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「手紙にはなんて?」
ジルベルト様がうちに来た。昨日ハリーから来た手紙を読む。
「……そろそろ婚約しようって書いてある」
「は?」
は? だよね、そうだよね。そうなるよね。
「おかしいよね……婚約の話はお互い断ったんだよ。今がタイミング? バカにしてるとしか思えないよね。私にはジルベルト様がいるのに。モテるんだから私なんかよりキレイでお金持ちの令嬢を捕まえられるでしょうに……」
変わらず自分勝手なんだわ。と思うと安心した。やっぱり男性として嫌いなタイプだ。
「タイミングか……確かに今がタイミングなんだろうな」
「どういう意味?」
「変な行動に出て来たから、こちらとしては見過ごすことはできない。オフィーリアの身に何かあったらと思うと居ても立っても居られないからね。あの男が大人しくしていればオフィーリアの耳に入れるつもりもなかったんだけど、正直言ってグレイヴス子息の社交界での評判はよろしくない。だからフローリア嬢やルシアンのような高位貴族や殿下と面識のあるオフィーリアと婚約したらよろしくない評判も風に吹かれたように飛んでいくって所かな……」
「噂では少し……その、若い頃の子爵にお顔が似ているからマダム達に大人気だとか? は知ってるけど」
マダム達から人気が出るとなるとご主人様はいい気がしないし、自分の妻が学生時代に憧れていた人とそっくりで妻達が学生時代に戻ったようにキャピキャピしている姿を見て面白くないのだそう。
でも私の知っている子爵は真面目だし、ハリーとは違って誰にでもいい顔をするタイプじゃない。
「僕的には大変不愉快だから抗議しておく」
「私もお父様に言っておくね」
「義母上はグレイヴス夫人と懇意にしているからその点では申し訳ない」
「お母様も分かってくれると思うから大丈夫だと思うよ」
という事で、両親にハリーの手紙の件を話した。
「オフィーリアと婚約して好感度を上げたいんでしょうね」
「ロワール伯爵家に申し訳ないからうちからも子爵に言っておくよ。ハリーは幼い頃から知っている子だからこれ以上道を外すような事がないように願う。しかしフィーを巻き込むのならその時は潰すか……」
「え! お父様! 怖いんだけど」
心の声じゃなくて声に出ちゃった!
「ふふっ。それが嫌なら、真っ当な道に進むでしょう? 私達も老婆心ながら心配しているということよ」
「お母様も物騒!」
大人って怖い! 手紙はそのまま送り返した。身に覚えがありません。と。
******
「ハリー! 良い加減にしてちょうだい」
「何が?」
「ロワール伯爵から手紙が届きました。カルメル伯爵からは娘には婚約者が居てお互い思い合っているから諦めてくれ。ですって! 次はないようにとの事よ……オフィーリアちゃんには婚約者がいるのだから諦めなさい。それと貴方の行動で我が家の評判が……旦那様の評判が悪くなるのよ」
「母上も父上もオフィーリアの事を昔から気に入っているではありませんか? それに俺はオフィーリアと婚約をしない。とは言っていません。今じゃない。と言ったのです」
「でもオフィーリアちゃんは、」
「勘違いをしているんでしょうね。オフィーリアは幼かったですからね」
「あの時私達は婚約をさせない、という事で話は一致しました。ハリーの意見は関係ありません。これ以上オフィーリアちゃんには近寄ってはなりませんよ、良いですね」
母からの説教が終わり部屋に戻ると手紙が届いていた…オフィーリアからか! 早速開封する。
「は?」
俺の書いた手紙と共に身に覚えがないだと? 俺はオフィーリアに待て。と言ったのに勝手に解釈をしたんだろうが!
しかし相手の家から抗議が来たとなると無闇にオフィーリアに近寄る事が出来ん。手紙は証拠になることもあるから戻ってきて良かったのかもしれない……
ロワール子息には令嬢達を使って誘惑させているのに微動だにしない。
令嬢の誰か一人にでも手を出してくれればオフィーリアとの婚約は無くなるだろうと思っていたのにな。学園でダメならどこかの茶会で会った時に……と思ったが、生意気にも奴が出るような茶会は高位貴族や、何故か騎士系の貴族の家だ。
そういう場に俺は呼ばれないから会うこともないし、高位貴族の家で騒ぎを起こせば人生が終わる。騎士の家で何かしたらその場で捕えられるだろうし、どのみち何もできん。
騎士系? もしかして今頃になって剣術を習っているのか?
翌日嫌な男にばったりと会った。こんな偶然あるのか?
