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邪魔するな!
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「ロワール様、お慕いしています」
昼休憩にオフィーリアを迎えに行こうとしたら急に声をかけられ、手紙を渡された。
「あ、結構です。僕には婚約者がいるので、失礼」
他に生徒がいたけれど、僕にはオフィーリアという可愛い婚約者がいる。婚約者がいるのに手紙を渡してこようなど言語道断。
ランチタイムはオフィーリアで癒された。我が家のシェフがオフィーリアの好きなレモンを使ったクッキーを持たせてくれてオフィーリアがクッキーを美味しそうに食べていた。ついでにルシアンとフローリア嬢も美味しいと言っていた。
午後の授業も終わり、オフィーリアを迎えに行こうとした。すると……
「ロワール様、じつは以前から私はロワール様の事を、」
と言って抱きついて来ようとした! なんなんだこの非常識な令嬢は! そう思い体を翻すと当てが外れた令嬢は壁にダイブしていたが無事のようだ。
「君は一体……」
「酷いわ……私は以前からロワール様の事を好きでしたの。内緒でも良いので付き合ってください!」
内緒って……バカなのか?
「あり得ません。僕には婚約者がいるので他を当たってください」
昼よりも丁寧に断ることが出来たな。なんなんだよ、一体……はやくオフィーリアに会いたい!
次の日オフィーリアを迎えに行き、後ろ髪を引かれる思いで教室まで送り自分の教室へ行く。すると机の中には何やら封筒が入っていた。宛名は僕の名前だ。
“放課後、裏庭で待つ”
なんだ、なんだ、新手の果たし状か? それなら受けてやろうじゃないか!
授業が終わり、ランチタイムとなる。オフィーリアを迎えに教室へ向かう。
あぁ、今日もオフィーリアは可愛い。友人のスザンナ嬢と話していた。フローリア嬢とは気軽な関係なんだろうな。そう思い声をかけずにしばらく眺めていた。
「あ、ジルベルト様だわ」
「あら、お迎えね。行ってらっしゃい」
「うん、後でね」
「移動教室だから忘れないでね」
「はーい、ありがとう」
子供の頃から知り合いだと言っていた。誕生会でも真っ先に紹介してくれたから大事な友人なんだろう。オフィーリアの大事な友人は僕にとっても大事な人だ。会釈してオフィーリアの持ち物を持つ。
「あ、おい、オフィーリア忘れ物!」
「あら。ありがとうユリウス」
「おう」
……今お互いを呼び捨てにしてなかったか? 誰だ、あの男は!
「お待たせ、もう。声をかけてくれれば良かったのに」
「……うんそうだね」
誰だ、誰だ、誰だ! くそ、オフィーリアの友人関係が把握できない! やはりクラスが別だと不利だ!
「ジルベルト様どうしたの?」
「さっきの子息とは……その、仲が良いのかい?」
「さっきの子息……、あぁ、ユリウスね」
「呼び捨てにするほど仲が良いのか……」
「もう、ジルベルト様ったら! スザンナの婚約者だよ。誕生日会にも招待したんだけど、急な発熱で来られなくなっちゃって紹介はできなかったけれど」
「スザンナ嬢の……あぁなんだ、そうか。でも呼び捨てにするほど仲が良いのかい?」
「スザンナの家のお茶会で会って婚約者と紹介されてからだから学園に入る少し前からかな。あの二人すごく仲が良いんだよ。ジルベルト様たちとランチを一緒に摂る前まではスザンナと一緒だったのよ」
スザンナ嬢と摂っていたのなら問題ない。あのユリウスとかいう子息と一緒にいる子息は元オフィーリア応援隊のメンバーじゃないかっ! 目が合うと頭を下げられた。
そしてパクパクと口を開け“約束は守っている”と言うのだ。来年からはクラスが別になるだろうから(成績確認済み)仕方なく許しておくことにする。しかし約束を破ったらタダでは済まさないぞ。と言う意味を込めて、睨んでおいた。おっと、オフィーリアとの大事な時間なのに!
「そうだったんだね。スザンナ嬢に悪い事をしたかと思ったけれど、そうではないようで安心した」
「スザンナはね、面倒見が良くて友達のいなかった私の初めての友達なの」
スザンナ嬢はオフィーリアの初めて友達だったのか。今後も交流はありそうだからちゃんと覚えておこう。オフィーリアといつものテラスへ向かっている途中に、グレイヴス子息の姿を見た。何をしているのだろうか。と気になったがやはり放っておこう。また絡まれても面倒だし。
その後いつも通りにランチを摂りオフィーリアの移動教室先まで送り届けた。さて教室に戻るか……といったところで、二年生の令嬢に声をかけられた。
「ロワール子息、ごきげんよう。噂では婚約をされたとか?」
は? 無視をしたいが、目の前に令嬢はいる。この令嬢さっきグレイヴス子息と一緒にいなかったか?
「えぇ、まぁ」
「あら、その気のない返事は愛情が伴ってないからとか? 政略結婚だと聞きましたわ」
は?
「ロワール子息は侯爵令息・公爵令嬢の我儘に付き合わされて可哀想ですわ」
は?
「……話になりませんね」
「ストレスが溜まらない? 私が癒して差し上げますわよ。癒し系と噂の婚約者よりも、ね」
聞けば聞くほど話にならない。そしてこの女チラチラと目線が動いていた。
ん? ガラスに映るその姿は……グレイヴス子息か。何を企んでいるのやら……ろくな事じゃないだろう。
******
いつもご覧いただきありがとうございます。コメント中々お返事返せていませんが、もう少しお待ちください(^^;)
完結まで書き終わっているのですが、数話番外編も追加したいと思います。
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昼休憩にオフィーリアを迎えに行こうとしたら急に声をかけられ、手紙を渡された。
「あ、結構です。僕には婚約者がいるので、失礼」
他に生徒がいたけれど、僕にはオフィーリアという可愛い婚約者がいる。婚約者がいるのに手紙を渡してこようなど言語道断。
ランチタイムはオフィーリアで癒された。我が家のシェフがオフィーリアの好きなレモンを使ったクッキーを持たせてくれてオフィーリアがクッキーを美味しそうに食べていた。ついでにルシアンとフローリア嬢も美味しいと言っていた。
午後の授業も終わり、オフィーリアを迎えに行こうとした。すると……
「ロワール様、じつは以前から私はロワール様の事を、」
と言って抱きついて来ようとした! なんなんだこの非常識な令嬢は! そう思い体を翻すと当てが外れた令嬢は壁にダイブしていたが無事のようだ。
「君は一体……」
「酷いわ……私は以前からロワール様の事を好きでしたの。内緒でも良いので付き合ってください!」
内緒って……バカなのか?
「あり得ません。僕には婚約者がいるので他を当たってください」
昼よりも丁寧に断ることが出来たな。なんなんだよ、一体……はやくオフィーリアに会いたい!
次の日オフィーリアを迎えに行き、後ろ髪を引かれる思いで教室まで送り自分の教室へ行く。すると机の中には何やら封筒が入っていた。宛名は僕の名前だ。
“放課後、裏庭で待つ”
なんだ、なんだ、新手の果たし状か? それなら受けてやろうじゃないか!
授業が終わり、ランチタイムとなる。オフィーリアを迎えに教室へ向かう。
あぁ、今日もオフィーリアは可愛い。友人のスザンナ嬢と話していた。フローリア嬢とは気軽な関係なんだろうな。そう思い声をかけずにしばらく眺めていた。
「あ、ジルベルト様だわ」
「あら、お迎えね。行ってらっしゃい」
「うん、後でね」
「移動教室だから忘れないでね」
「はーい、ありがとう」
子供の頃から知り合いだと言っていた。誕生会でも真っ先に紹介してくれたから大事な友人なんだろう。オフィーリアの大事な友人は僕にとっても大事な人だ。会釈してオフィーリアの持ち物を持つ。
「あ、おい、オフィーリア忘れ物!」
「あら。ありがとうユリウス」
「おう」
……今お互いを呼び捨てにしてなかったか? 誰だ、あの男は!
「お待たせ、もう。声をかけてくれれば良かったのに」
「……うんそうだね」
誰だ、誰だ、誰だ! くそ、オフィーリアの友人関係が把握できない! やはりクラスが別だと不利だ!
「ジルベルト様どうしたの?」
「さっきの子息とは……その、仲が良いのかい?」
「さっきの子息……、あぁ、ユリウスね」
「呼び捨てにするほど仲が良いのか……」
「もう、ジルベルト様ったら! スザンナの婚約者だよ。誕生日会にも招待したんだけど、急な発熱で来られなくなっちゃって紹介はできなかったけれど」
「スザンナ嬢の……あぁなんだ、そうか。でも呼び捨てにするほど仲が良いのかい?」
「スザンナの家のお茶会で会って婚約者と紹介されてからだから学園に入る少し前からかな。あの二人すごく仲が良いんだよ。ジルベルト様たちとランチを一緒に摂る前まではスザンナと一緒だったのよ」
スザンナ嬢と摂っていたのなら問題ない。あのユリウスとかいう子息と一緒にいる子息は元オフィーリア応援隊のメンバーじゃないかっ! 目が合うと頭を下げられた。
そしてパクパクと口を開け“約束は守っている”と言うのだ。来年からはクラスが別になるだろうから(成績確認済み)仕方なく許しておくことにする。しかし約束を破ったらタダでは済まさないぞ。と言う意味を込めて、睨んでおいた。おっと、オフィーリアとの大事な時間なのに!
「そうだったんだね。スザンナ嬢に悪い事をしたかと思ったけれど、そうではないようで安心した」
「スザンナはね、面倒見が良くて友達のいなかった私の初めての友達なの」
スザンナ嬢はオフィーリアの初めて友達だったのか。今後も交流はありそうだからちゃんと覚えておこう。オフィーリアといつものテラスへ向かっている途中に、グレイヴス子息の姿を見た。何をしているのだろうか。と気になったがやはり放っておこう。また絡まれても面倒だし。
その後いつも通りにランチを摂りオフィーリアの移動教室先まで送り届けた。さて教室に戻るか……といったところで、二年生の令嬢に声をかけられた。
「ロワール子息、ごきげんよう。噂では婚約をされたとか?」
は? 無視をしたいが、目の前に令嬢はいる。この令嬢さっきグレイヴス子息と一緒にいなかったか?
「えぇ、まぁ」
「あら、その気のない返事は愛情が伴ってないからとか? 政略結婚だと聞きましたわ」
は?
「ロワール子息は侯爵令息・公爵令嬢の我儘に付き合わされて可哀想ですわ」
は?
「……話になりませんね」
「ストレスが溜まらない? 私が癒して差し上げますわよ。癒し系と噂の婚約者よりも、ね」
聞けば聞くほど話にならない。そしてこの女チラチラと目線が動いていた。
ん? ガラスに映るその姿は……グレイヴス子息か。何を企んでいるのやら……ろくな事じゃないだろう。
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