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花まつり
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「わぁ――凄いね、どこもかしこもお花だらけだわ」
町の人も色とりどりの花を身につけている。
お花をモチーフにした商品の販売ブースでは女の子がみんな目を輝かせて商品を選んでいた。
「ねぇねぇ、食べられるお花だって! そのまま食べられるのかなぁ」
先生が説明してくれた。観賞用とは違い栽培方法が違うんですって。無農薬で香りも違うみたいでぱっと見は分からないけれど、中には毒のあるお花もあるみたいだから道に咲いている花を口に入れない様に気をつけないといけないんですって。
……失礼な! 分別はついてますから!
そのままサラダにするとまるでお花畑みたいになるし、シュガーコートと言ってお砂糖をまぶして紅茶に浮かべたり……想像するだけでロマンチック。ケーキの上に乗せるだけでも美しい。
数種類のエディブルフラワーを取り置きして貰い明日、帰る前に取りにくることにした。荷物になるし潰れたらかわいそうだものね。
「あ、これって、」
アンドリューがサンキャッチャーを見ている。それは以前買った物によく似ていた。
「同じ職人さんが作ったのかなぁ、ピンクが可愛い。なんてお花かしら?」
……へぇ、東方に咲く桜という花なのね。木にたくさんピンクの小さな花が咲くんだそう。東方の国ではたくさん植えてあり桜の木の下でピクニックするんですって。さすが先生、植物に詳しい。
「姉様、あれ」
アンドリューが指差した店を見る。
「ジェラート屋さん?」
「みたいだね。変わった野菜がジェラートに使われているようだ」
「わぁい。今は空いているみたいね、ちょっと買ってくるねリューはいる?」
「いまはいいや。そこに座って待ってるね」
アンドリューもしかして疲れたのかな? でも来たばっかりだしせっかくだから楽しもう! 先生はと言うと……傍に咲いている花に夢中になっている。
「こんにちはー」
「いらっしゃいませ。お好きなものをお作りしますよ」
にんじん、サツマイモ、ほうれん草など。色んな野菜があるのね! あら。このミルクティーっていうのも美味しそうだわ! 迷っちゃうわね。
「うーん。どうしよう」
「お嬢さんはこの街の人じゃないね? せっかく来たんならサツマイモにしないかい? 自信作なんだよ」
さつまいもは泥臭いイメージで家畜用とかそういうイメージがあった。でも勧められたからにはサツマイモにしようかな……
「はい。それではおすすめのサツマイモをください」
恐る恐る口にする。だって初めて口にするものだから!
「……わぁ。すごく美味しい! ねっとりしていて甘みがあって! これがサツマイモなの。ビックリ!」
イメージがガラリと変わった。
「サツマイモにも花が咲くんだよ。こんなゴツゴツした芋なのに花は紫色で可愛くて、ぱっと見朝顔みたいなんだよ」
それは見てみたいわね。さすがお花にこだわりがある町! そう思いながらジェラートを食べ終えてしまった……もう一個食べようかなと思っていたら別のオススメがあるみたい。
「サツマイモを揚げて砂糖でまぶしたお菓子もあるんだよ。これもオススメだよ」
「ください!」
良い食べっぷりだね。と言いおまけをしてくれたけど、流石に一人でこの量は食べられない。サツマイモってお腹が膨れるのね。お礼を言って外に出た。
「リューお待たせ!」
「……ジェラートを買いに行ったんじゃなかったの?」
「もう食べちゃった。サツマイモのジェラートなんだけどすっごく美味しかったよ。ミルクとの相性バッチリ!」
「それは良かったね。その手に持っているものは?」
今買ったサツマイモのお菓子だった。
「作りたてだよ。おまけしてもらっちゃった。一緒に食べよ。はい、あーん」
「……僕はいいよ」
「サツマイモってすっごく美味しいんだよ。野菜だし体に良いよ。こんなに一人で食べられないよ。リューも手伝って!」
無理やりリューの口に入れた。きっとリューもサツマイモと聞いて、あまり良いイメージはないようだ。
「……あれ、美味しい」
「でしょう! 美味しいよね。さっき聞いたんだけどサツマイモって朝顔みたいな花が咲くんだって。見た目がゴツゴツしてるけれど、美味しくて感動したわ」
リューも頷いていた。うちでサツマイモを食べる習慣がないけれど、シェフに頼んでみようかな……と思うほど美味しかった。
「本当食いしん坊だよね、姉様は」
「うん。美味しいものを食べてキレイなお花を見て、ここの町のお祭りって最高に楽しいね」
この後パレードもあるみたいですごく楽しみ!
町の人も色とりどりの花を身につけている。
お花をモチーフにした商品の販売ブースでは女の子がみんな目を輝かせて商品を選んでいた。
「ねぇねぇ、食べられるお花だって! そのまま食べられるのかなぁ」
先生が説明してくれた。観賞用とは違い栽培方法が違うんですって。無農薬で香りも違うみたいでぱっと見は分からないけれど、中には毒のあるお花もあるみたいだから道に咲いている花を口に入れない様に気をつけないといけないんですって。
……失礼な! 分別はついてますから!
そのままサラダにするとまるでお花畑みたいになるし、シュガーコートと言ってお砂糖をまぶして紅茶に浮かべたり……想像するだけでロマンチック。ケーキの上に乗せるだけでも美しい。
数種類のエディブルフラワーを取り置きして貰い明日、帰る前に取りにくることにした。荷物になるし潰れたらかわいそうだものね。
「あ、これって、」
アンドリューがサンキャッチャーを見ている。それは以前買った物によく似ていた。
「同じ職人さんが作ったのかなぁ、ピンクが可愛い。なんてお花かしら?」
……へぇ、東方に咲く桜という花なのね。木にたくさんピンクの小さな花が咲くんだそう。東方の国ではたくさん植えてあり桜の木の下でピクニックするんですって。さすが先生、植物に詳しい。
「姉様、あれ」
アンドリューが指差した店を見る。
「ジェラート屋さん?」
「みたいだね。変わった野菜がジェラートに使われているようだ」
「わぁい。今は空いているみたいね、ちょっと買ってくるねリューはいる?」
「いまはいいや。そこに座って待ってるね」
アンドリューもしかして疲れたのかな? でも来たばっかりだしせっかくだから楽しもう! 先生はと言うと……傍に咲いている花に夢中になっている。
「こんにちはー」
「いらっしゃいませ。お好きなものをお作りしますよ」
にんじん、サツマイモ、ほうれん草など。色んな野菜があるのね! あら。このミルクティーっていうのも美味しそうだわ! 迷っちゃうわね。
「うーん。どうしよう」
「お嬢さんはこの街の人じゃないね? せっかく来たんならサツマイモにしないかい? 自信作なんだよ」
さつまいもは泥臭いイメージで家畜用とかそういうイメージがあった。でも勧められたからにはサツマイモにしようかな……
「はい。それではおすすめのサツマイモをください」
恐る恐る口にする。だって初めて口にするものだから!
「……わぁ。すごく美味しい! ねっとりしていて甘みがあって! これがサツマイモなの。ビックリ!」
イメージがガラリと変わった。
「サツマイモにも花が咲くんだよ。こんなゴツゴツした芋なのに花は紫色で可愛くて、ぱっと見朝顔みたいなんだよ」
それは見てみたいわね。さすがお花にこだわりがある町! そう思いながらジェラートを食べ終えてしまった……もう一個食べようかなと思っていたら別のオススメがあるみたい。
「サツマイモを揚げて砂糖でまぶしたお菓子もあるんだよ。これもオススメだよ」
「ください!」
良い食べっぷりだね。と言いおまけをしてくれたけど、流石に一人でこの量は食べられない。サツマイモってお腹が膨れるのね。お礼を言って外に出た。
「リューお待たせ!」
「……ジェラートを買いに行ったんじゃなかったの?」
「もう食べちゃった。サツマイモのジェラートなんだけどすっごく美味しかったよ。ミルクとの相性バッチリ!」
「それは良かったね。その手に持っているものは?」
今買ったサツマイモのお菓子だった。
「作りたてだよ。おまけしてもらっちゃった。一緒に食べよ。はい、あーん」
「……僕はいいよ」
「サツマイモってすっごく美味しいんだよ。野菜だし体に良いよ。こんなに一人で食べられないよ。リューも手伝って!」
無理やりリューの口に入れた。きっとリューもサツマイモと聞いて、あまり良いイメージはないようだ。
「……あれ、美味しい」
「でしょう! 美味しいよね。さっき聞いたんだけどサツマイモって朝顔みたいな花が咲くんだって。見た目がゴツゴツしてるけれど、美味しくて感動したわ」
リューも頷いていた。うちでサツマイモを食べる習慣がないけれど、シェフに頼んでみようかな……と思うほど美味しかった。
「本当食いしん坊だよね、姉様は」
「うん。美味しいものを食べてキレイなお花を見て、ここの町のお祭りって最高に楽しいね」
この後パレードもあるみたいですごく楽しみ!
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