「グレイヴス子息、僕の婚約者に良からぬ思いを抱くのはやめて下さいね」
「ロワール子息か……卑怯な手を使い婚約したと噂を聞いたけど真実なのか?」
「さぁ、どうでしょう?」
「噂を聞いたのだけど君を倒せば婚約は破棄されるのか?」
「ははっ、どうでしょうね」
はぐらかしたのか? それとも余裕なのかは分からないがとにかく……
「俺とも勝負してくれよ」
「しつこい人ですね……」
「それは逃げているのか?」
「まさか、わかりました勝負しましょう」
勝負は放課後。立会人として教師を一人連れてくる。と言っていた。この時点で気がつけばよかった。勝負することに慣れているから、場所の指定や教師を連れてくる。と言った事に……
ジルベルト様がうちに来た。昨日ハリーから来た手紙を読む。
「……そろそろ婚約しようって書いてある」
「は?」
は? だよね、そうだよね。そうなるよね。
「おかしいよね……婚約の話はお互い断ったんだよ。今がタイミング? バカにしてるとしか思えないよね。私にはジルベルト様がいるのに。モテるんだから私なんかよりキレイでお金持ちの令嬢を捕まえられるでしょうに……」
変わらず自分勝手なんだわ。と思うと安心した。やっぱり男性として嫌いなタイプだ。
「タイミングか……確かに今がタイミングなんだろうな」
「どういう意味?」
「変な行動に出て来たから、こちらとしては見過ごすことはできない。オフィーリアの身に何かあったらと思うと居ても立っても居られないからね。あの男が大人しくしていればオフィーリアの耳に入れるつもりもなかったんだけど、正直言ってグレイヴス子息の社交界での評判はよろしくない。だからフローリア嬢やルシアンのような高位貴族や殿下と面識のあるオフィーリアと婚約したらよろしくない評判も風に吹かれたように飛んでいくって所かな……」
「噂では少し……その、若い頃の子爵にお顔が似ているからマダム達に大人気だとか? は知ってるけど」
マダム達から人気が出るとなるとご主人様はいい気がしないし、自分の妻が学生時代に憧れていた人とそっくりで妻達が学生時代に戻ったようにキャピキャピしている姿を見て面白くないのだそう。
でも私の知っている子爵は真面目だし、ハリーとは違って誰にでもいい顔をするタイプじゃない。
「僕的には大変不愉快だから抗議しておく」
「私もお父様に言っておくね」
「義母上はグレイヴス夫人と懇意にしているからその点では申し訳ない」
「お母様も分かってくれると思うから大丈夫だと思うよ」
という事で、両親にハリーの手紙の件を話した。
「オフィーリアと婚約して好感度を上げたいんでしょうね」
「ロワール伯爵家に申し訳ないからうちからも子爵に言っておくよ。ハリーは幼い頃から知っている子だからこれ以上道を外すような事がないように願う。しかしフィーを巻き込むのならその時は潰すか……」
「え! お父様! 怖いんだけど」
心の声じゃなくて声に出ちゃった!
「ふふっ。それが嫌なら、真っ当な道に進むでしょう? 私達も老婆心ながら心配しているということよ」
「お母様も物騒!」
大人って怖い! 手紙はそのまま送り返した。身に覚えがありません。と。
******
「ハリー! 良い加減にしてちょうだい」
「何が?」
「ロワール伯爵から手紙が届きました。カルメル伯爵からは娘には婚約者が居てお互い思い合っているから諦めてくれ。ですって! 次はないようにとの事よ……オフィーリアちゃんには婚約者がいるのだから諦めなさい。それと貴方の行動で我が家の評判が……旦那様の評判が悪くなるのよ」
「母上も父上もオフィーリアの事を昔から気に入っているではありませんか? それに俺はオフィーリアと婚約をしない。とは言っていません。今じゃない。と言ったのです」
「でもオフィーリアちゃんは、」
「勘違いをしているんでしょうね。オフィーリアは幼かったですからね」
「あの時私達は婚約をさせない、という事で話は一致しました。ハリーの意見は関係ありません。これ以上オフィーリアちゃんには近寄ってはなりませんよ、良いですね」
母からの説教が終わり部屋に戻ると手紙が届いていた…オフィーリアからか! 早速開封する。
「は?」
俺の書いた手紙と共に身に覚えがないだと? 俺はオフィーリアに待て。と言ったのに勝手に解釈をしたんだろうが!
しかし相手の家から抗議が来たとなると無闇にオフィーリアに近寄る事が出来ん。手紙は証拠になることもあるから戻ってきて良かったのかもしれない……
ロワール子息には令嬢達を使って誘惑させているのに微動だにしない。
令嬢の誰か一人にでも手を出してくれればオフィーリアとの婚約は無くなるだろうと思っていたのにな。学園でダメならどこかの茶会で会った時に……と思ったが、生意気にも奴が出るような茶会は高位貴族や、何故か騎士系の貴族の家だ。
そういう場に俺は呼ばれないから会うこともないし、高位貴族の家で騒ぎを起こせば人生が終わる。騎士の家で何かしたらその場で捕えられるだろうし、どのみち何もできん。
騎士系? もしかして今頃になって剣術を習っているのか?
翌日嫌な男にばったりと会った。こんな偶然あるのか?
「グレイヴス子息、僕の婚約者に良からぬ思いを抱くのはやめて下さいね」
「ロワール子息か……卑怯な手を使い婚約したと噂を聞いたけど真実なのか?」
「さぁ、どうでしょう?」
「噂を聞いたのだけど君を倒せば婚約は破棄されるのか?」
「ははっ、どうでしょうね」
はぐらかしたのか? それとも余裕なのかは分からないがとにかく……
「俺とも勝負してくれよ」
「しつこい人ですね……」
「それは逃げているのか?」
「まさか、わかりました勝負しましょう」
勝負は放課後。立会人として教師を一人連れてくる。と言っていた。この時点で気がつけばよかった。勝負することに慣れているから、場所の指定や教師を連れてくる。と言った事に……
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