけどね」
みんな知っているのに私だけ知らなかったのか。近くにいすぎると気がつかないのね。私は自分の目で見たものや聞いたことしか真に受ける事ができないから……アレク本気なんだよね。それなら本気で考えて返事をしなきゃね。
メイド達が残念な顔をしながらキャシーを見ていた。この家の皆は僕の味方だと父に聞いた。キャシーがこの家にいて欲しいと思っているんだ。
「いや、ミルクが丸まっているな……と思って。今は子猫だけど大きくなるんだろと思ってさ」
話を変えよう。
「そこまで大きくならない種類だって聞いてるよ。寿命は八年くらいだって。そうしたら私は二十四歳か……いつまで一緒にいられるかな」
「何をおかしな事を言っているんだ? ミルクを飼いたいと言ったのはキャシーだから最後まで面倒見なきゃダメだろう?」
「そうだけど、アレクがお嫁さんをもらったら、」
この話はまだ続いていたのか……メイド達と目が合い扉に視線を向けるとスッと出て行った。この部屋はキャシーと二人+ミルクだけ。
「はぁ。分かんないか……そんな鈍感で王族と結婚しようと思っていたなんてな」
「む……」
膨れるキャシーは無視する。
「好きにして良いって言われたから好きにすることにしたんだ」
「うん。いいよ」
「一応許可をとってから好きにするけど」
「どう言う意味?」
「良い加減に気づけ、僕はキャシーが好きだ。結婚するならキャシーが良い」
「……え?」
まじで気づいてないのか……それはそれでショックだ。
「ずっとキャシーが好きだったよ。分かんなかったのか?」
「家族愛とかじゃなく?」
首を振る。
「キャシーを女の子として見ている。もちろん家族としても好きだけど、伝わんないのかな」
「そうなんだてっきりアレクはルヴィかセリアさんを好きだと思っていたから驚いた」
「……それは誤解、いや。キャシーの勘違いだ。絶対ない。僕が好きなのはキャシーだけだし、キャシーが子息と話しているのもミルクがオスだというのも気に入らない」
「ミルクはオスなの?」
……まじかよ。
「アレがついてるからな」
「あ! やだっ。見ちゃった」
腹をこちらに向けているから丸見えだ。
「キャシーは僕を男として見れないか?」
「……まだ分かんない」
断られなかったからホッとした。
「キャシーには僕のこと好きになってもらうから覚悟しといて」
好きにして良い。って言ったのはキャシーだ。好きな子にアタックして何が悪い?
「覚悟って……何するの」
そんな不安そうな顔をしてもダメだ。
「好きな女の子に告白をして、そのまま黙って返事を待つわけないだろう? 一緒に住んでいるんだし、こんなに距離が近い」
キャシーの顔の前に近寄ると顔を急に赤くした。ナニコレすっごく可愛いんですけど……
「アレク、顔近いよ……」
「うん。わざとだから」
「意地悪しないでよ……」
「……キャシー覚えておいて。これは夢じゃなく現実。僕はキャシーの事が大好きだ」
額に触れるだけのキスをした。今日はここまで。
「考えといて」
そういって部屋を出た。
******
~キャサリン~
顔を真っ赤にしてクッションを抱きしめる。
「アレクって私の事……好きなの?」
アレクがうちに来た時私は嬉しかった。兄妹が欲しかったから。でもそんな事両親には言えなくて……アレクがいてくれて嬉しかった。アレクは勉強も出来て剣術も体術も騎士団に入れるほどの実力者。しなやかな筋肉でいつも私を安心させてくれる。ムキムキした人はなんとなく苦手だから、中性的な殿下に惹かれたというのもある。アレクの声は落ち着くし絶対に大きな声をあげない。小さい頃に知らないおじさんに怒られてから大きな声が苦手だ(怒られた相手は王宮の警備の人。木に登っていて落ちそうになったところを助けてもらったんだけど、危ないって怒られた。自分が悪いけれど怖くて泣いた)その時もアレクが慰めてくれた。
殿下の事を諦めたのもアレクがいたからだし、いつも何かあるとアレクがいてくれて……って! アレクのいない生活なんて考えられないじゃない。いつも何かあればアレクに頼って、どこに行くにもアレクと一緒で(数年間の黒歴史を除いて)
「お嬢様、お茶をお淹れしました」
メイドがお茶を淹れてくれた。このメイドはユウリーンという私の五つ上のメイドで、厨房に彼氏がいる。
「ねぇ。アレクの事なんだけど」
「はい。どうかされましたか?」
「アレクの好きな子って知ってる?」
「くすくす……はい。存じ上げています。とてもとても可愛らしいお嬢様でとても大事にされていますね」
名前は言わないんだ……でもユウリーンも知ってたんだ。
「みんな知ってるの?」
「分かりやすく大事にされていますよ? 昔から一途に想っていますからね。ようやく告白なさったんですかね? 私からみるとそのお嬢様は鈍感です。しかし答えは出ているのだと思いますし、失礼を承知で言いますと、とってもお似合いですけどね」
みんな知っているのに私だけ知らなかったのか。近くにいすぎると気がつかないのね。私は自分の目で見たものや聞いたことしか真に受ける事ができないから……アレク本気なんだよね。それなら本気で考えて返事をしなきゃね。
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