初恋は苦い思い出。でも、出会うべく人と出会いました。

は？ 婚約

　～ハリー視点～

「オフィーリアが婚約……」
「ふふっ。お似合いね。ロワール子息にはお会いしたことあるのよ。とても礼儀正しくてお似合いよねぇ」

「……なぁ母上と父上はオフィーリアと俺を婚約させたがっていたよな」
「それはそうよ。オフィーリアちゃんは良い子だし可愛いし娘になってくれたら嬉しいわよ。でもあなた達が婚約をしない。って言ったんだもの」

　それは子供の時の話だろ！

「俺もそろそろ婚約を考えて、」
「まぁっ！　そうなの。良かった……嬉しいわ。それで、お相手は誰？」
「母上も父上も知っている子ですよ」

　誰だ？　という顔をしていた。

　オフィーリアがロワール子息と婚約をした。と挨拶に来た。良い加減にしろよ……と言いたい。久しぶりにアンドリューに会ったが弱々しさは無くなり生意気な子息になったな。


　その後オフィーリアとその相手が挨拶に来たが、なんだかムカつくな。絶対腹黒決定！


　

「ご子息も今日は来てくれてありがとう」
「ご子息って……いつも通りハリーで良いよ。誕生日か。いつかの誕生日は家族だけでしたな。あれは領地に帰る前だったか？」
「懐かしいですね。そんな昔の話を覚えていてくれたのですね」
「もちろん。あの時オフィーリアと婚約の約束をしただろう？」
「……は？　してませんが……どなたかとお間違いじゃないですか？」


　僕のタイミングで婚約をすると言った。だからあの時じゃなかっただけだ。

　という事で、今がそのタイミングだったんだがな！　誕生日会でオフィーリアにそろそろ婚約するか？　と切り出す予定だったんだ。

　会場内のおしゃべり婦人から聞いた話によるとサツマイモビジネスで家同士が提携しているんだろ？　政略結婚だと言われていた。

　仕方がない一肌脱いでやるか……

　あの男、密かに人気があるんだよな。侯爵家の子息と一緒にいるからかと思いきや顔が整っている。俺ほどではないが（系統が違う）

　恐らく女性に生まれてきたら子息達は放っておかないだろうという美人顔？　ってやつだ。クラスの男爵家の令嬢があの男の事を狙っていたのに！　と憤慨していたからどうやら政略結婚らしいぞ。と伝えてやった。

　そこに愛は……ないわね！　ありがとう。と男爵令嬢に礼を言われた。他にもあの男を狙っている令嬢がいるらしく、想いを伝えることにしたようだ。しかもその令嬢達は皆可愛いから浮気でもなんでもしてオフィーリアを捨ててくれれば一番良いのだが……

　それとオフィーリア応援隊？　見守り隊？　は最近鳴りを潜めているがどうしたんだ？　クラスのオフィーリアを気に入っていた子息に聞く。

　……内緒なんだが、オフィーリア嬢の近くによるな。邪魔だとロワール子息に決闘を申し出た子息が負けて指を咥えるしか無くなったんだとさ。

　なんだ、それ。勝ちゃオフィーリアと婚約を破棄してくれんのか。なるほどな。卑怯な手でも使ったのか？

　それからあの男へ告白する令嬢達が後を絶たないのだが誰一人うまくいかない！　口ほどにもない令嬢達だ……