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フローリア様の邸
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「フローリア様お土産まで頂いてありがとうございました」
「良いのよ。もしよければまたあのサツマイモのお菓子を持ってきてくれないかしら? とても気に入ったわ」
なんて話をしていると……
「やだわ、お兄様!」
カツカツと足音を立てて、身長の高い男性がやってきた!
「お兄様! 顔を出さないでとあれだけお願いしたのに!」
「妹が友人を見送っているのに、来て何が悪い? 何かやましいことでもあるのか?」
……ひぇっ緊張する。
「紹介してくれないのか?」
私の姿を確認し笑顔を見せた!
「……わたくしのお友達のオフィーリア・カルメル嬢ですわ」
「お邪魔しています」
カーテシーする。公爵令息……
「すまん、気を遣わせてしまったな、頭を上げてくれ。私はフローリアの兄でステファンだ」
「わたくしのお友達に圧をかけないでくださる? お兄様の圧に負けてもう来てくれなかったらどうするおつもりですか! 謝っても許してあげませんよ」
「すまない、あの君の。いや、オフィーリア嬢の持ってきたお菓子はサツマイモだったよな? 驚いた。あんなにもサツマイモが美味しいとは思わなくて」
「お兄様も口に入れたのですか? だから足りなくなったのですわね!」
おかわりはないのかと、メイドに聞いていた時にありません。って言って驚いたの。たくさん持たされたから。
「オフィーリア嬢、それとジルベルトにはサツマイモについて話を聞きたい。今度時間を設けてくれるかい?」
「はい。勿論です」
ロワール子息は既にお知り合いなんだろうけど、私はちょっと遠慮したい……
「あの、私よりも、うちの先生が専門ですので……」
付け焼き刃の知識より先生の方がいい。専門って言ってしまったけれど、学者だから間違いではないと思うのよね。
「オフィーリア嬢、良かったら君の薦めるサツマイモのスイーツでも料理でも良いから今度持ってきて欲しいのだが」
……私なのか。
「分かりました。私で良ければ」
家に帰って作戦会議だ。
******
「という事で、フローリア様のお兄様にサツマイモ料理をお持ちすることになりました。どうしましょう」
お父様もお母様もサツマイモの美味しさの虜になっている。
「美味しかったから仕方ないよね。シェフ他に何か自信作はあるのかい?」
もちろんシェフも同席している。
「タルトですね。先生がサツマイモを裏漉しするようにと言って下さってから色々と試しました。スイートポテトもサツマイモの食感を残しつつ焼き上げるのでオススメです」
「サツマイモを薄く切り素揚げし、塩をかけシンプルに食べるのも美味しかったですよ」
シェフと先生はサツマイモの有効活用としてレシピにしている。
「とにかくそれ、全部作ってくれるかい? 公爵家に持って行くんだから一度確認しないとな」
お母様も頷いていた。何よ、私のこと食いしん坊と言いながら皆楽しみにしているじゃないの!
~次の日~
「サツマイモが足りないじゃないの!」
お母様が悔しがった。とにかくお母様はサツマイモにハマっている。
「……ロワール伯爵家でも栽培しているはずだから頼んでみましょうか」
ロワール伯爵子息は一応顔見知りだし……あの場にいたから聞くだけでも聞いてみよう。
「ロワール子息に聞いてみるね!」
先ずはフローリア様にお手紙を書いて、ルシアン様経由でロワール伯爵子息に……早くても返事は明日かな?
「────え? もうお返事が来たの?」
明日学園が終わってから会うことになった。
「サツマイモ、なんとかなりそうだよ~」
みんな喜んでいた。それくらいにサツマイモの虜になった。
******
「カルメル嬢、こっちだよ」
「オフィーリア、早速頼ってくれて嬉しかった」
ロワール伯爵子息とルシアン様だった。ルシアン様は人に興味がない分、友人になると良くしてくれるとフローリア様が言っていた。
「ご機嫌よう。フローリア様はどうされましたの?」
「用事があって帰ったんだが悔しがっていた。僕がいるのは、ジルベルトが照れてオフィーリアと二人は困るって、」もごもご……口を押さえられていた。
「ロワール伯爵子息、急にすみません」
「……ジルベルトで良い。皆名前で呼んでいるから……その僕もオ、オフィーリアと呼んで良いだろうか」
「はい、是非。私もジルベルト様とお呼びしますね」
「……あぁ、」
「ジルベルト、応援するぞ、がんばれよ。さてサツマイモの話だったな。オフィーリアの家のサツマイモがなくなったんだったな」
準備するサツマイモがない。サツマイモの流通は食用ではなく家畜の餌用ならあったみたい。
「はい。先日もロワール領から取り寄せたんですが足りなくなってしまって……もしよろしければ譲っていただけませんでしょうか?」
お礼をするとお父様が言っていた。その辺のことは分からないから大人に任せよう。
「あぁ、それは勿論。うちの邸でも栽培しているから、オフィーリアの家に届けさせるよ」
「……うちのサツマイモが小さかったようで、栽培の仕方を教えて貰いたいと先生が……それと土が見たいと……不躾で恥ずかしいのですが、先生は学者で気になったことは目にしたいというか……」
「ははっ。学者先生ならではだね。それならうちに来る? 収穫は終わっているから備蓄のサツマイモしかないけれど」
「私もお邪魔して良いですか?!」
「え、オフィーリアも? 良いけど面白くないよ」
「そんな事ありません。楽しみです!」
あ、ルシアン様を忘れていたわ。謝ったら気にしなくて良いと言ってくれた。思っていたより? 優しいんだわ。
「良いのよ。もしよければまたあのサツマイモのお菓子を持ってきてくれないかしら? とても気に入ったわ」
なんて話をしていると……
「やだわ、お兄様!」
カツカツと足音を立てて、身長の高い男性がやってきた!
