17 / 46
キャシーの安全な学園生活
しおりを挟むとにかく、セリアには命が欲しかったら学園のルールを守れと脅した。僕たちが訴えたら先生達も動くことになるだろう。そうなるとローハン殿下の評判は更に更に下がるだろう(構わないけど)
ローハン殿下は子爵家令嬢との婚約を近々結び子爵はやがて伯爵となり婿入りすることになる。財閥だから生活に困らないだろうが、子爵はあれだけの財を築く程、一筋縄ではいかないだろう。
「ここにサインして今日のことは僕たちは口外しない。その代わりキャサリンに近寄らない話しかけない。学園のルールを守り学園生活をする事。変な噂を流す人間や変な行動をしている者がいれば報告する事、」
「ちょっと、まだあるの! 多すぎない?」
「生活態度を改めよ。というのも付け加えるわね“申し訳ございません。契約内容が多くありませんか?”と言い直した方がよろしくてよセリアさん。でも少ないくらいなのよ? サインをしないのなら結構ですわ。親御さんに報告しますし、慰謝料の請求をするだけですわ。簡単な事です」
ルヴィの対外的な話し方は怖いんだよな……普段のルヴィを見ているからだろうが……軽く脅しているし、スパイをしろと言っているんだぞ僕たちは……
「すればいいんでしょ! 貸しなさいよ」
ルヴィはさっと契約書を奪う。
「まだお分かりにならないの? 契約させてください。お願いしますでしょう?」
にこりと笑うルヴィ。
「……け、契約させてください」
がくりと肩を落とすセリア。
「僕は親切だから忠告しておく。ローハン殿下にはもう近寄らない方がいい。ローハン殿下の相手の家なんだけど王家に忠誠を誓っている根っからの王族派だから、王族として貴族としての行動を今以上に求められると思う(今は底辺)ローハン殿下をたぶらかしたといわれて(今度こそ)命がないと思った方が良い。僕たちは学園内で起きた事だから今回は目を瞑ってあげようと言っているんだ。勘違いはしない方が良い」
返事がないという事は了承したという事だろう。
「これでキャサリンが安心して学園に通えるわね!」
「そうだな。ルヴィ今まで見てきた中で一番生き生きしていたぞ」
「そうね。楽しかったわ! また何かあったら助手にしてあげるわ。アレックスは使えそうね!」
「……遠慮しておく。何をさせられるか想像だけで胸がいっぱいだ。そろそろ帰るぞ、遅くなるとキャシーが心配するから」
「そうね、帰りましょう」
ルヴィと話ながら馬車へとむかう。
「ねぇなんで、変な噂を流す人や行動を見張らせるわけ?」
「今後何かの役に立つかもしれないからに決まっているだろう? セリアは平民だし人気があるんだろ? 貴族達は気にせずに口を滑らすかもしれない。セリアが使える話でも持ってきたら褒美を渡せばまた使えるだろうし」
「そういう事? 情報はあるに越した事ないからね」
ルヴィと別れ、馬車に乗り込む。早く帰ってキャシーの顔を見よう。今日は何をして過ごしていたのだろうか?
「アレク、おかえりー」
キャシーが猫を抱えていた。ふわふわで白い毛並みの猫だ!
「……どうしたの、その猫」
「お父様が知り合いの方から譲ってもらったの。猫ちゃんと暮らしたいって言っていたのを覚えていてくれたの。可愛いでしょう名前はミルクだよ」
白いからミルクって……安直すぎる! そしてこの猫は希少なはずなんだが……
「生き物を飼うって大変なんだよ? ちゃんと面倒見れるのか?」
「最近アレク口うるさいよね。子供じゃないんだからちゃんと面倒見るもん」
……口うるさいって、僕が? キャシーをを心配するあまりめんどうな男に成り下がっているのか……
「いや、そういうつもりじゃなかった。ごめん」
「学園も来週から行くから。もう足も良くなったしお医者様も良いって言ったし暇なんだもん」
家でじっとしているのは限界らしい。もう少しセリアの様子を見たかったが仕方がない。
「分かった、学園へ行っても良いよ。その代わり無理はしないで、」
「アレクはいつから私の保護者になったの? 行ってもいいだなんて」
……これはヤバいな。拗ねている。というか機嫌が悪いのか?
「あ。ごめん、言葉の誤りだった」
「最近ルヴィが遊びに来ても、アレクと二人で話しているし私邪魔みたいだった。でもミルクがうちに来てくれたから家族が増えちゃった。アレクのお迎えも終わったし部屋に戻ろ、ミルク」
にゃぁぁーん。と鳴く猫。
えっ? キャシーは部屋へと戻っていった。
13
お気に入りに追加
470
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる