私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの

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また離れ離れだ!

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「マリー気をつけて帰るんだぞ」
「マリーちゃん寂しくなるわね。また長期休暇に会いましょうね」

 お義父様、お義母様も見送りに来てくれた。

「見送り頂きありがとうございます」

 次の長期休暇は半年後……なんだけど、最終学年だしテストもあるしアミーとジュリーの家に招かれているし領地にも行きたいし、来ても5日ほどしか過ごせないんだよ……
 

「マリア、お前は学生なんだし友達と過ごすのも大事だ。家族で領地へ行く機会ももうないんだから、その時間を大事にしろ。教師はとても誉めていたし無理して体を壊されたりでもしたらそっちの方が心配だ」


「リアンさんは私に会えなくて寂しくないの?」

 私は寂しいよ……泣きそうだよ。
 

「寂しくないと言えば嘘になる。手紙を書いてくれるんだろ? この前もレターセットを買っていたとメイドに聞いた。来る日は教えてくれ、国境まで迎えに行くから」

 国境までは二日ほど掛かるから、一緒に過ごせる時間が増える! でもそうするとリアンさんの仕事が……

「……ううん。リアンさん仕事があるでしょう? そんなにお休み出来ないよね? リアンさんの体の方が心配だから……待っててね」


 その様子を見てお義父様とお義母様は、屋敷の外へ出て行った。お土産も沢山用意してくれたし、あの宝物庫からも家族へのお土産を選ぶように言われて……目がチカチカして大変だった。有難いんだけど何を選べばいいか悩んだ……

 パパにはブローチ、ママには髪飾り、兄さまにはネクタイピン……他。

 友達アミーとジュリーにもお土産に持って行きなさいな。とお義母様に言われた。
 なのでバングルをそれぞれ選んだ。すると『あら、そんな可愛らしい物もあったのね』と言った。一応リストはあるようだけど小さな物って把握出来ていないよね? 恐ろしい部屋だと思った。
 

 大公家の敷地内で栽培されているイチゴのジャムがすっごい気にいっちゃって毎日食べても飽きないくらい大好きになった。

 するとそれを聞いたシェフが喜んでくれて、リアンさんにジャムを沢山渡したらしくて、馬車に積まれて……

 フルーツが好きだとメイド達に言ったら庭師がフルーツの苗を沢山植えてくれて、年中フルーツが楽しめるようにしてくれるらしいんだよね。それに伴いビニールハウスも増えていた。

 至れり尽くせりだ。
 

 それなのにリアンさんとまたお別れだよ。でもまたすぐに会えるから我慢。それにパパとママや兄さまにも早く会いたい。


「さっきは両親がいたから、格好つけただけだ。寂しくなるが、マリアには友達や家族と過ごす時間も大事にして欲しい。あと一年もしたら一緒に暮らせるんだから、それくらいは我慢するよ。気をつけて帰れよ」

 頬にキスをしてくれた。

「リアンさん、リアンさん」

「ん? なんだ」

 少し屈んだところで首に抱きつきリアンさんの頬にキスをかえした。唇にしたいけれどさすがにここでは……

「次会う時は、また大人になってるはずだから、待っててね!」

 今日よりも明日の方が大人になるから、半年後なんて半年分大人になる!


「……お手柔らかに頼みます」

 どう言う意味だ!


 ******


 なんでこんなに遠いんだろう……リアンさんに会いに行くのに一週間もかかるんだよ。と言う事は家に帰るのも一週間掛かるわけで……その間暇だからと先生がクイズ方式で問題を出してくる。暇つぶしに丁度いいよね……眠いだけ。




 

「お父様、お母様、お兄さま。ただいま戻りました」
 
 家族の前以外ではお父様、お母様、と呼ぶ事にした。子供っぽく思われてしまうから。そのかわり家族の時間では今まで通りパパ、ママって呼ぶんだけど。

 やはり我が家は落ち着く。リアンさんに会えなくて寂しいけれどパパとママと兄さまの顔を見ると安心するよね。

 お土産を渡したら驚かれちゃったけど、有り難く戴く。と言ってくれた。

 でもやはり一番喜んでくれたのはイチゴのジャムだった。パンに塗ったりお茶に入れたりヨーグルの上にかけたり! ミルクに入れていちごミルクにしても美味しいんだよ! って興奮気味に説明した。


 学園生活は相変わらずでアミーとジュリーと仲良くしている。

 友達と言えば! ハビエルやアレックスも婚約者が出来たんだって! 夜会で知り合ったそうだ。さすが出会いの場だね!
 兄さまと夜会に出席した時に紹介されたら、ハビエルの相手は可愛らしい系でアレックスの相手はキレイ系だった。好みが違うみたい。

 そんなこんなでテストの出来も良くて私の成績は学年で二位だった。一位は宰相の息子でジェラール殿下の側近だった。小さい頃から神童と呼ばれているんだって。アレックスは三位だよ!


 
 そうそうジェラール殿下といえば西の大国の王女様と婚約の話が出ているみたいで、うまく纏まりそうだって聞いた。ジェラール殿下とは学園で会った時に挨拶をしてたまにお話をすることがある。

 王妃様のお茶会にも誘われるので参加するようになった。リアンさんとの私の結婚は両国の架け橋だもの。リアンさんの為なら窮屈な王宮へ行くのも苦じゃないから不思議。

  



 そしてまた半年経った。




 

 
 
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