「お兄様! 顔を出さないでとあれだけお願いしたのに!」
「妹が友人を見送っているのに、来て何が悪い? 何かやましいことでもあるのか?」
……ひぇっ緊張する。
「紹介してくれないのか?」
私の姿を確認し笑顔を見せた!
「……わたくしのお友達のオフィーリア・カルメル嬢ですわ」
「お邪魔しています」
カーテシーする。公爵令息……
「すまん、気を遣わせてしまったな、頭を上げてくれ。私はフローリアの兄でステファンだ」
「わたくしのお友達に圧をかけないでくださる? お兄様の圧に負けてもう来てくれなかったらどうするおつもりですか! 謝っても許してあげませんよ」
「すまない、あの君の。いや、オフィーリア嬢の持ってきたお菓子はサツマイモだったよな? 驚いた。あんなにもサツマイモが美味しいとは思わなくて」
「お兄様も口に入れたのですか? だから足りなくなったのですわね!」
おかわりはないのかと、メイドに聞いていた時にありません。って言って驚いたの。たくさん持たされたから。
「オフィーリア嬢、それとジルベルトにはサツマイモについて話を聞きたい。今度時間を設けてくれるかい?」
「はい。勿論です」
ロワール子息は既にお知り合いなんだろうけど、私はちょっと遠慮したい……
「あの、私よりも、うちの先生が専門ですので……」
付け焼き刃の知識より先生の方がいい。専門って言ってしまったけれど、学者だから間違いではないと思うのよね。
「オフィーリア嬢、良かったら君の薦めるサツマイモのスイーツでも料理でも良いから今度持ってきて欲しいのだが」
……私なのか。
「分かりました。私で良ければ」
家に帰って作戦会議だ。
******
「という事で、フローリア様のお兄様にサツマイモ料理をお持ちすることになりました。どうしましょう」
お父様もお母様もサツマイモの美味しさの虜になっている。
「美味しかったから仕方ないよね。シェフ他に何か自信作はあるのかい?」
もちろんシェフも同席している。
「タルトですね。先生がサツマイモを裏漉しするようにと言って下さってから色々と試しました。スイートポテトもサツマイモの食感を残しつつ焼き上げるのでオススメです」
「サツマイモを薄く切り素揚げし、塩をかけシンプルに食べるのも美味しかったですよ」
シェフと先生はサツマイモの有効活用としてレシピにしている。
「とにかくそれ、全部作ってくれるかい? 公爵家に持って行くんだから一度確認しないとな」
お母様も頷いていた。何よ、私のこと食いしん坊と言いながら皆楽しみにしているじゃないの!
~次の日~
「サツマイモが足りないじゃないの!」
お母様が悔しがった。とにかくお母様はサツマイモにハマっている。
「……ロワール伯爵家でも栽培しているはずだから頼んでみましょうか」
ロワール伯爵子息は一応顔見知りだし……あの場にいたから聞くだけでも聞いてみよう。
「ロワール子息に聞いてみるね!」
先ずはフローリア様にお手紙を書いて、ルシアン様経由でロワール伯爵子息に……早くても返事は明日かな?
「────え? もうお返事が来たの?」
明日学園が終わってから会うことになった。
「サツマイモ、なんとかなりそうだよ~」
みんな喜んでいた。それくらいにサツマイモの虜になった。
******
「カルメル嬢、こっちだよ」
「オフィーリア、早速頼ってくれて嬉しかった」
ロワール伯爵子息とルシアン様だった。ルシアン様は人に興味がない分、友人になると良くしてくれるとフローリア様が言っていた。
「ご機嫌よう。フローリア様はどうされましたの?」
「用事があって帰ったんだが悔しがっていた。僕がいるのは、ジルベルトが照れてオフィーリアと二人は困るって、」もごもご……口を押さえられていた。
「ロワール伯爵子息、急にすみません」
「……ジルベルトで良い。皆名前で呼んでいるから……その僕もオ、オフィーリアと呼んで良いだろうか」
「はい、是非。私もジルベルト様とお呼びしますね」
「……あぁ、」
「ジルベルト、応援するぞ、がんばれよ。さてサツマイモの話だったな。オフィーリアの家のサツマイモがなくなったんだったな」
準備するサツマイモがない。サツマイモの流通は食用ではなく家畜の餌用ならあったみたい。
「はい。先日もロワール領から取り寄せたんですが足りなくなってしまって……もしよろしければ譲っていただけませんでしょうか?」
お礼をするとお父様が言っていた。その辺のことは分からないから大人に任せよう。
「あぁ、それは勿論。うちの邸でも栽培しているから、オフィーリアの家に届けさせるよ」
「……うちのサツマイモが小さかったようで、栽培の仕方を教えて貰いたいと先生が……それと土が見たいと……不躾で恥ずかしいのですが、先生は学者で気になったことは目にしたいというか……」
「ははっ。学者先生ならではだね。それならうちに来る? 収穫は終わっているから備蓄のサツマイモしかないけれど」
「私もお邪魔して良いですか?!」
「え、オフィーリアも? 良いけど面白くないよ」
「そんな事ありません。楽しみです!」
あ、ルシアン様を忘れていたわ。謝ったら気にしなくて良いと言ってくれた。思っていたより? 優しいんだわ。
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